2.CD機は安全か

  当地に来て、現金の引き出しは、もっぱらCD機で行っている。8月中は、当地の銀行に口座はまだ開いていなかった。それでもCD機は利用できる。citibankのcashcardによってである。このカードの便利なところは、日本のcitibankの支店に口座を開設し、日本円で入金したものが、英国なら英ポンドで、米国なら米ドルで現金の引き出しできることである。ただし、当日の為替レート+3円の手数料で換算が行われるので、損得を考えればT/CやCredit Cardの方が得な場合もある。しかし、24時間365日、いつでも好きなときに現金が引き出せるというのは、非常に便利である。

  こちらのCD機は、基本的に日本のCD機と操作は同じである。カードを入れる、暗証番号を打つ、ENTERボタンを押す、必要な金額を表示された中から選ぶ(もちろん自分で金額を決めることもできる)。これだけで現金が引き出せる。金種は£20と£10。たとえば、£200引き出すと、£20紙幣が9枚と£10が2枚出てくる。CD機に表示される金額は、£10、£20、£50、£100、£200が普通のようである(稀に£250もある)。もし、£400が必要ならば£200の操作を2回行えばよい。

The Royal Bank of ScotlandのCD機

  さて、このCD機であるが、ちょっと考えさせられたことがある。それはCD機の設置場所である。
  日本では、CD機は銀行の中のCDコーナーあるいは防犯カメラのついた専用ボックスに設置されている。つまり、現金を下ろすのだから、暗証番号や金額が誰にも見られず、しかもCDコーナーや専用ボックスという「安全な」場所で操作するのは当たり前との認識がある。

  ところで、英国のCD機を見てもらいたい。英国でも銀行にCD機が設置されていることが多い。しかし、その設置場所は、銀行の外、それも人の往来があるストリートに面したところである。いわば「むき出し」の状態で設置されているのである。「これじゃ、丸見えじゃないか」「誰かに見られてしまうのではないか」と、すこぶる心配になる。

どちらも、壁に向かっている人たちがCD機で現金を引き出している(Union Street)

  しかし、よくよく考えてみれば、これほど安全なこともないな、と思ってしまう。人の往来があるのである。いざというときはすぐ助けを求めればいい。日本のような専用ボックスの場合、中の音(声)は外には漏れない。人が2人入っていても、それが友人か強盗か、外からは判断しにくい。また、確かに防犯カメラはあるものの、100%信用できるとも限らない(信販会社のCD機が強盗に壊されて現金が盗まれたという事件があった。防犯カメラには犯人と思しき人物が写っていたが、その画像は鮮明ではなく、未だに検挙できないでいる)。だとすれば、「むき出し」の状態の方がはるかに安全だといえるのではないだろうか。

  とはいえ、24時間365日利用できるからといって、人気の少ない深夜に現金を引き出すことは最大の注意が必要である。第一、午前2時に現金が必要な状態というのは異常である。そんな状態で現金を引き出すのであるから、そのときには自己責任の下でCD機を利用すべきであって、このことをもって日本の方が安全だとはいえないだろう(いつでもどこでも、まったく手数料なしで現金が引き出せるのは魅力的。ただし、口座に残高があればの話だが)。[25/Aug/1999]
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