情報処理論 1987...2003年度講義資料
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  1. モデルを作って考える

  1. 1 グラフを使って答えを導く

練習1: 積立預金の計算とグラフ

A B C D E F G H
1 元金合計 利子 元利合計 月々の積立金

20,000

2

1

20,000

0

20,000

年利(%)

0.24

3

2

40,000

4

40,004

月の利率

0.02

4

3

60,000

8

60,012

積立期間(月)

24

5

4

80,000

12

80,024

21

20

400,000

76

400,760

22

21

420,000

80

420,840

23

22

440,000

84

440,924

24

23

460,000

88

461,012

25

24

480,000

92

481,104

  1. セル範囲A1〜D1とF1〜G4に、表1のような項目名と年利率、毎月の積立金と積み立て期間を入れ、月当たりの利率をセルG3に計算しておく。A列の月数はオートフィル機能で入力する。
  2. 1月目の各セルには、B2に「=G1」、C2に「=0」、D2に「=B2+C2」の計算式を入れる。
  3. 2月目の計算式は相対参照と絶対参照を考慮して入力する。まずセルB3に入れる式は「=B2+$G$1」でよい。月々の利子はそれまでの元金合計に1ヵ月の利率をかけたものである。月々の利子は、式=(前回の元利合計)×(1ヵ月の利率)、で計算できるから、セルC3には「=D2*$G$3/100」を入れる。
  4. 今回の元利合計は、式=(前回の元利合計)+(今回の積立金)+(今回の利子)、で与えられる。したがってセルD3の計算式は、「=D2+$G$1+C3」となる。
  5. 3月目以降の式の入力は2月目の計算式が正しく入力されていれば簡単です。3月目から24ヶ月目の積立金額は、セル範囲B3〜D3にある2月目の計算式を残りのセル範囲B25〜D25にコピーすれば求められる。最後の行に求める答え481,104円が表示されている。
  6. 最後に、表1の横に、次の図1のような折れ線グラフを描きなさい。


 図1 元の大きさで表示します

練習2: 積立預金のグラフ解法

  1. グラフエリア全体を編集状態にする。
  2. 元利合計の折れ線グラフを選択する。データのマーカー(marker)が大きな表示に変わる。
  3. マウスの左ボタンで折れ線グラフの右端をつかんで引き上げ、金額が50万円のあたりで離してみる。
  4. (右端あたりでマウスを動かし、ポインターが上下方向の矢印"⇔"に変わったら、グラフの右端をドラッグする)
  5. すると、ゴールシークのダイアログボックス(図2)が開く。一般に、グラフの最終値が数式で与えられる場合にゴールシークのダイアログボックスが開くようになっている。ゴールシークは2章4節で既に紹介済みである。
  6.  図2: ゴールシークのダイアログ

  7. 24ヶ月目の金額を与える数式($D$25)が目標値の50万円になるように「変化させるセル」は月々の積立額であるから、セルG1をマウスで選択して指定する。
  8. [OK]ボタンを押せば、24ヶ月後の元利合計を計算する数式が目標値を満たすように逆算がスタートし、セルG1の数値が一瞬の間めまぐるしく変化する。再びゴールシークのダイアログが開き、現在値が目標の50万円に一致したことを告げて、セルG1に答えが示される。
  9. [OK]ボタンを押せば、計算表とグラフが目標値に合せて再計算される。

  1. 2 小企業の売上利益のモデル

練習3: 計算モデルの入力

    手順:
  1. 表2を参考に、すべての項目名および1995年度について必要な数値または計算式を入力する。
  2. 表3を参考に、すべての項目名を入力する。
  3. 変化させるセルの指定:

  4.  この会社の場合、売上げは毎年10%程度は伸ばしたいと考えているが、それに伴って経費や社員数も余計に増えると考えられる。物価や賃金の上昇も考慮しなければならない。そこでこれらを表2のセル範囲A17〜A20に記入した4つの要因にまとめておく。伸び率、上昇率の数値を変化させてその影響を検討するために、これらの数値は独立のセル範囲B17〜B20の各セルに入れておくことにする。これらの数値はモデルのパラメータ(係数)と呼ばれる。こうして、上の関係式が毎年成り立つと仮定することが、この企業の売上げ利益の計算モデルとなる。

  5. 翌年1996年の見込み値を求める計算式をC列に入力する。

  6.  表3で、C列の右に「=式」と印してあるところには以下の式を入力し、右に印がないセルには前年1995年の対応するセルをコピーする。例えば、セルC4の売上高は式「前年×(1+伸び率)」で求められるから、セルC4には「=B4*(1+$B$17/100)」を入力する。同様に他のセルも含めて計算式は以下のようになる。

    注: 人数について説明しておこう。0.5を加えた上で、 INT ( … ) という数学関数で整数化(小数点以下を切り捨てる)することによって、 前年×(1+増加率)で求まる値を四捨五入して人数を求めている。

  7. 1997年度から1999年度までは、1996年度の式をコピーする。これで表3の結果が得られる。

 

練習4: モデルの係数の値を動かす(What if分析)

練習5: シナリオの登録と活用

 What if 分析を行う場合、前提条件の項目が多いと様々な状況を想定してそれらの結果を比較することが容易ではなくなる。表計算ソフトには、前提条件の組合せを設定し、それぞれのケースで予想される結果を体系的に管理する「シナリオ管理機能」が用意されている。

 次の3つのシナリオを登録する。

  1. 最初のシナリオを登録しよう。[ツール]メニューから[シナリオ(E)...]を選択すると、図3(a)の「シナリオの登録と管理」ダイアログが開く。
  2. ここで、[追加]ボタンを押すと、図4の「シナリオの編集」ダイアログが開かれる。入力ボックスの[シナリオ名]と[変化させるセル]を指定する。変化させるセルは複数あってもよい。(図4の例では、B18:B19とB20の2つに分けて入力) そして[OK]ボタンを押すと、
  3. 図5の「シナリオの値」ダイアログが開かれ、変化させるセルの値を入力することができる。ここでは、当初予測のシナリオとして、「8, 5, 8」%を入力する。
  4. 図5で[OK]ボタンを押すと図3(b)のような「シナリオの登録と管理」ダイアログに戻る。
  5. 同様にして、図3(b)で[追加(A)]ボタンを押し、他の2つのシナリオを登録する。

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 図3(a): シナリオのダイアログ (初期状態)

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 図3(b): シナリオのダイアログ (登録中)

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 図4: シナリオの編集ダイアログ

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 図5: シナリオの値を入力

  1. シナリオを登録したら、シナリオの管理(利用)ができる。図3(b)の「シナリオの登録と管理」ダイアログでシナリオを選択し、[表示(S)]ボタンを押すと、そのシナリオの値に対する計算が実行され、ワークシートに結果が表示される。

    ところで、実際の企業ではシナリオの数はもっと多くなるであろう。それらのシナリオを一覧して比較してみる必要が生じる。もちろんその為の機能も用意されている。

  2. 図3(b)で、[情報]ボタンを押すと、図6の「シナリオの情報」ダイアログが開く。ここで[結果を出力するセル]を指定する。今は、売上利益率の表示されるセルF15を指定し、[OK]ボタンを押す。
  3. すべてのシナリオについて変化させるセルの値と結果の一覧表が新しいワークシート「シナリオ情報」に表示される。
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 図6: シナリオの情報ダイアログ

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 図7: シナリオの情報(結果)

参考: 損益分岐点分析

 


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