2014年3月

All is Well

 ご卒業おめでとうございます。
 昨年、「3 Idiots」(三バカ)というコメディ映画を観ました。インド映画です。インド映画といえば、かつて話題となった「ムトゥ踊るマハラジャ」がそうであったように、3時間近くの映画が当たり前で、ストーリーとは別に歌って踊る場面があるというのがお決まりのパターンです。「3 Idiots」はイメージしていたような歌や踊りの場面は少なかったのですが、上映時間はお約束どおりほぼ3時間(170分)でした。
 簡単にストーリーを紹介すると、インドの名門工科大学に入学した3人の若者の在学中の出来事と、卒業して10年後の3人の生き方が描かれています。在学中にはやんちゃなことばかりして、学長や同級生に「ばかもの」呼ばわりされる3人。卒業後、そのうちの一人が行方不明になる。10年後、その仲間を探して旅に出る級友2人。そして再会。ここで伏線として張られた事実が明らかになり、あっと驚くと同時に、快哉を叫びたくなるようなステキな気分を味わいました。
 この映画を観ると、インド社会も猛烈な競争社会であり、親兄弟、親類縁者の期待を背負って大学に入学し、いい成績をあげ、いい会社に勤めることが幸せであると考えられていることを実感します。もちろん、映画制作者側はそのような社会のあり方に警鐘を鳴らす意味を込めているのでしょうけれども…。
 行方不明になった一人の主人公は、学生時代には怒られる、けなされもする中で、それにもめげず、やること(=大学生としての本分)は忘れませんでした。
 大学卒業後も、主人公たちは在学中と同じような考え方をし、学生時代と同じような行動パターンを取ります。たった4年間ですが、その4年間がその後の生き方に影響を及ぼしていると考えることができます。
 皆さんは大学生としてどのような時間を過ごしたでしょうか。映画と同じように、この4年間の過ごし方、ものの見方、考え方が10年後の生き方に関わってくると考えると、『なんだかうまく行かないことが多かったなあ。この先、大丈夫かなあ』と思う人もいるのではないでしょうか。
 そんな自省と不安を抱く卒業生の皆さん、ご安心を。
 この映画には邦題がありました。

 「きっと、うまくいく」(All is Well)

 皆さんの今後に大いに期待しています。

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