3.環境問題を考える(その1)

 小生の英国研修の目的は、付加価値会計を見直すことと、そしてもう一つ、環境会計について知見を得ることにある。どちらも英国こそ理論研究が進んでいる国であるといっても過言ではない。
 環境会計は、企業と環境の関係をめぐる会計領域である。もちろん、企業に限らず、人と環境の関係まで射程を広げて環境会計をとらえることもできる。しかし、「会計」を企業会計に限定すれば、環境会計は企業と環境の関係を会計的に学問する領域であるということになる。それはさておき、とりあえず一般的な話をしようと思う。
 日本でも、環境問題は身近な問題として話題になっている。当地スコットランドでも事情は同じである。
  先日、住んでいる地域のコミュニティーセンターに行った際、偶然手にしたのが“Environmental Strategy-Protecting Scotland's Environment”と題されたリーフレットだった。発行元はSEPA(ヘパではない)という機関である。この団体は、スコットランドの3つの水道会社と(オイルケアキャンペーンを行っている)スコットランドリサイクルアドバイザーグループによって設立された機関である。リーフレットによれば、SEPAとはThe Scottish Envionment Protection Agency(スコットランド環境保護局とでもいうのだろうか)の略称で、その役割は、スコットランドの土地、空気(大気)そして水を守ることにあるという。そしてそのために他の団体と共同して、環境的社会的必要性を考慮しながら、スコットランドの経済的成長をはかろうとするものであるという(やっぱり、究極的には経済的発展が目的なのか・・・)。
 さて、さらにリーフレットを読むと、その目的を達成するためにSEPAは次のようなことを行う。
 1.汚染問題の処理
 2.規制作り(環境関係法や条例の施行)
 3.モニター(環境状態の測定)
 4.英国政府のためEC指令の履行
 5.住民の感化、教育、アドバイスそして情報提供

 いうまでもなく、スコットランドは、スコッチウイスキーが有名。いずれの国においても美味しいお酒は、きれいな水に依存する。スコッチも例外ではない。このきれいな水を守ることは、スコッチウイスキーの味を守ることであり、スコットランド経済を支えることになる。スコットランドは水の国でもあるのだ。
 一方、海洋汚染が一度起きれば、地域的汚染に留まらずその影響は広範囲に及ぶ。水産資源への影響もある。海洋汚染の元凶はオイルである。これは徹底的に管理しなければならない。そういえば、アバディーンは北海油田の基地。この問題に無関心ではいれない。大いにSEPAに活躍してもらわねばならない。[13/Sept/1999]

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