【第3日目】
マイケルとアヤコさんは我々をシェリー酒で歓迎してくれた。子供達には、ケリー(黒いワンちゃん)が歓迎してくれた。
挨拶もそこそこに、新しい家の見学。新しい家はモーレイ湾(Moray Firth)を見下ろす高台にあり、非常に静かな住宅街にあった。B&B用に改築したとのことで、その改築のほとんどすべてをお二人で賄ったという。改築といっても半端ではない。話を聞けば土台以外、すべてを手直ししたようなものだ。客用の寝室は二つ。
夕食もお願いしていたので、夕食を食べながら歓談。この日のメニューは鱒のグリル焼き香草ニンニク風味、ワンタンのスープ、そしてご飯と漬け物。ロブスターがどうのこうのといったって、やっぱりご飯にはかなわない。
「このB&Bの名前は何と付けたのですか?」と小生。
「ツーリスト・インフォに登録しようとしたら名前を付けて下さいといわれたので、もみじ(Momiji)にしたんですよ。日本からのお客さんを対象にしたいのでわかりやすい名前がいいと思って」とアヤコさん。
「なるほど。ところで一泊おいくら?」と小生(自分が泊まりに来て料金を知らなかった)。
「B&Bで£20。朝食で和食だとそれぐらいにはなってしまうんですよ。」
「なるほど。」
「でも日本人なら夕食も必要になるんじゃないでしょうか」と小生。
「もちろん、事前にいっていただければ出しますよ。でもね、毎日コンスタントにいい魚介類が手に入るわけでもないので、夕食をメインにすることは難しいのですよ。」
「そうですか、残念ですね。」
なんか、インタビューしているような感じ。
おいしい日本食をご馳走になり早々に就寝。
翌朝、朝食はご飯とみそ汁。ポリッジがどうのこうのといったって、ご飯にはかなわない。しかも梅干し付きだ。そしてスモークしたサバ。これは当地に来たら一度は食べてもらいたい一品。ご飯にピッタリ(当地の方々はパンと食べるんだそうな)。
我々の宿泊に対して、「パソコンを教えてもらったから宿泊料なんて」とはいわれたが、ご祝儀の意味を込めて宿泊料を受け取っていただいた。
10時にB&B「もみじ」を出発。
最初の訪問地はアッカート城。アッカート城には一度来ているが、もう一度見たいという家族の要望によって再訪することにした。
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10時30分にはアッカート城の駐車場に到着したが、この時間でも駐車場に入るのに20分弱待たされた。ここの駐車場は30台程度の駐車スペースがあるが、朝早くから満車状態だった。
ここはHSの施設なので我々は会員証を提示してフリーパス。
朝のうちは曇っていて雨がちだったインヴァーネスだったが、アッカート城に到着する頃には青空がのぞき、太陽が出ると暑く感じた。
アッカート城は、現在、あるプロジェクトが進行中で、敷地内で工事をしていた。何か建物が建つらしい。景観を損ねるほどではないが何か気忙しない。
お城に通じる小道を下っていくと、どこからかバグパイプの音色が聞こえてくる。音に誘われて歩を進めると、一人のバグパイパーがお城の一角で、ネス湖を背景に伝統的なメロディー(たとえばアメージンググレースなど)を演奏していた。それがまた風景にマッチしていい雰囲気を醸し出していた。
「ネス湖なんて大したことはない。ただの大きな湖だ。ネッシーなんているわけない。フン。」
なんていう話を聞くことがあるが、アッカート城の素晴らしさ、ロケーションの素晴らしさは、他のどのお城にも負けないと、我々家族はそう思っている。今回は観光客が多く、のんびり見学する雰囲気ではなかったが、それでも湖上をわたる風、陽の光、そしてバグパイプの音が我々を魅了した(もちろん子供達はネッシーが出るのではないかと恐々としていたが)。
![]() いいでしょう、この風景 |
11時40分、アッカート城を出て、ドラムナドロヒト(Drumnadrochit)のロッホネス・モンスター・エキシビジョンに立ち寄り(ここにも大型バスがズラリ)、A82をインヴァーネスに戻り、最後の訪問地、フォート・ジョージを目指した。
インヴァーネス市内からフォート・ジョージまでは、A82を走り、インヴァーネス郊外からインヴァーネス空港に向かうB9039に入ることになる(もちろんスカイ島のB道路とは違う)。1時25分、アッカート城から30.7マイルでフォート・ジョージに到着した。
フォート・ジョージ(Fort George)はその名の通り要塞(Fort)である。ジョージ(George)はジョージU世(在位1727-1760)のことで、ジャコバイト(Jacobite)の再反乱に備えて、彼の命によって建設されたということに由来するという(完成した1769年には平和になっていてジャコバイトの再反乱はなかった)。現在、ここはHSの管轄になっていて、我々は会員証を示して内部に入った。
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ここは北の守りを強固にするための施設としても利用されたようで、岬の突端に、死角のない塀で取り囲まれるようにして兵舎が建っている。内部は、整然とした兵舎が立ち並び、時折軍人さんが歩いていたりするが(ということは現在でも利用されているのかもしれない)、広大な土地に建設された広大な軍事施設である。
興味深いことは、ここの塀は、五稜郭のような形をしていることである。それはちょうどコルガルフ城の塀の作りを思い起こさせる。ただ、あまりに規模が大きすぎて、それを肉眼で確かめることはできない。写真によって確かめるだけだ。
我々はこの日の昼食をまだ取っていなかった。空腹ということもあり、兵舎の一角にあるガリソン・レストラン(Garrison
Restaurant:兵舎食堂とでもいうのだろうか)で、サンドウィッチなどを食べて休憩した(かみさんはハギス・バーガーなるものを試したが、これはなかなかいい味だった)。
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入場ゲートを入るとき、受付のお姉さんが2時と3時からパフォーマンスがありますよと教えてくれたので、3時にその会場に行ってみると、ハイランダー(兵士)の生活を語るパフォーマンスだった。観客はまばら。彼は我々がどこから来たのか尋ねたので日本からだというと、なるべくゆっくりしゃべりますといいながら、しゃべり出したら早いこと早いこと。途中から付いていけなくなってしまった。
フォート・ジョージを出たのは3時50分頃。あとはA96を一路アバディーンに向かい、自宅に戻ったのは6時6分だった。
この日の走行距離は146.8マイル(約235q)だった。
こうして2泊3日にわたるスカイ島計画は、ほぼ予定通りに全行程をこなすことができた。計算してみると、3日間の総運転時間は17時間ちょうど、総走行距離は616.7マイル、約987qだった(ハイ、お疲れさん)。
《もみじその後》 アヤコさんからの情報によれば、「もみじ」という屋号は、「あじさい」に変更したとのこと(変更の理由は直接アヤコさんにお聞き下さい。ちょっと笑えます)。そして、日本でホームページを公開するようになり、日本からのお客様を本格的に受け入れる準備が整ったとのことです。 |
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