1993年3月

5つの顔を持て

 ご卒業おめでとうございます。
ほとんどの皆さんが、卒業と同時に学生生活にピリオドを打つのでしょう。「学生時代が楽しかった」「もう一度あの日に戻りたい」というセリフはよく聞く話。しかし、本当に学生時代は楽しいことばかりでしょうか。難しい講義に頭を悩まし、定期試験勉強で徹夜の連続。そんな生活に追い打ちをかけるような卒業レポートの作成。それでも自宅通学生はまだいいでしょう。一人暮しをしている者は、絶えずキン欠病にかかっていたのではないでしょうか。こんな4年間が、ホントに楽しいといえるでしょうか。
社会人になれば、駆け出しの身とはいえ、一定の収入を得ることができます。とりあえず、キン欠病は解消します。
 なによりも、講義もないし試験もない。むしろ、学生時代より充実しそうなものです。
 しかし、もし、皆さんの中で「それでも学生時代のほうがよかった」と思うときがあれば、その時は、鏡で自分の顔を見て下さい。あなた自身が鏡の中にいる。あなたは、○×株式会社の社員である。上司に怒られながらも、毎日、会社と自宅の往復を繰り返している・・・。そこには、○×株式会社社員としての自分しかいません。これでは、つまらないハズです。会社を離れた所で、別の顔を持って下さい。カルチャーセンターに通う自分、彼または彼女と会ってる時の自分、同級生と会ってる時の自分・・・。それぞれは、あなたの肩書のない、別々の顔です。この「顔」をできるだけ多く、しかも継続して持ち続けること、つまり自分のいる場をたくさん作ること、これが、長い社会人生活を充実させるコツの一つだと思います。
 そして、充実した生活の中で、いい想い出として、学生生活を懐かしんで下さい。

おくることば 1993年→1994年

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