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 会計と日本:西洋式簿記の導入


 日本で最初に出版された西洋式簿記書は、福澤諭吉によって翻訳された『帳合之法』であるといわれています。

 『帳合之法』は、1871年に出版されたアメリカの商業学校の簿記テキスト“Bryant & Stratton's Common School Book-keeping”を翻訳したものです。

 しかし、翻訳書とはいっても、原文を忠実に翻訳したものではなく、かなりの部分で「日本風」に書き改められています。

 興味深いことは、なぜ福沢諭吉が『帳合之法』を出版するに至ったのかという着想がこの本の最初に示されていること、さらには、いままでにない言葉(簿記用語)を新しく作り出したこと、そして、数字の記入方法として十進法縦書きを 発明したことです。

 ここでは、それらについて紹介したいと思います。

 なお、『帳合之法』は図書館に復刻版があります。



T.福澤諭吉の着想

古来日本国中において、学者は必ず貧乏なり、金持ちは必ず無学なり。
すべて世の中の物事につき、不便利を見出して苦情を述べることは易けれども 、その不便利を補うの術ははなはだ難し。
この帳合之法を諸処の学校に用いて生徒の読本となし、平民の子弟あるいはその学びしことを家に帰りて父兄に語ることあらば、父兄もはじめて洋学の実なる を知り、安心してその子弟を学問の道に入るる者次第に多かるべし。
天の法則に従い心身を労してその報を得るものは商売なるゆえ、役人の政をな して月給を得るも商売なり、いにしえの武士が軍役勤めて禄を得るもまた商売な り。しかるに世の人みな、武士、役人の商売を貴く思い、物を売買し物を製作する商売を賤しく思うは何故ぞ。



U.簿記用語の造成

 『帳合之法』を読んで見て面白いことは、英語の表現をカタカナにし、さらにその意味を元に新たな日本語を作り出していることです。

 簿記を知らない一般人に対してどのように意味を伝えようとしたか、福沢諭吉の苦労が偲ばれます。

原文 福澤流カタカナ表記 福澤流日本語表現 現在の表現
Book-keeping ブックキイピング 帳合(ちょうあい) 簿記
Account エッカヲント 勘定 勘定
Trial Balance トライヤル・バランス 平均改(へいきんのあらため) 試算表
Single Entry シングル・エンタリ 略式(または単記) 単式
Double Entry ドウブル・エンタリ 本式(または複記) 複式
Business ビジニス 商売 商売など
Balance Sheet バランスシート 平均表 貸借対照表
Journal ジョルナル 清書帳(せいしょちょう) 仕訳帳
Ledger レヂアル 大帳(だいちょう) 元帳
Cash Book ケシブック 金銀出入帳 現金出納帳


V.数字の記入法

 原文では、当然のことながら横書きで数字(アラビア数字)が示されていました。

 これを縦書きで表現するために、福沢諭吉は0(ゼロ)という数字を発明し、 それを縦書きで表現しました。

アラビア数字 日本古来の表現 福澤の表現
123,500






三,



 



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