情報処理論 1987...2002年度講義資料
[Syllabus], [Prev], [Next], [Text & references]

 

  1. モデルを作って考える (2)

  1. 3 減価償却のモデルと財務関数

練習5: 定率減価償却法とDB(...)関数

 さて、次の表6のワークシートをブック名「M減価償却」で作成する。

  1. 必要なデータをB列に入れる。残存価額の初期値としてセルG3に式「=B3」を入れる。
  2. 1年後の減価償却額に当るセルE4を選択し、関数ウィザードを起動して、式「= DB ( B$3, B$7, B$5, D4, 12 )」を与える。これは機械を初年度の当初に購入したものとして計算している。
  3. セルF4に式「=F3+E4」を入れる。1年後の残存価額はセルG4に式「=G$3−F3」を入れて求められる。
  4. 1年後のセル範囲E4〜G4の式を12年後までコピーする。

  1. 計算のチェックをしておこう。ポイントは2つある。まず、12年後の残存価額は 200万円になっているだろうか。また、毎年の償却率は一定になっているだろうか。

     その年の償却率は、=(当年の減価償却額)÷(当年の始め、つまり前年末の残存価額)、で定義される。セルH4に式「=E4/G3」を入力し、これを 12年後までコピーする。 確かに償却率は 17.5 %の定率となっていることが分る。 しかし、残存価額は約 198.8万円となっており、200万円と比較すると少し計算に誤差があるようだ。

     定率法では、固定利率で減価償却費が計算される。特定の期に対する減価償却費は、次の数式

      (取得価額 - 前期までの償却費累計額) * 償却率

      償却率 = 1 - ((残存価額 / 取得価額) ^ (1 / 耐用年数)
    で表される。ここで、償却率の計算結果は、Excelのヘルプによると、小数点以下第 3 位で四捨五入されているので注意が必要である。

  2. 減価償却額,累計,残存価額の経過年数に対する推移を折れ線グラフで表す。

  3. ここまでは千円を単位にして計算したが、今度は1円を単位にして計算し直してみなさい。残存価額は 200万円に非常に近くなるであろう。この場合も償却率は17.5%になっているので、練習5の誤差の原因は、DB(...)関数の償却率の決め方の精度(小数点以下第 3 位で四捨五入)にあると考えられる。

 

練習6: 財務関数 PMT() 等を利用したローン返済方法の比較

 第2章で,財務関数 PMT()とPPMT() を利用してボーナスを併用したローン返済の例題を学びました.返済総額の内訳では、元金に対して利息の支払いがあまりに大きいことを知りました. その利息を少しでも減らすために,いくらかの金額を返済期間よりも先に臨時に返済し,利息の山を少しでも取り崩すことを「繰り上げ返済」といいます. ここでは繰上げ返済によって,元金の返済と利息の支払いがどのように変わるか調べてみる.

    表8: 【ブック名 = Mローン返済】
    ABCDEFG
    1ローン返済の比較
    2注:各自の練習のために***部分は伏せてある
    3借入金額\25,000,000
    4返済年数25
    5年利率0.04
    6繰り上げ返済なし繰り上げ返済49回目\1,000,000
    7月返済額\131,***109回目\0
    8
    9支払回数元金返済分利息支払分元金返済分利息支払分月返済額
    101\48,626\83,3331\48,626\83,333\131,***
    1113\50,607\81,3522\50,***\81,***\131,***
    1249\57,048\74,9115\54,***\71,***\126,***
    13109\69,655\62,30410\66,***\59,***\126,***
    14169\85,***\46,***15\81,***\45,***\126,***
    15229\103,***\28,***20\99,***\26,***\126,***
    16289\126,***\5,***25\121,***\4,***\126,***
    17300\131,***\***\126,***\***\126,***
    18
    19返済総額\39,***,763\39,***,614

  1. ある期日においてどれほど元金が返済されているかを計算するには,第2章で学んだように,PPMT関数を使います.1年目の1月目の元金返済額を求める計算式は次のとおりです。
      セルB10に,= PPMT ( $B$5/12, A10, $B$4*12, -$B$3, 0)
  2. ある期日における利息の支払額を計算するには,IPMT関数を使います.1年目の1月目の利息支払い額を求める計算式は次のとおりです。
      セルC10に,= IPMT ( $B$5/12, A10, $B$4*12, -$B$3, 0)
  3. セルB10, セルC10の式ではこれらを下方向に複写して他の支払回数に対しても計算結果が得られるように,適当に絶対指定をしてあります.2年目の1月目(13回目)以降の元金と利息に対する支払い額を求めて表を完成してください.
  4. セルB7に毎月の返済額を,セルB19に25年間の返済総額を求めてください。
  5. いま,5年目の1月目につまり49回目の返済月に,100万円を繰り上げ返済したとします.
  6. 繰り上げ返済以前の1回目と13回目の返済については先ほどの場合と同じ計算になるので,セルE10とセルF10の計算式およびセルE11とセルF11の計算式は説明しません.
  7. 100万円の繰り上げ返済をするセルE12とセルF12の場合は,現在価値が100万円分減少するとして計算すればよい.よって,元金返済と利息支払いを求める計算式は次のとおりです.
      セルB12に,= PPMT ( $B$5/12, A10, $B$4*12, -$B$3+$G$6, 0)
      セルC12に,= IPMT ( $B$5/12, A10, $B$4*12, -$B$3+$G$6, 0)
    この場合の月返済額は元金と利息の合計として計算する.セルG10に,= B12 + C12
  8. 残ったセル部分は上の計算式の複写を行って表を完成してください.返済総額E19の計算式は月返済額(+繰り上げ返済分)から計算できますが,各自で考えてください.