１月のある休日、「お城でも見に行こうか」ということで、ぶらっと出かけたのはトルクホン城（Tolquhon Castle。トゥフーン城とも発音される）。トルクホン城は自宅から約18マイル北にある廃墟と化したお城である。冬場はウィークエンドだけの開館で、しかも我々が到着したときにはまだその日の開館前だった。
　 ゲートから中庭の方を見ると何とも美しい、青々とした芝と、独特の雰囲気を持ったトルクホン城が見える。もちろん我々以外に見物客はいない。ゲートがわずかに開いていたので中に入ると、今しがた掃除を終えたばかりといった風情の女性がこちらに歩いてきた。「中に入れますか」と聞くと「もちろんです」との答え。「では入館料を支払って下さい」といわれ売店に入る。
　 「あなた方ご家族ですと、フレンズ・オブ・ヒストリック・スコットランドの会員になると300以上ある施設の入場料が無料になりますよ。ここでも手続きができます」とその女性。「会費はいくらですか」と聞くと、家族会員の年会費は£45であるという。そんな大金、持ち合わせていなかったので、その場はそこの入場料を支払って見学することにし、申込書をもらって後日申し込むことにした。

　 ちょっとした観光地に行けば「ようこそHISTORIC SCOTLAND」と日本語で書かれたリーフレットを入手することができる。そのリーフレットには見学するために入場料を必要とする68の施設が日本語の解説付きで示されている。場所によって入場料は異なるが、大人２名、子供２名（５歳未満は無料）で、トルクホン城は£5.1。もっとも高いのがエディンバラ城で大人１名£6.5、子供は£2、したがって大人２名と子供２名で£17。はじめは年会費£45がどれだけの効果をもたらすかはわからなかった。しかし訪れるたびに小銭を用意するという煩わしさから開放されるし、まだ帰国まで時間的に余裕があったので会員になるために申し込みをした。　

　 申し込みから２週間もすると、２枚の会員証とともにファイルに綴り込まれたリーフレットやら小冊子やらが送られてきた。
　 その後このカードを持ってエディンバラ城に行ってこのカードの効果を実感できた。もちろん入場料が無料になった。入り口でカードを示すだけである。エディンバラ城は大規模な観光地であるため売店も充実している。ついついお土産を買い込んでしまった。しかし、レジでこのカードを示すと、すべて商品が20％引きになった。こちらの特典の方がカードの効果を実感できた。これはヒストリック・スコットランドのほとんどの施設で適用される。したがってカードを所有してから訪れた施設ではどんなにわずかな買い物でも20％引きで商品を購入できたのである。

　 さて、カードとともに送られてきたものの一つに、サイト・ガイド（HISTORIC SCOTLAND THE SITES TO SEE:A guide to over 300 historic sites spanning 5,000 years）があった。

　 このサイト・ガイドによれば、300を超える史跡のうち32ヶ所がアバディーンを中心とするグランピアン地方にある。このガイドをつらつらと眺めているうちに、『アバディーン滞在中、休日を利用して、最低限これらの史跡はすべて訪れたいな』と思うようになってきた。
　 ところで、グランピアン地方には、ヒストリック・スコットランドとは別にテーマ別のトレイル（観光地ルート）も設定されている。城を巡るカッスル・トレイル、ウィスキーの蒸留所を巡るモルトウィスキー・トレイル、海岸線を巡るコスタル・トレイル、古代の遺跡を巡る古代史トレイル、そして王室ゆかりの地を巡るロイヤル・トレイル。もちろん、これらの中にはヒストリック・スコットランドと重複する施設もある。我々は、天気と相談しながらの気ままな訪問なので、各トレイルとヒストリック・スコットランドの各施設を組み合わせて訪れようということにした。

　 ところで、サイト・ガイドに掲載されている32の施設は次のとおりである（アルファベット順に通し番号が記載されている）。

それでは、我々と一緒にアバディーン・グランピアンの史跡めぐりに出てみましょう。GO

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