2008年3月

あくまで、一区切り

 ご卒業おめでとうございます。
 今年は夏に北京オリンピックが開催されます。韓国で開催されたソウルオリンピック以来、夏季大会としては20年ぶりにアジアでのオリンピック開催です。個人的な話で恐縮ですが、大学教員になった年がソウルオリンピックの年でした。それ以来、4年に1回、オリンピックの年が巡ってくると、何となく一区切り付けたくなります。
 卒業年がオリンピックイヤーである皆さんは、4年前、入学した年もオリンピックが開催された年でした(開催地、憶えてます?)。今年卒業される皆さんもまた、オリンピックに少なからず縁があるということになります。
 さて、会計の世界においても、基本的に1年を一区切りとします。会社は、1年に1回、帳簿を締め切り(このことを決算というのでしたね)、成果(利益や損失)を確定します。その成果は、会社に関心を持つ人々に報告することが義務付けられています。しかし、2008年4月1日以降、一区切りの期間が短くなり四半期報告が制度化されます。四半期報告とは、3ヶ月に1回、帳簿を締め切って成果を確定して公表することを意味します。これまでのように1年に1回12ヶ月分まとめてでは遅すぎる、会社の情報をできるだけ早く公表しなさい、というわけです。もっとも会社側にとっては、3ヶ月ごとに成果が判断されることになりますから大変です。たとえ短期的であっても、成果が思わしくない場合、資金の調達が困難になったり、最悪の場合には市場から退場しなければならない事態に直面するかもしれないからです。
 皆さんはこれまで、小・中・高・大と、「学校」に籍を置いている期間中、定期的な成果(成績)の評価を経験してきました。大学に限ってみても、毎年、前期と後期に成果の測定が行われ、それが評価されました。しかしこのような成果の測定や評価は、会社の場合とは決定的に異なります。授業科目一つ一つの成果は、会社の成果のように総合的な評価ではなく、極めて限定的な評価です。皆さんは、このような限定的な評価を、4年をかけて一つ一つ積み上げ、一定の到達点に達したのだからこそ、今日、この場にいるのです。4年という月日を経て初めて皆さんの総合的な評価が確定したといえるでしょう。
 しかし、一方で、ここでの総合的な評価は卒業要件単位取得ということしか意味しません。大学での成果を次の高みへとつなげることができるかどうか。今日が皆さんのスタート地点です。今後を大いに期待しています。蛇足ながら、くれぐれも短期的に市場から退場させられないように、そしてしないように・・・。

おくることば 2007年→2008年→2009年

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