2005年3月

「費用対効果」って・・・言うじゃない?

 ご卒業おめでとうございます。
 昨今、環境に配慮した企業経営が叫ばれています。
 会計の世界でも環境会計なる領域が構築されましたが、その中で、にわかにクローズアップされた言葉が費用対効果という言葉です。「持続可能な発展のために、環境に優しい経営を目指してお金を使ったけれど、その支出の効果がどれだけあったのだろうか」ということを客観的な数値を用いて判断する場合に使います。
 この費用対効果という言葉は、皆さんにとっては、企業が行う広告宣伝の効果の問題として考えた方がわかりやすいかもしれません。日経広告研究所の調べでは、2003年度の広告宣伝費支出額第1位はトヨタ自動車で949億6,100万円。これは売上高の1.06%です。「なーんだ、売上高に比べれば大したことないじゃないか」と思うかもしれません。しかし、第4位の花王は売上高の8.84%、第9位のベネッセは17.57%も広告宣伝費を費やしています。費用(広告宣伝費)とその効果(売上高)を直接的に結びつけることが困難であるからこそ、企業ではCMの効果が上がるように(販売促進につながるように)あれこれ戦略を練る必要に迫られます。
 ところで、大学4年間における皆さんの費用対効果はいかがでしょうか。教育にはお金がかかります。お金を出して大学に通うと決めたのは何らかの効果を期待してのものでしょう。少なくとも費やしたお金に見合うだけの見返りを期待するのは当然でしょう。でも大学に通ったことによる効果をどうやって評価すればいいでしょうか(もっとも教育効果は持続的なもので、単に卒業時点だけで判断できるものではありませんが)。
 客観的な尺度は思いつきませんが、卒業時点では、まず皆さんが、極めて主観的ながら「大学時代の学びや生活は満足のいくものだったかどうか」を評価することでしょう。ただここで、費用対効果という点から忘れてはならないことは、もう一人の評価者の存在です。つまり教育を受けた本人とは別に、教育にお金を費やした人もまた満足したか(支出の効果があったと思うか)も評価しなければならないということです(教育を受けた人=学費を出した人なら問題なしですが)。
 今はただ、大学生活を送った皆さんが、この4年間は満足できるものだったと評価すると同時に、お金を出した人もまた、効果的なお金の使い方をしたと思ってくれることを祈るばかりです。
 でも、今さらそんなこといわれても遅すぎますから!残念!

おくることば 2004年→2005年→2006年

et cetera 周辺事情

インデックス 講義関係 演習関係 研究関係