7.ダラス・デュ蒸留所(Dallas Dhu Distillery)

  エルギン大聖堂を出て、今度はフォレス(Forres)を目指す。運転すること20分でフォレス。ここにはスエノス・ストーンを見に一度来ているが、今回は、スエノス・ストーンをさらに越え、ダラス・デュ蒸留所が目的地である。

  ヒストリック・スコットランドでは珍しく、蒸留所が史跡となっている。

  ダラス・デュ蒸留所は、現在では観光目的の蒸留所として存在しており、実際にはウィスキーの製造は行われてはいない。
  我々は駐車場に車を停めて受付に入る。ここでフレンド会員証を提示(会員証がない場合は大人£3.00、子供£1.00)。受付の女性は「説明用のカセットテープがあるが必要ですか」と聞いてきた。「日本語があれば」というと探してくれたが結局なかった。しかし、日本語で書かれたA43つ折りのリーフレットをくれたので、順路にしたがってそのリーフレットを読みながら施設を見て回ることができた。


おなじみの風景

  ここもまた、かつては実際にウィスキーを製造していた所なので、大麦貯蔵室、キルンという大釜、マッシュハウス、タンルーム、スチルなど、モルトウィスキー・トレイルで見たものと同じようなものが設置されている(当たり前だが)。その一つ一つに近づいて触ってみることができるということが、この施設にできて他の蒸留所にはできないところだ(子供達はスチルの中にまで入ったほどだ)。
  しかし、現在も操業している蒸留所を訪問した経験がある小生にとっては、物足りなさを感じたのも事実である。それは、あの独特の「臭い」がまったくしなかったことであった。とくにタン・ルームの強烈な臭い。あれは忘れようにもなかなか忘れられない臭いだが、ここのようにまったくそれを感じないとなると、何故か物足りない。

  さて一通り見終えて受付の場所に戻ると、今度は受付の隣にある部屋に入る。最初にそこに来るようにといわれていた部屋である。そこは試飲のための部屋であった。まさかヒストリック・スコットランドの施設でウィスキーの試飲ができるなどとは思っていなかったので驚いた(だから入場料がちょっと高めだったのだ)。カウンターにいる女性から大人はウィスキー、子供はアップルジュースをもらう。するとその女性は「12分ほどのビデオをお見せします。日本語バージョンでいいですね」という。振り返れば大きなスクリーン。それぞれに椅子に腰掛け、そのビデオを見る。『そういえばたしかグレン・グラントかどこかでもビデオを見たなあ』と思いつつ、スコッチウィスキーやウィスキー業者の歴史を、日本語で見聞する。もしこれが観光シーズンだったら、英語バージョンか、あるいは日本人ツアー参加者でなければ日本語バージョンは見ることができなかっただろうが、何しろ客は我々だけ(他にも2〜4名いたがすでにビデオを見終えたのだろう)。まさにVIP待遇。

  ウィスキーの蒸留所だけあって売店も充実している。シングル・モルトのミニチュアなども各種置いてあった。しかし、もっとも驚いたのは、ここにあの、製造中止となった(とThe Stillmanの主人がいっていた)ロック・デュ(Loch Dhu)があったことだった(ロック・デュについては「幻のウィスキー」参照)。しかもフルボトルまであった。安ければ買おうかなと思ったが結構高く、一度その味を試しているので、今回は1本も買わなかった。また、例のハントリーで製造しているヒストリック・スコットランド特製アイスクリームはここの売店にもあった(さすがに子供達は食べなかったが)。

  ダラス・デュ蒸留所に入って1時間20分後、我々は最後の目的地に向けて出発した。

Aberdeen-(A944-A97)[42.2miles]-Kildrummy Castle-(A97-B9002-A941-B9014)[29miles]-Balvenie Castle-(B9014-A941)[23.7miles]-Elgin Cathedral-(A96-A940)[14.5miles]-Dallas Dhu Distillery-(A940-A939-A95-A939)[47.4miles]-Corgarff Castle-(A939-A944-A97-A944)[57.7miles]-Aberdeen[Mileage:214.5miles]

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