36.こんなもん、見付けました
現在の家に住み始めた当初は、土地勘もなく、食料品の購入といえば、近所にあるアスダ(ASDA)専門だった。自動車に乗り始め、アバディーンの市街の様子がわかり始めた頃、他のスーパーにも足を運ぶようになった。
アバディーン市街のロードアトラスには、通りの名前と公共の施設は表示されているがスーパーの名前までは記載されていない。そんな中でスーパーを探す手がかりは、時々夕刊紙に入ってくる広告、あるいはイエローページ(日本と同じ職業別電話帳)に記載されている住所であった。別のページでも紹介しているように(「食料品価格情報」参照)、我々が買い物をしているスーパーは、アスダをはじめ、テスコ(TESCO)、センズベリー(Sainsbury's)、生協(COOP
Scottish)などである。
当然のことながら、何度か足を運ぶと、品揃えはどうで、品質はどうかということがわかってくる。
アスダは「ちょっと買い物をする」といった気軽さがある。これは唯一歩いていける距離にあるからかもしれない。一方、まったくさえないのが生協。品揃えも鮮度も良くない。
野菜・果物の品揃えの良さ・豊富さはテスコだ。一方、日本人受けするような品が多いのはセンズベリーといった印象。
鮮魚コーナーがあるのは、テスコ、生協、センズベリー。近所のアスダでは鮮魚の取り扱いは貧弱(ディーサイドのアスダには鮮魚コーナーがある)。鮮魚コーナーとはいっても、常時ある生のものはサバ、サーモン、イカぐらい。貝類では殻ガキ、ホタテの貝柱。あとはスモークしたサバやタラ(黄色に色づいている!)程度。エビやカニもあるがこれはほとんどボイルしてある。我々が鮮魚コーナーで買うのはイカぐらいで、あとはパックになったタラや鮭の切り身を買ったりする程度だ。アバディーンは北東スコットランドでもっとも新鮮な魚介類が手に入るといううたい文句がパンフレットなどに書いてあるが、我々からすればそれはウソ。何しろ市民が食べないのだからスーパーに出回るはずがない。アバディーンの港に水揚げされた新鮮な魚介類は、シーフードレストランや大都市に出荷されるのだろう。
レディ・ミール(Ready Meal:いわゆるレンジやオーブンで調理するだけのものでパック詰め。必ずしも冷凍食品ではない)は、各社各様だ。昼食としていろいろ食べているが、概して味はいい。しかも肉(魚)や野菜の内容量が多いのがうれしい。B級グルメを自認する小生としては、日本のレディ・ミール(冷凍食品を含めて)も大いに見習ってほしいと思う。
さて、これまでの間で、我々が見付けた面白いもの(もちろん買ったもの)を、日本食材を中心にして上げれば次のようになる。
![]() 本当におかき |
1.おかき
昨年の10月頃から12月頃までアスダでライス・クラッカーとして販売されていたもの。日本のおかきとまったく変わらないしょうゆ味で、10箱ほど買い置きした。「食料品価格情報」で紹介したが、その後はまったく見かけなくなった。クリスマス特別企画だったのかもしれない。
2.椎茸
テスコのマッシュルームコーナーにある。商品名もShiitakeである。センズベリーには薄切りにした干し椎茸もあるが、これは中華食材店で買った方がいい。日本の干し椎茸と同じものが手に入る。
![]() 1袋 9p! |
3.インスタントラーメン
粉末スープ付き乾麺。日本のインスタントラーメンと同じようなパッケージ。マレーシア製。どのスーパーにも置いてあるが、アスダでは、ナント9pで売っている。20円しないのだ。味は、エビ、チキン、カレーがある。麺それ自体は美味しいが、スープは我慢できない味。子供達はそのほとんどを残した。
通常は、中華食材店キャンベルで香港製「出前一丁」を食べている。これは35pで味は日本と変わらない。しかし、その姉妹品として販売されている中国人好みの味の「出前一丁」は、いずれも美味しくない。買わない方がいい(食べてみないとわからないけどね、どれほどの味か。我々はすべて買って食べて後悔した組)。
4.豆腐
アバディーンに来た当初、アスダで買った豆腐は、10月頃には店頭から姿を消した。その代わりオーガニックトーフという、硬い豆腐が販売されたがこれも現在では姿を消している。中華食材店キャンベルで見付けたエディンバラ製の豆腐は、たった1回だけで姿を消した。しばらく豆腐とは無縁だったが、4月にセンズベリーでMorinaga製の豆腐を発見。商品名はFirm
Tofu。1箱(297g)99p。この豆腐、世界中で販売されている輸出仕様の豆腐。ちょっと硬い絹ごしで日本を思い出す色つやだが香りはほとんどない。食感は杏仁豆腐に近い。
5.うどん・焼きそば
昨年の暮れ頃から、テスコで焼きうどん・焼きそばを、センズベリーではそれに加えて素うどん(スープ付き)を販売し始めた。3種類とも同じ会社(Yutaka)製。付いているスープには日本語が書いてある。これはまったく日本で食べるものと変わらない味。かき揚げ天ぷらうどんにすると美味しいですよ、これは。
6.日本そば
これもセンズベリーで発見。AMOY(淘太)という会社が作っているもの。Soba Noodleと書いてあり、200gで99p。色はまさしくそばの色。しかし、めんは短く、ツルツル食べるというわけにはいかない。味は、ない・・・。
7.カップヌードル
こちらにもカップ麺があり、どのスーパーにも置いてあるが、日本人の味覚にはまったくマッチしない味(はっきりいってマズイ)。
日清のカップヌードルは生協でだけ販売している。昨年はオランダ製だったが、最近買ったものはドイツ製になっていた。このドイツ製のカップヌードル、先の日本そばと同じく、麺が極端に短い。意図的に短くカットされているのであった。
8.ザクロ
日本ではまったく見かけなくなったザクロだが、テスコではほぼ年中置いてある。懐かしさのあまり買って食べたが、そんなに酸っぱくなく美味しかった。子供達にとっては初めての味。種の多さに難儀していた。
9.みかん
日本のみかんと同じ種類。冬場にすべてのスーパーで販売され、4月現在でも販売されている。商品名はサツマス(Satsumas)。スペイン産。皮を手でむくことができて日本のものと変わりなかった。同じようなみかんに、オワリ(Owari)、クレメンタイン(Clementine)などがあった。ただしクレメンタインは皮の薄いオレンジといった感じ。
![]() これは美味しい |
![]() これも美味しい |
10.梨
梨はNashiという商品名。長十郎といわれる品種のようだ。昨年の暮れから現在まで出ている。中国産。
ちなみに、我々がいう「洋梨」は、当地ではバナナと同じほどポピュラー。昨年の暮れから現在まで洋梨コーナーができるほど幅を利かせている。これもトロッとして、日本で食べる洋梨より美味しく感じる。
11.柿
イスラエル産で、暮れにほとんどのスーパーで販売していた。ゴマもたくさん入っていて美味しかった。シャロン・フルーツ(Sharon
Fruits)という商品名。
12.カブ
ターニップ(Turnip)と表示されている(カブそのまま!)。年中販売。わざとなのかどうかわからないが、ほとんどしなびた状態で販売されている。初めからカブの漬け物にしたような感じ。それでもできるだけしなびてないものを買って、一夜漬けにしたりみそ汁に入れたりしている。これはどこでも手に入る。
![]() これはNew Zealand産 |
13.かぼちゃ
4月のはじめにセンズベリーで発見。商品名は、ズバリKabochaである。1個(785g)で86p(1kg£1.09)。最初に買ったものは南アフリカ産。次に買ったものはニュージーランド産だった。日本のものと姿、色とも変わらないが、水っぽく、香りは薄い。
14.中華総菜
どのスーパーにも総菜コーナーがある。ほしいものを好きなだけ量り売りしてくれる。チャイニーズとインディアンはTakeaway風(お持ち帰り風)にしてセット販売しているものもある。味はどのスーパーでもほぼ同じで美味しい。我々は、時々、チャイニーズを買う。どれも基本的に、あんかけ。「鶏肉とカシューナッツ」「牛肉」「鶏肉のトマト味」など、日本人の味覚にマッチする味。
その他に、春巻(Spring Roll)も本格的(スコットランドで本格的中華というのも変だが)。アスダの総菜コーナーには、プラウン・バタフライというエビフライもある。これも美味しい。
15.焼き鳥
我々が焼き鳥だと思っているものは、正確には中近東周辺の食べ物らしく、ティッカ・サティ(Tikka
Satay)という。竹串に刺さっているので焼き鳥とそっくりだ。
16.ヒューモス
パンのようなものに付けて食べるディップの種類は、きわめて多い。インド、中近東、地中海そしてメキシコあたりで食べているものが販売されている。どのスーパーでも、いつでも置いてある。パンのようなものとは、日本でも知られているインドのパンであるナン(Naan)、それを小ぶりにしたようなピッタ(Pitta)、乾パンのようなブレッドスティック(Bread
Stick)が定番。一方、ディップでは、うずらまめをすりつぶしてニンニクなどで味付けしたヒューモス(Hoummos)というペースト、タラコベースのペーストであるタラマサラタ(Taramasalata)、トマトとスパイスを混ぜたサルサ(Salsa)など。もちろん主食としてもいいが、我が家ではスナックとして食べている。お気に入りはヒューモスとサルサ。とくにヒューモスは、帰国後探してみたいほどだ。
17.アトランティック・サーモン
当地の魚で、唯一自慢できるもの。それは鮭。値段は結構高いが、最近アスダでは半額セールをやっている。鮭の切り身を買ってきて軽く塩をしてグリルで焼いてしょうゆ油で食べる。とにかく日本のものより切り身が肉厚で食べ応えがあり、非常に美味しい。これだけは北海道の鮭もかなわない。持って帰りたいほどだ。
聞けば、当地の鮭は大西洋の鮭(アトランティック・サーモン)だという。日本で食べる太平洋の鮭(パシフィック・サーモン)とは種類が違うらしい。そこに味の違いがあるという。ホントかどうかはわからないが、とにかくおいしさは抜群。スモークサーモンなんかにして食べるより、数段美味しい。
当地に来る前は、食べ物についてはまったく期待していなかった。しかし、当地のスーパーに置いてあるものは英国固有の料理や食材ばかりではなかった。これは、幸か不幸か英国が列強の一つとして世界中に植民地を作っていた時代のなごりかもしれない。英国内に沢山の人種が住み、その人々が食するものを受け入れていった結果、スーパーにもさまざまな国々の食材が自然に置かれるようになったのかもしれない。これが我々には幸いした。
「英国で何を食べてきた?」と問われて、間違っても、ローストビーフ、スモークサーモン、スコッチエッグなどという答えは出てこないだろう。それらを食べた回数は片手でも余るのだから。
「英国で何が美味しかった?」と問われれば、やっぱりご飯とみそ汁と答えるだろう。何しろ、英国でご飯とみそ汁が食べられたのだから(ちょっと皮肉が強すぎるかなあ)。[24/Apr/2000]
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