2001年3月

自分が自分であること

 ご卒業おめでとうございます。
 この卒業式をもって、4年間付与された学籍番号から解放されることになります。学籍番号にせよ何らかの組織の会員番号や顧客番号にせよ、それらは、学生や会員、顧客を認識するために他人が付与したものです。皆さんが定期試験を受けるとき、あるいは書類を請求するとき、氏名と学籍番号によって、あなたがあなたと認識されていたのです。
 ところで最近、小生を困らせる事態が発生しました。発端は海外研修のために、インターネットで、ある銀行の口座を開設したときに遡ります。インターネットで取引を行う場合は、セキュリティの必要から、口座番号の他に、自己認識番号(PIN)とパスワードが必要です。口座番号は銀行から与えられますが、PINとパスワードは自分で決めることになります。自分で決めたPINやパスワードは、自分が自分であることを証明する唯一の証ですから、誰にもわからず、しかも忘れてはいけないものです。英国滞在中も現地の銀行でインターネットバンキングを利用しました。ここでもまたPINとパスワードが必要です。帰国後、クレジットカードの会社から、自動車のナンバーや電話番号、生年月日など、他人にわかりやすい暗証番号を使っている人はただちに変更するようにとの連絡。さらに、よせばいいものを別の銀行でもインターネットバンキングを開始。暗証番号やPIN、パスワードをすべて同じにすれば元の木阿弥ですから、すべての数字やアルファベットをちょっとずつ変えて登録しました。登録の機会は別々の日でしたから、登録時に混乱することはありませんでした。
 これまでは、相手の都合から、付与された番号で自分が認識されることが多かったのですが、今度は、自分が自分であることを、自分にしかわからない数字やアルファベットで証明することが多くなりました。あまり使わない暗証番号やパスワードは忘れてしまったらそれまでです(これも自己責任というのでしょうか)。そんなときのためにパスワードリマインダーがありますが、小生の場合まったくあてになりません、何しろちょっとずつ変えているのですから。
 与えられた番号にせよ自分で決めた番号にせよ、あなたを認識する方法は違っても、あなたは一人しかいません。決して、番号やパスワードの海で溺れないように。 

おくることば 1999年→2001年→2002年

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