つまみ

2005年8月から2008年7月まで、ブログに記事をエントリしていました。
そこにエントリした記事のうち、簿記や会計に関係する記事を紹介します。
皆さんの勉強の「つまみ」にしてください。


お忘れではありませんか?

2005-09-26 16:47:14 | 仕事(第1業務編)

 今日は、「簿記原理」の復習。
 前回行ったアチーブメント・チェックの採点が終わりましたが、あまり感心しない出来映えの方が多かったようです。
 講義中に「言葉の上滑り」という話をしましたが、知っている「つもり」は、肝心なところで役に立たないことが多いです。最初はつらいですが、一つ一つの言葉・用語・形式を時間をかけて理解するようにしてくださいねー。
 仕訳も同じです。理解してないものは改めて復習し、知ってる「つもり」のものは、もう一度、見直しをかけてください。そうすれば、どんどん頭の中にたまっていきますよ。
 それから、これまた最初が肝心なのですが、わからないことがあれば、いつでも気軽に質問してください。メールでもOKです。


株主からもらったお金、資産、負債、資本のどこに記載される?

2005-10-06 22:09:24 | 仕事(第1業務編)

 今日の応用簿記原理の授業で、企業が株主からもらったお金は、貸借対照表のどこに記載されるかというクイズを行いました。もちろん、ここでいう「お金」は、投資家が自分の資金で株式を購入したときに、企業に対して払い込んだお金のことです。
 こちらとしては、資本金として資本の部に記載されるという答えを期待していたのですが、回答者が考えすぎたのでしょうか、なかなか正解にたどり着きませ んでした。「企業が現金を受け取った」という点だけを見れば、そのお金は資産になるという答えも、まあ、許される範囲でしょう。
 こういったクイズは、「教養」として知っていて欲しいと思われる基礎知識に属する話題に関するものです。経済学部の学生として最低限知っておいて欲しいと思います。
 さてもう一問。
 銀行から借りたお金は、貸借対照表のどこに記載されるでしょうか?


講義が眠いワケ

2005-10-18 14:21:48 | 仕事(第1業務編)

 最近、教室に入って椅子に座ると同時に机にへばりついてしまう学生を多く見かけるようになりました。へばりつくヒトが必ずしも寝ているわけではないのですが、多くが寝ているようです。
 T講目は朝早くて眠い。
 U講目は何となく眠い。
 V講目は昼食後で眠い。
 W講目は疲れが出て眠い。
 X講目は夜が近づいて眠い・・・・・。
 「寝たくて大学に来ているのではない。講義がつまらないから寝てしまうのだ」という方。スイマセン。以後もっと工夫します。しかし、「楽しい講義」にはならないので悪しからず。遊んで楽しいという感覚とは性質が違います。
 大学教員のほとんどは、学生時代、講義中寝た経験を持っていると思います。かくいう小生もその一人。
 「講義がつまらない」「わからない」・・・そこに睡魔が・・・「でも寝ちゃいけない」・・・ついウトウト。こんな感じだったと記憶しています。けっして机にへばりついて寝るということはありませんでしたよ。
 今の皆さんと小生が学生だった頃と、いったい何が違っているのでしょうかねぇ。


繰延資産って?

2005-10-27 19:35:49 | 仕事(第1業務編)

 繰延資産は、英語ではdeffered chargesと表現されます。これは「繰り延べられた費用」ということで、決して資産を意味する言葉ではありません。ちなみに資産は英語でassetsといいますが、deffered assetsという言葉はないようです。
 また、繰延資産は、引当金と並んで、もっとも会計的な事項といわれています。講義でもいいましたが、本籍は費用、現住所が資産というのが繰延資産です。フツーに考えると「なんのこっちゃ?」と思ってしまいますよね。
 費用は損益計算書に記載され、資産は貸借対照表に記載されますから、ますます混乱するでしょう。
 繰延資産は、適正な期間損益計算、もう少しいえば費用収益対応の原則を論拠にして考え方が構築されたものです。
 簿記原理というレベルでは、それほど考える必要がないものなのかもしれませんが、じっくり考えてみると面白いと思いますよ。


負債と債務

2005-10-31 17:02:45 | 仕事(第1業務編)

 簿記(会計)を勉強していて、いつも気になるものの一つが負債と債務の違いです。
 広辞苑で意味を調べてみましょう。
負債
@他から金銭・物資を借りること。また、そのもの。債務。
A企業会計上、将来、他の経済主体に金銭などの経済的資源を引き渡す義務。引当金などを含む点で法的債務よりも広い。
債務
他人に対して一定の給付(行為)をなすべき義務。民法上、契約・事務管理・不当利得・不法行為などを原因として発生する。→債権。
 債務は、法律上の用語だけあって、さすがに難しく表現していますね。
 会計上の用語としての負債は、まず、広辞苑にあるように「法的債務より広い」というところに着目すべきでしょう。次に債務よりどれだけ広いかということに着目しましょう。
 はじめは、なかなか区別がつかないものですが(イメージとして理解できないものですが)、簿記(会計)を勉強するときには、乗り越えなければならない部分の一つです。


社債と有価証券

2005-11-07 22:19:19 | 仕事(第1業務編)

 簿記を学んでいて、油断すると混同してしまう処理の一つが社債と有価証券です。
A「A社社債¥100,000を現金で購入した。」
B「額面¥100,000の社債を¥98,000で発行し、代金は現金で受け取った。」
【油断した仕訳例】
A:社  債 100,000/現  金 100,000
B:現  金  98,000/社  債  98,000
 どこが間違いか、わかりますか?

 まず理解して欲しいことは、勘定科目として、有価証券は資産、社債は負債です。まったく別ですね。AにもBにも社債という言葉がありますので、ついつい 社債勘定で処理したくなりますが、Aは他社の社債を自分の資産として購入したのであり(資産の増加)、反対にBは、資金調達、つまりお金を借りるために、 社債を発行して(負債の増加)他人に「買ってもらった」ものです。
 実際に自分が社債を買ったり、発行したりしないので、初めのうちはこの違いがなかなか理解できないものです。

 さて正解は・・・。
 どうしてもわからない方は、メールで問い合わせてください。


もう一度考えてみましょう

2005-11-14 20:52:41 | 仕事(第1業務編)

 今日は、株式会社の資本の部について取り上げました。
 講義でも話しましたように、2006年5月には新しい法律、会社法が施行されます。これまでの商法と有限会社法をひとまとめにした法律です。この法律では最低資本金規制が撤廃されますので、資本の概念(考え方)がこれまでとは違ってきます。
 ところで、そういったこと(法律上の問題)とは別に、簿記的に資本はどのように処理されるか、もう一度考えてみましょう。
 「現金10,000円を資本金とした。」という事例を考えましょう。これは株式会社というよりは、個人商店の取引ですよね。
 皆さんは次のような仕訳をするでしょう。
 (借方)現金 10,000/(貸方)資本金 10,000
 この仕訳からどんなことがいえるでしょうか?
 借方の現金は資産ですね。一方、貸方の資本金は資本勘定です。大切なことは、現金10,000円があるのであって、資本金10,000円があるわけでは ないということです。この場合の資本金10,000円は、「今手許にある現金のうち10,000円は、資本金として帳簿に記載したものである」ということ です。帳簿上、資本金というものが10,000円と記載されているのであって、手許にあるのは現金10,000円です。
 この10,000円の現金でモノを買ったり、商品を仕入れしたりするのです。ということは、資本金10,000円というのは、あくまでも帳簿上の金額でしかないということです。
 しかし、帳簿上の金額はすこぶる重要です。この資本金を減らさないように経営を行わなければ経営が行き詰まるのです。簿記では、絶えず借方と貸方のバランスが重視されます。このあたりをしっかりと理解することができることを期待しています。


売上原価は単なる仕入値ではないわけで・・・

2005-11-17 21:27:07 | 仕事(第1業務編)

 小生、学生時代、売上原価を仕入値と同じものと思っていました。売上原価の意味をちゃんと考えれば理解できることなのですが、いい加減に聞いていたのでしょうね、きっと(反省)。
 100円で仕入れたモノを150円で売れば、100円が仕入値であり売上原価でもあるわけです。「なーんだ、当たり前のことじゃないか」と早合点したのが間違いのもとでした。
 「100円で3個仕入れたモノのうち、2個だけ売れたときの売上原価は?」と聞かれて、「???」となってしまいました。仕入値=売上原価なら300円ですが、「そんな簡単な答えでいいの?」と思って(この発想は間違いないでしょ?)、悩んでしまったわけです。
 売上原価は、仕入れた商品のうち販売された部分というのが正しい理解の仕方です。ですので、3個のうち2個売れたならば2個分が売上原価になります。
 基本的なことですが、最初は、このあたりをしっかりと理解しておくことが必要でしょう。


売上原価と商品の期末評価

2005-11-21 17:57:07 | 仕事(第1業務編)

 11月17日の講義で売上原価の計算方法を採り上げました。今日も、決算時点での売上原価の計算方法を紹介しました。
 一般的には、売上原価は次のように計算します。
 売上原価=前期繰越高+当期純仕入高−次期繰越高
 前期に仕入れた商品のうち決算日現在で売れ残ったもの(たとえば商品50円分)に当期の商品仕入高(たとえば商品600円分)を足して(650円)、そこから当期の売れ残り分(たとえば商品70円)を差し引いた金額(580円)が売上原価というわけです。
 ところで、当期の売れ残り分をどうやって計算するかが問題となります。もちろん、商品の仕入れの都度、仕入額は記載されていますし、販売された商品につ いても帳簿に記載されています。商品有高帳なども作成していれば、「帳簿上の売れ残り分」は容易に把握することができます。
 実は、この「帳簿上の売れ残り分」は、あくまでも帳簿上の金額であり、実際にその商品がそこにあるかどうかはわかりません。アルバイトをしていて遭遇し たことがあるかもしれませんが、会社では定期的に棚卸しという作業を行っています。これは、帳簿上の商品の有高と同じだけ実際の商品がそこにあるかどうか を確かめているのです。
 帳簿上の商品の有高と実際の棚卸高が常に一致していれば問題ありません。しかし、時には盗難にあったり、長い間倉庫に保管していてパッケージが変色した りということがあるかもしれません。そんなときには、少なくなったり、価値が減った分を「帳簿上の売れ残り分(金額)」から差し引く手続きが必要になりま す。先の例でいえば、帳簿上の当期の売れ残り分は商品70円でした。しかし、棚卸しの結果、10円分がなくなっていたことがわかれば、実際の商品の残高は 60円になるのです。そしてこの金額が次期繰越高ということになり、貸借対照表の「商品」の価額として記載されることになるのです。
 わかるかなあ。


特殊商品売買って?

2005-11-24 16:53:04 | 仕事(第1業務編)

 今日から商品売買の特殊形態について採り上げます。
 簿記検定などでは「特殊商品売買」といわれている部分です。
 でも、特殊商品売買という表現は、やや論点をぼかした表現に思います。講義でもいいましたが、ここでの論点は「いつ売上を認識するか」ということです。認識という言葉が難しいようであれば、「(貸方)売上という仕訳をいつするのか」ということとして考えてください。
 これまで採り上げてきた商品売買と少し考え方が違います。一つ一つの販売形態に合わせて理解するようにしましょう。


委託・受託

2005-11-28 21:30:44 | 仕事(第1業務編)

 あなたは、他人に売れそうな品物を持っている。それを友達に売ってくれないかとお願いしたところ、快く引き受けてくれたので、あなたが持っていた品物を友達に渡した。
 さて、この時、この品物の所有権はあなたにあるだろうか、それとも友達にあるだろうか。
 ・・・・・というような事柄を扱うのが委託販売・受託販売です。「友達に売って欲しい」といって渡した品物は、もし売れなかったら、友達から返してもら うものですよね。つまり、品物の所有権はあなたにありながら、その販売だけを友達に委ねたわけです。したがって、取引処理でも、あなた(この場合、委託 者)が品物について仕訳処理する必要があり、友達(この場合、受託者)は、品物ではなく、その品物をめぐる債権債務(あなたに対する支払額とあなたからも らうお金)だけを仕訳処理すればいいわけです。
 ここでは、「積送品」「委託販売」「受託販売」「積送品売上」など、独特の勘定科目が使われますが、まずは、委託・受託の関係を理解することから始めましょう。


割賦

2005-12-01 22:04:57 | 仕事(第1業務編)

 割賦という言葉は、日常生活ではあまり聞きませんよね。
 ちょっと広辞苑を引いてみましょう。
 「月賦などの形で何回かに分けて支払うこと。賦払い。→わっぷ」
 わっぷ?
 そこで、「わっぷ」を引いてみると・・・。
 「(ワリフの音便。カップとも)支払いなどを何回かに分けてわりふること。」
 ふーん。
 英語では、instalmentというので、この字を英和辞典で引いてみると「分割払い」。
 そうか、分割払いのことなのか。ということは、割賦販売といえば、会社がお客さんに対して、分割払いを認めて商品を販売することになるわけだ。
 分割払いを認めるとすると、簿記では何が問題になるのだろう?
 (1)商品はお客さんに渡している。
 (2)でも、代金は分割で受け取る。
 ここで、商品の所有権は誰になるのだろう、そして売上げはいつ仕訳したらいいのだろうという問題が発生する。
 ここで、我々の先輩(といってもずーっと昔の商人たちだよ)は、フツーの商品販売と同じように考えて、商品を渡したときにお客さんに所有権が移り、それ と同時に売上げも計上しようと考えた(販売基準)。でもお金はまだ受け取っていないから売掛けにしておこうという考えだ。
 他方、やっぱりお金が入ってきた時に、その割合だけ所有権が移動したと「考えて」、お金を受け取った都度、売上げを計上した方がいいんじゃないかと考えた商人もいた(割賦基準のうち回収基準)。
 こうしてみると、単に仕訳ができるかどうかということだけではなく、商品販売の見方・考え方を理解する必要がありそうですね。
 なお、日本には割賦販売法という法律があります。


本支店会計

2005-12-15 17:27:42 | 仕事(第1業務編)

 本支店会計は簿記検定の2級の範囲であり、性格はまったく違うものではありますが、連結会計につながる考え方を理解する入口として位置付けられます。
 それにしても、簿記検定に出題される事例には、若干無理があるかなと思います。
 たとえば「未達現金」の説明は、「本店から支店に送金していて、決算日時点でお金が届いていない場合に使う勘定」ということになります。これは問題ない でしょう。しかし、実際問題としてそのようなことがありえるのか、と考えると「うーん」と考えてしまいます。わざわざ決算日をはさむような送金をするで しょうか。仕訳を一つ追加したいために、あえて送金するなんてことはないはずですよね。また、実際には、現金書留などを使って送金するわけではなく、銀行 振込などを利用するでしょうから、遅くても翌日には入金されるでしょう。この場合も、未達現金という勘定科目を使いたいばっかりに(笑)、わざと決算日の 14時以降に送金手配をし、振込を決算日の翌日にするという意図でもなければ、あえて送金するということはないでしょう。
 もちろん、あくまでも検定試験であり、仕組みを理解するためには、多少の無理があっても仕方ないと思います。
 このあたりは、「検定試験に出るから理解してね」といってはみるものの、学生の皆さんに説明する場合、ちょっと悩ましい部分ではあります。
 でも理解してね。


コンバージェンス

2006-04-11 21:00:00 | 仕事(第1業務編)

 最近、会計学とくに国際会計領域でよく使われる言葉がコンバージェンス。
 convergence:1点への集中、集中性、集中状態、集中度
 英和辞典を引いても、この言葉の意味するところはなかなかわかりません。
 たとえば、もっとも新しい雑誌において、コンバージェンスは次のように使われています。
 「今後予定されているASBJとFASBとの会合とも合わせて主要会計基準間のコンバージェンスがさらに進められる。」(雑誌『企業会計』2006年5月号(Vol.58、No.5)、p.13)
 コンバージェンスを集中に置き換えると、「主要会計基準間の集中がさらに進められる。」となります。何だか翻訳したぞって感じですよね。訳としては間違っていないのですが、意味は?と考えるとピンとこない。
 で、気になったので、この言葉、コンバージェンスが、雑誌『企業会計』のどのあたりから使われるようになったのかを調べてみました。
 すると、少なくとも2002年7月号(Vol.54、No.7)まで遡れました。
 そこには次のように書いてあります。
 「コンバージェンス(収斂)」(p.12)
 コンバージェンスとカタカナで表現した後ろに「収斂」と訳語を付しています。さすがに、雑誌編集者は、コンバージェンスだけではわかりにくいだろうと思ったのでしょう。一応、集中より収斂の方が意味がわかるような気がします。
 しかしそれでも実際にはどんなことだろう?と首をひねってしまいます。
 その後、『企業会計』では、しばらくの間、コンバージェンスを「コンバージェンス(収斂)」と表現していたのですが、2003年8月号(Vol.55、No.8)で、「劇的な」表現の変更が行われます。
 「コンバージェンス(他基準との統一化)」
 それ以降、コンバージェンスは、( )を付さずに、「コンバージェンス」のまま表現されて現在に至ります。先の引用文にあてはめると「主要会計基準間の統一化がさらに進められる。」となり、すーっと意味が通るようになりますよね。
 小生が国際会計をかじっていた時代(第一次国際会計ブームと呼ばれてみんながかじらなければならなかったわけで、それ以来、知識はストップ。)には、会 計基準の統一化という言葉はありましたが、コンバージェンスと表現することはなかった(あるいはお目にかからなかった)と思います。
 次の疑問として、じゃあ、誰がこんな言葉を使ったんだ!ということになりますよね。少なくても日本語が発祥ではなく、どこか会計基準設定に影響力のある団体が英語で表現したものを日本語化しようとして、適当なものがなかったのでカタカナ語にしたと想像されますね。
 それはどうやら、ロンドンで行われたIFRS(国際財務報告基準)理事会の2002年4月の議題だったようです。
 恰好を付けてカタカナを使うことがままありますが、専門の文献などでは、カタカナの前でしばらく立ち止まってみることも必要でしょうね。


数学が苦手なんですが・・・?

2006-04-14 20:58:41 | 仕事(第1業務編)

 今日は風がやや冷たく感じたものの、久しぶりにいい天気で、わりと暖かく感じました。
 午前中は小学校での打合せに出席し、午後から講義資料の準備などをして過ごしました。
 資料を見ながら思い出したのが「数学が苦手なんですが・・・」という学生の声。毎年、数人から聞きますが、すでに今年も聞いています。
 この声は、実は続きがあって「(数学が苦手なんですが)簿記を履修しても大丈夫でしょうか。」
 そのたびに小生は次のように答えます。
 「大丈夫。数学と簿記は違います。」
 そうすると、訊ねてきた学生さんのうち半分ぐらいはホッとし、半分ぐらいは怪訝な顔をします。
 そうしたやりとりの中で、いつも思うことは『なぜ、簿記と数学を同じように考えるのだろうか』『誰が彼(彼女)にそんなことを吹聴したのだろうか』とい うことです。余談ながら、簿記が書かれた現存する最古の書物といわれているルカ・パチオリのズンマ(1494年)は数学書ですから、数学の一部ととらえら れていたことは事実です。学生さんがこれを知っていて質問したのであれば、別の次元の問題として議論が必要になりますが。
 そして、何よりも強く思うことは『何のために簿記を勉強しようとするのかを考えているのだろうか』ということです。必要だから勉強するのであって、自分がその知識が必要だと判断すれば、たとえ数学と同じだったとしても何とか理解しようとするでしょう。
 現に小生がそうでした。
 小生の場合、簿記を履修するときに、将来の仕事のために必要だという判断から履修したわけで、数学と同じかどうかは考えませんでした。(結果から見れば、やっぱり数学とは違っていました。)
 もっとも「お金の計算」という点からは、加減乗除ぐらいの知識(小学校算数レベル)は必要です。それでも電卓を使えば、記号を押すだけで済みますので、 計算結果として出てきた金額を正しく読む知識(これはもう算数でも数学でもない)さえあれば十分です(最初は桁を数えずに1,000,000円を声に出し て読めないもんです)。
 簿記を履修しようとする皆さん、簿記を勉強すること(そしてその知識)が自分のどんな目標を達成するために必要なのか、もう一度考えてみてください。


FY2005

2006-04-15 15:10:22 | 仕事(第1業務編)

 今日、勤務先で英語のN先生から質問を受けました。
 「FY2005, ended March 31,2005というのはどういう意味ですか?」
 もちろん、N先生が訳せないということではありません。「2005年3月31日に終わる2005会計年度というのはおかしくないでしょうか?」という質問でした。ここでFY2005のFYは、Fiscal year(会計年度)の略語です。
 最近、英文会計から遠ざかっている小生もとっさに思い出せずに、答えに窮してしまいました。
 日本流に解釈すれば、2005会計年度は2005年に期首を持つ会計年度です。たとえば、毎年4月1日が期首ならば、2005会計年度は2005年の4月1日に始まって2006年3月31日に期末を迎える年度を指します。
 このように考えると、先の英文表現は間違いではないかと思ってしまいます。つまり、2005会計年度(FY2005)が正しければ、会計期末は2006 年3月31日(March 31,2006)にならなければなりませんし、もし会計期末(ended March 31,2005)が正しいとすれば会計年度は2004年(FY2004)と表現しなければなりません。
 N先生も小生も同じように解釈してしまいました。
 結局その場では明確な回答をすることができず(情けない・・・)、「ちょっと調べてみます」と質問を引き取りました。
 で、手元にある資料や英文アニュアル・リポートをあれこれ調べてみると・・・。
 完全に小生の記憶から飛んでいた事実が一つ。
 英米では、会計年度の表現の仕方は会計期末に連動するということです。つまり、英米では、会計年度を表現する時は「期末」を基準にします。一方日本では「期首」を基準にする。ここに大きな違いがありました。
 ですので、先の英文は正しいということになります。
 関連して、経済記事では、会計年度というより2006年3月期などと記載したものが多いことを思い出しました。日本流にいえば2005会計年度ということですが、あえてそう表現しないのは英米流にならったからかもしれません。
 一つ、勉強しました。


全席自由

2006-04-24 21:50:29 | 仕事(第1業務編)

 昨年から訳あって担当している1年生の講義にて。
 訳ありなので、通常のクラス編成とは違って1クラスに100名を超える履修者がいる。最初は150名収容の教室が指定されたが、何とも窮屈に思えたので、200名規模の教室に変更してもらう。
 収容人数より受講者が少ない場合、どうしても後ろの方から座席が埋まっていく。結果的に前列5列ぐらいは、ほぼ空席となる。
 ところで、小生、数年前からパワーポイントを利用して講義を行っている。
 講義内容の性格上、表計算結果を1枚のスライドで表示した方が説明しやすいものがある。その際、できるだけ後ろに座った学生さんにも見えるように、最大 限のポイントを使って作成している。春休みには、自分で大教室に行って一番後ろから表示内容が見えるかどうかの確認もしている。
 それでも・・・
 講義終了後、ある男子学生が教壇にやってきて一言。
 「後ろの方では、見えにくいんですが。」
 そこで小生、笑いながら、
 「全席自由です。見えなければ前に来て座ってください。何なら前の席をS席として君のためにリザーブしておいてもいいですよ。」

 その学生さん、黙って帰って行きました。
 何か気に障ることでもいったかなぁ。


松岡洋右がいる!(笑)

2006-05-23 07:24:27 | 仕事(第1業務編)

 これまでになかった現象。
 今年の「簿記原理」では、しばしば、出席カード配付後、数名(5名前後)が退室する。カードによる出席時数確保がねらいであることは重々承知。
 カード配付後、荷物をまとめて席を立ち、しかも遅れて席を立つ友達を待ち、二人揃って堂々と胸を張って退室する。(ちなみにこれは女子学生)
 でもねぇ、礼儀ってものがある。『本当は講義を最後まで聴きたいんだけど、やんごとない事情があって途中退室します。本当に申し訳ございません。』という態度がとれないものですかね。
 ちなみに対策を講じていることをお忘れなく。


意図せざるミス

2006-06-01 22:37:53 | 仕事(第1業務編)

 今日は「原価計算論」の中間試験を実施。
 毎年、出題形式はほぼ同じながら出題内容を変えている。出題の一つのネタ元は原価計算基準。
 原価計算基準に基づく出題形式は「5つの文章のうち正解がいくつあるか」という形式。難易度は高い。
 ところが、今回は意図せざるミスを犯してしまった。
 こちらとしては、正答は3つであるように作問したつもりだった(正確にいえば、結果的に正答が3つになったのだが)。
 試験を終え、準備した解答に従って採点していく。
 一度採点を終え、次に、問題文を読みながらもう一度採点結果を見直す。すると、ある一題の5つの文章のうち、不正解であるハズの設問が、読み方によっては正解であるようにも読めることに気づく。
 しばらく時間をおいて、もう一度見直す。
 やっぱり正しい文章にも正しくない文章にも解釈できる。解釈の幅がある用語の使い方に問題があった。
 正答が3つとした解答は当然正解(解答のうちこの解答が多かったことは事実)。しかし、4つとした答案が5名いた。思案のあげく、4つと解答した分も正解とすることにした。2点追加。
 小生の思いこみが招いたミス。
 解釈の仕方によって正しくも読めることもあり、あるいは誤って読めることもある。そんなことは重々承知の上だったが、少々捻りすぎたことがあだとなってしまった。
 自戒の念を込めて舞台裏を披露した次第。


やっぱりいるもんです。

2006-06-05 21:06:57 | 仕事(第1業務編)

 今日は簿記原理の中間試験。
 今回は意図せざる作問上のミスはなし。(へへへ)
 全体的な出来具合はまずまず。平均点でも予測を超える点数で、皆さんよく勉強していると思います。
 ですが!
 口を酸っぱくして何度も何度も注意を喚起したにもかかわらず、絶対にありえない誤答が数名。学生さんの気持ちをおもんぱかれば『勉強したにもかかわらず 忘れてしまった。』『勘違いをしてしまった。』ということなのかもしれませんが、誤答の中身から類推するに「簿記を理解していないな。」と判断せざるを得 ない、ということになってしまいます。
 講義のはじめの方で箱形の損益計算書や貸借対照表を図示して、箱の左(借方)にはコレ、右(貸方)にはコレが入る、と解説しました。
 勘定式の損益計算書にせよ貸借対照表にせよ、同じ勘定科目の借方と貸方に金額が入ることはありません!
 現金という勘定科目でもう一度考えてください。
 現金1,000円を受け取った時には借方に記入しますよね。現金300円を支払った時には貸方です。講義で紹介した合計試算表の形式では、
「1,000 現金 300」
と表示されます。貸借対照表にはこれを書くのではありません。つまり、合計試算表ではなく、残高試算表の形式、
「700 現金 −」
の借方残高(700円)だけが貸借対照表の現金勘定に記載されるわけです。これによって、結果として現金がどれだけ残っているのかが示されるのです。
 こういったルールは、現金勘定のみならず、すべての資産・負債・資本(つまり貸借対照表)、費用・収益(つまり損益計算書)に共通するルールです。つま り(つまりが多いけど・・・)、損益計算書も貸借対照表も、残高試算表に基づいて作成するということをもう一度確認しておいてください。
 それから、当期純利益を「当期純損益」あるいは思いっきり省略して「損益」と書くところまでは許しました。でも、「現金過不足」と書いた答案があったのはなぜでしょう?利益は現金過不足なのでしょうか。(苦笑)


私立文系ではありますが・・・。

2006-06-16 05:34:20 | 仕事(第1業務編)

 会計と数学は違います。数学ができなくても会計は理解できます。
 これは小生の口癖。何しろ数学ができなかった本人の弁なので、会計を学びたいと思っている学生さんを勇気づける意味でも使っています。
 とはいえ、会計はお金の計算を基礎にしますので、加減乗除とその順序は知らなければ困ります。
 原価計算論にて。
 製品別計算の初歩的なところを説明して、次の式を計算することを求めました。(桁を思いっきり省略しています。)
 70円×(10円×50%)/20円+10円×50%
 実際には、「(10円×50%)/20円+10円×50%」は分数の形で紹介しています。
 50名ほどの受講者のうち、最後までこの計算ができなかった人が5名。
 間違いのもとは、言わずと知れた分数の分母の計算。20円+10円を先に計算して30円とし、それに50%を掛けているわけです。
 そこで帰宅後、我が家の子供たちに同じ計算をさせて実験。
 高一と中二の子どもは暗算でクリア。(親としてホッとする。)
 小五の子どもはかけ算、割り算を加算減算より先にするということは知っていましたが、他の計算の順番がわかりませんでした。一番下の子は、わかりませんでした。ということは、四則演算は小学校4年ぐらいで学ぶことが類推できます。
 この計算の順番は数学ではなく算数(算術)ですし、会計の勉強ということではなく、生きる上で必要な知識です。
 大学に入学してこれまでの勉強の蓄積がすべてどこかに行ってしまったとすれば、深刻な問題です。


192,100円

2006-06-22 22:28:56 | 仕事(第1業務編)

 今日の簿記原理の時間に、給料にかかる源泉所得税の処理に関する取引を扱いました。その関連で大卒初任給に関する雑談をしました。
 大卒初任給は20万。それが12ヶ月で240万円。賞与が3ヶ月として60万。合わせて300万円。年齢とともに給料が上がっていくということを考えて も、2年目に1ヶ月5万も上がるということは考えられず、仮に1ヶ月1万円昇級したとすれば、年額では12万円。賞与分を入れても15万円。年収315万 円です。
 こんな話をしたあと、学生さんがざわめいたのはどんな理由からだったのでしょうか。
 大学初任給について正確なところを調べてみようと思い、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を見てみました。
 タイトルの金額は北海道の2005年の大卒男子の初任給です。女子は185,900円。時系列データを見てみても、ここ数年同じような金額が並んでいます。
 ところで、『週間東洋経済』5月13日号では、夫婦に子ども二人、特に贅沢な暮らしをせずに暮らした場合、60歳までに2億738万円が必要であると試 算しています(p.29)。実はこの数字は、大卒で60歳まで正社員として働いた人の累計給料2億791万円にほぼ一致しています。ということは、大学を 卒業してまじめに働けば、何とか必要なお金を得ることができるといえるでしょう。
 困ったのはフリーターを選択したケース。この場合の生涯給料は1億426万円。「フリーターをやっていても1億円も稼げるのか。」といえるかもしれませんが、正社員より1億円も少ないということを考えなければなりませんよね。
 ただ、いずれも一定の条件に基づいて試算されていますので、数字(金額)が、一人一人で大きく異なることに注意が必要です。


株主総会特異日

2006-06-29 22:32:44 | 仕事(第1業務編)

 今日は、株主総会の特異日。つまり、株主総会を開催する企業が集中した日でした。
 明日の朝刊には、多くの企業が決算公告を発表するでしょう。近年は電磁的媒体(インターネット)で公告することも認められていますが、新聞に掲載された 各社の決算書を見る習慣を付けると、知っている企業はもとより、「こんな名前の会社があったんだ」ということもわかりますよ。


価値の減少分を費用化する

2006-07-05 21:11:07 | 仕事(第1業務編)

 月曜日の簿記原理の時間に、固定資産の減価償却の方法について紹介しましたが、本日、「減価償却、税負担軽減へ・政府税調」という記事が新聞に掲載されました。
 減価償却は、会計理論上の要請とは別に、税法の規定によって償却率も残存価額も耐用年数も決められています。つまり、国の政策によってもその計上額が左右されます。
 たとえば、業務用に使用するパソコンの耐用年数は4年です(「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一。財務省令です)。また、4年間減価償却 するパソコンの償却率は、定額法では年25%、定率法では43.8%です(同上別表第九)。定額法の計算では残存価額も必要ですね。これも定められてい て、ほとんどの減価償却資産が取得原価の100分の10です(同上別表第十)。
 ですので、30万円で買ったパソコンは、定額法では、(300,000−30,000)×4=67,500円ずつ4年間減価償却していくことになりま す。(300,000−30,000)×25%と計算しても同じです。毎年67,500円ずつ減価償却して4年間償却すると(67,500×4)、残存価 額の30,000円が残ることになります。この30,000円は4年間使ったパソコンを除却する際に受け取ることができる金額と考えればいいでしょう。
 ただ、税法では、もう一つの規定を設けています。これは減価償却資産の償却可能限度額といわれるもので、「減価償却資産はここまで費用にしてもいいよ」 という、いわば特例で、それによれば減価償却資産は「取得原価の100分の95」まで償却できるようになっています(法人税法施行令「第七目 減価償却資 産の償却限度額等」)。
 先のパソコンの例にあてはめると、27万円までしか減価償却できないけれども、さらに、取得原価の95%まで(つまり28万5千円まで)減価償却してもいいということになりますので、15,000円余分に減価償却できることになります。
 これは会社にとっては有利な扱いですよね。何しろ、特例によって多くの金額が費用として認められるわけです(税法上は損金といいます)。その結果、利益 が少なくなるのですが、納税額も少なくなるわけです。本来であれば27万円分だけが費用として認められるだけですが(つまり残りの3万円は資産として課税 対象になる)、100分の95ルール(というかどうかはわかりませんが)を適用することによって、28万5千円が費用として認められることになります(つ まり残りの1万5千円が課税対象)。
 今回の政府税調の考え方は、上記のような減価償却資産の償却限度額を取得原価の100%まで認めてしまおうとするものです。つまり、30万円で買ったパ ソコンは、30万円すべてを費用として認めることになりますので、会社にとっては今まで納めていた税金を納めなくても良くなるわけですから減税につながる わけです。
 もっとも、先にも書きましたように、これはあくまでも国の政策として減価償却制度を利用したものであり、会計理論上の減価償却の必要性とは観点が異なっていることに注意が必要です。


価値の減少分を費用化する(こぼれ話)

2006-07-06 05:12:06 | 仕事(第1業務編)

 減価償却の話題を採り上げたので、その関連の話題を一つ。
 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(財務省令)では、実にさまざまな償却資産を掲げています。
 とりわけ面白いのが生物に関する耐用年数。
 別表第一10では、生物の耐用年数が示されています。
 それによれば、
 植物・・・貸付業用のもの2年、その他のもの15年
 動物・・・魚類2年、鳥類4年、その他のもの8年
 どうして魚類が2年で鳥類が4年なのでしょうね。植物に至っては貸してその貸付料をいただく植物はたった2年なのに、会社が自分で買ったものは15年というのはどんな根拠があるのでしょうか(もっとも10万円未満のものは減価償却しませんが)。
 別表第四には、生物だけの耐用年数が示されています。
 農業で使う牛や馬の耐用年数は6年。同じ牛でも繁殖用のものは4年か5年。同じ馬でも競走馬は4年です。一方、豚は3年。
 温州みかんの木は耐用年数が40年なのに、パイナップルは3年。面白いですね。

 ちなみに、小生がこれまでに見た決算書で、固定資産として「犬」を掲げていたものがありました。実は話を聞けば「なるほど」と思われる理由でしたが、このワンちゃんについて減価償却はしていなかったようです。


「わかりません。」

2006-09-21 21:29:55 | 仕事(第1業務編)

 今日の講義では簿記原理の復習をしました。
 1年生の前期で学んだ内容のうち、この後学ぶであろう会計学にもつながる基本的な内容について、おさらいをしました。
 今学期から、新兵器ワイヤレスポインタを使うようになったので、今まで以上に教室内を歩き回るようになりました。教室の後方からパワーポイントを動かせるというのは、想像以上に便利。その結果、歩きながら質問をし、後ろに座っている人にも質問する機会が増えました。
 もちろん、履修者は1年生のみではなく、2〜4年生もいますので1年前・2年前に簿記原理を履修した人もいます。それを承知の上で・・・。
「貸借対照表は一定時点の財政状態をあらわします。この時の一定時点とはいつ?」
「損益計算書は一定期間の経営成績をあらわすといいますよね。この場合の一定期間って、いつからいつまででしょうか。」
 などという質問をしました。
 そうした質問に答えたある学生の返事。
「わかりません。」
「わかりませんじゃないですよね、忘れましたですよね。」
 一度やった内容を思い出せないのですから「忘れました」といってほしかったな、というのは屁理屈でしょうかね。(本当は正解を答えて欲しかったというのが本音です。)


accounts receivable

2006-09-26 19:18:19 | 仕事(第1業務編)

 簿記を勉強していて、もっともわかりにくい(想像しにくい)取引だったのが掛け取引でした。「商品を売り上げて掛けにした」「商品を仕入れして掛けにした」などといわれても、とんと見当が付かず、とりあえず覚えてしまおうと思った記憶があります。
 最初に何となくわかったような気になったのは、指導教授の話でした。
 「飲み屋のツケと一緒だよ。」
 当時、小料理屋などに行くと、「現金仕入のため掛売りお断り」という札(紙片)がさりげなく壁に貼ってあったりしました。掛売りという言葉を知らなくてもツケという言葉は知っていましたので、「ははん」と思いました。
 そしてさらに理解を深めたのは、会計英語の勉強をし始めたことでした。
 売掛金はaccounts receivable、買掛金はaccounts payableです。
 当時、accountを辞書で引けば勘定と記載されていました(英語はホントにできなかった・・・)。receivableはreceive+ableですので、「受け取り+できる」ということぐらいは想像できました。
 「(将来)受け取ることができる勘定」が売掛金であるということになり、「(将来)支払うべき勘定」が買掛金になります。
 「なーるほど。」
 つまりは、「掛けにした」ということを「お金を受け取っていない」「お金を支払っていない」という原因だけで考えると何だかわからないということになる わけで、今、お金を受け取っていないのだから、「将来、受け取ることができる」という結果までを考えると、売掛金は権利(債権)として理解できるようにな り、資産の一つになるんだな、ということが理解できるようになったわけです。
 今でも、売掛金、買掛金を講義で説明するときには、「ツケと一緒」「将来お金を受け取る権利」「将来お金を支払う義務」ということも説明しています。そして今日の講義でも説明しました。
 ただ、ツケという言葉は、今の学生さんには「死語」かもしれませんねー。


減価償却がわからない

2006-10-19 17:24:24 | 仕事(第1業務編)

 先日、エレベーターに乗り合わせたある先生からの話題。
 「講義で、教室の前に座っている学生3人に、減価償却って何か、聞いたんだ。すると3人とも知りません。困ったもんだ。」
 「ということは、私の教え方にも問題があるということでしょうかね。」(笑)
 「いやいやそうではなくて、経済学部の学生だったら減価償却ぐらい知っておいて欲しいよな。」
 今日の講義で減価償却を取りあげました。簿記という科目の性質上、減価償却費の計算の仕方や、記帳方法に目が向いてしまいますが、就職して役立つ知識としては、計算方法や記帳方法よりは減価償却の意味そのものでしょう。
 そういった点では、経済学部の学生さんには、基本ビジネス用語にもっと敏感になって欲しいものです。
 今日、簿記の講義を受講した学生の皆さんは、もう大丈夫ですよね?


どんな引当金?

2006-10-26 22:11:54 | 仕事(第1業務編)

 今日の講義で引当金を採り上げました。
 簿記を少しでも勉強したことのある人なら貸倒引当金は聞いたことがあるでしょう。
 講義では、貸倒引当金以外にも、いわゆる負債性引当金のいくつかを紹介しました。
 ところで、今日の北海道新聞WEB版に「1000億−3000億円を引当 消費者金融4社が検討」という記事が掲載されていました(これは共同通信社が配信したもの)。
 引当金は、平べったくいえば将来の支払いに備えたものですね。
 さて、この記事で取り上げられている消費者金融会社が計上している引当金はどんな名称でしょうか。
 この回答は、消費者金融会社の決算書の中にあります。
 利息返還損失引当金。
 上限金利を超えて受け取った利息の、将来の返還請求に備えて消費者金融が引き当てたものが利息返還損失引当金です。
 ちみなに、記事の中のアイフル、アコム、プロミス、武富士の決算書でいくら利息返還損失引当金を計上しているのか調べてみました。いずれも今年の3月期 の決算書から計上されていて、アイフル170億円、アコム237億円、プロミス212億円、武富士は225億円でした(いずれも個別財務諸表ベース)。
 記事では、これを最終損益で損失を計上することを覚悟で1,000億から3,000億円に増やそうというのですから相当な金額ということになります。
 こういった業界特有の引当金を調べてみることから引当金の意味を考えてみることも面白いことですよね。


会社法ったらぁ・・・

2006-10-28 16:00:14 | 仕事(第1業務編)

 今年の5月1日に会社法が施行されました。
 いうまでもなく、会社法は商法の大部分を引き継いでできたものですから(会社法に引き継がれなかった部分は商法として残っているのですが)、従来の商法会計の部分は会社法会計として引き継がれることになります。
 ここ数年、商法の会社規定が毎年のように変更され、その都度、部分的に講義録を書き換えてきたのですが、会社法では、そんな局地的な見直しでは済まないことになっています。
 小生自身は財務会計のプロパーではありませんが、簿記の中級以上の科目も担当していますので、どうしても会社法に関連する部分を避けて通ることはできません。
 今日も午前中から、ある部分について、会社法を読み参考書を読んでいたのですが、仕組みの変更ばかりではなく、表現上の変更もあることに気づきました。
 たとえば、旧商法§284-2-A。
 「株式ノ発行価額ノ二分ノ一ヲ超エザル額ハ資本ニ組入レザルコトヲ得」
 株式の発行価額の全額を資本金しなくてもいいよ(その2分の1までは資本準備金にしてもいいよ)という規定です。簿記の中級(2級程度)を学ぶときには必ずお目にかかる取引の一つですよね。
 会社法にもこれと同じ取り扱いが引き継がれているのですが(ただし、「仕組みの変更」つまり発行価額と払込金額の違いはありますが)、次のように表現されています。
 会社法§445-2
 「前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。」
 前項とは会社の資本金の額を規定したものです。
 ここで、先に書いた「表現上の変更」とは、「組入れ」と「計上」です。
 「資本金に組入れる」と「資本金に計上する」。
 どこかニュアンスが違ってますよね。
 組入れる方は、実際に金額を動かすというイメージがありますが、計上する方は、貸借対照表での記載方法だけを示しているイメージだとは思いませんか。少なくとも「計上」には金額を動かすというイメージがわきません。
 誰か真意を教えて!


ゼミ見学

2006-11-07 21:12:00 | 仕事(第1業務編)

 数年前から、次年度の「演習T」登録者に対して、ゼミ見学をしてもらう制度ができました。
 今年は、今週と来週の2回で、小生は今日がその1回目でした。
 5名が見学してくれました。
 事前に希望調査をしてレジュメを増し刷りし、椅子も準備して見学してもらいました。
 ゼミってどんな感じなのかを知ってもらおうということで始めたように記憶していますが、効果があるのかどうか、小生自身、よくわかりません。
 あらかじめ何をやりたいのかが決まっている学生さんは、それが悪い雰囲気だろうがいい雰囲気だろうが、やりたいことができるゼミを選ぶわけで、事前に見 学することにあまり意味が見いだせません。何より、毎年ゼミの雰囲気は違っているというのが実感。闊達に議論ができる雰囲気がある年もあれば、発言が少な い年もあります。構成メンバーのキャラクターによるのかも知れませんね。
 どのゼミにしようか迷っている場合、2週にわたって2つのゼミ見学ができますので、そういった学生さんには、それなりに判断材料を提供することになりま すが、これとても、同じ領域の教員2名のうちどちらにするかということで判断するのならまだしも、別の領域の教員を比較しても効果があるのかギモンです。
 もちろん、見学するのかしないのかは、学生さんの意思に委ねられていますので、こちらとしては、見学したい方はどうぞ来てください、というスタンスです。
 正確に調査したわけではないので何ともいえませんが、1回に10名を超える見学者があった年の仮登録者は定員割れだったような気がします。一方、見学者が定員以下だった年でも、定員上限一杯の希望者があった年もあります。
 ということは、ゼミ見学は、仮登録者がゼミ希望者数の動向を探るという意味で効果があるのかもしれませんね。


卒論作成への協力

2006-11-14 20:55:48 | 仕事(第1業務編)

 この時期になると、卒論が必修の学部の学生さんから調査協力の依頼が来ます。
 例年1件か2件なのですが、今年はすでに4件(うち1件は小生個人に対する調査)。
 だいたいが心理学系ゼミの学生さんで、被験者、とりわけ男子学生の被験者を求めて依頼に来ます、何しろ、経済学部は他学部に比べれば男子学生の「宝庫」なのですから。
 とはいえ、小生の後期科目は例年少なく、履修者も30〜40名程度ですから、それほど多くのデータは望めないのですが、それでも毎年協力要請があります。
 調査は、講義時間の10分程度を利用して調査項目に答えてもらうという形式が一般的。「10分程度ならいいかも」というわけで、小生の場合、協力しています。(調査に答えさせられる受講者にとっては少々迷惑なことなのかもしれませんが。)
 今日、調査に来た学生さんに聞けば、一部で「この先生は協力的」という情報が流れているとか。小生もその一人かもね。もっと履修者の多い講義だってあるわけですが、そのような科目を持っている教員は「非協力的」とでも情報が流れているのでしょうか。
 これまでそのような調査依頼がなく、「協力してもいいよ」という教員の皆さん、ぜひお知らせください。仲介しますよ。(笑)


こんな検定が・・・。

2006-12-06 21:34:35 | 仕事(第1業務編)

 昨年から始まった新しい検定試験があります。
 その名も電子会計実務検定。日本商工会議所が主催しているものです。
 実は最近まで知らなかった検定ですが、近所のパソコン教室のチラシを見ていてこの講座を知りました。
 日商のホームページを読めば、会計ソフトの使い方・活かし方に関する検定のようです。
 検定の級が上がるに従って活かし方にウェイトが置かれているようで、そうなると単なる技術というより知識の側面が強くなりますが、初級レベルですと、会計ソフトそのもの使い方が試されるようで、それなりに面白い検定であると思います。
 市販の会計ソフトはいくつかあって、検定では、そのうちの一つについて使い方の能力を試すようです。証憑をどのように会計ソフトに打ち込むかは、会計ソ フトを利用しようと思う人にとっては最初の難関でしょう。この秋に実施したヒアリング(NPO会計支援組織ですが)でも、最初に会計ソフトを利用する人に とって、会計ソフトへの入力が一番難しいという話を聞きました。
 大学でこの検定向けの講義を展開することはなかなか難しいですが、会計知識を持った4年生、あるいはオープンユニバーシーティなどで扱うのもいいかもしれません。
 勤務先でも、導入に向けて少し考えてみようかなと思っています。


講義録とテキスト

2007-02-18 21:42:21 | 仕事(第1業務編)

 風邪を引いたせいで諸々の仕事が遅れ気味。
 とりわけ遅れているのが、次年度の講義録の作成。他の方々はどのようにされているのかわかりませんが、小生の場合、いつの頃からか、この時期に資料を作成するようになりました。1月から2月までの2ヶ月で、次年度の講義の資料を作成しています。
 ここのところ取り組んでいるのが管理会計。
 講義録はまだしも、悩んでいるのがテキスト。
 現在使用しているテキストは、自分が書いたということもあって、使いやすいことは使いやすいのですが、そろそろ改訂しなければならない時期にさしかかっ ています。とはいえ、元来、履修者の少ない科目ですので、すぐに改訂版を出版してもらえるというわけにもいきません。もっとも、そうなったとしても原稿が 追いつきませんが・・・(苦笑)。
 困りながらも、小生が講義したい内容を採り上げていて、学生さんにもわかりやすそうで、値段も手頃なテキストを探しているのですが、これがまた、なかなか見つからないものです。
 テキストは、「一冊手もとにあると、今だけではなく将来も何かと役に立つよ」といったものだと考えていますので、なるべくいいテキストを使いたい、学生さんにも買って読んでもらいたいと思っているのですが・・・。
 ちなみに、テキストがない、というのは、学生さんにとってはどうなんでしょうね。(お金がかからないからいい、なーんていうチープな意見はなしということで。)


諸口

2007-03-05 22:28:15 | 仕事(第1業務編)

 簿記用語の一つに「諸口」というのがあります。
 どう読むと思いますか?
 ショコウ(音読み)、モロクチ(訓読み)。どちらも不正解。重箱読みをして「ショクチ」と読みます。「残高」も重箱読みですね(あれ、「音読み」自体が重箱読みじゃないですか)。
 この諸口、取引を仕訳帳に記入する方法のところで扱いますので、簿記の授業では、比較的最初の方で出てくると考えてもいいでしょう。(ややレベルが上がると特殊仕訳帳というところで、また出てきます。)
 取引を仕訳帳に記入する場合に、勘定科目が2つ以上あるときには、勘定科目の上に諸口と書きます。
 たとえば、次のような具合です。

「3月5日 商品5,000円を仕入れ、代金のうち、2,000円は現金で支払い、残額は掛とした。」

 仕訳帳に記帳しないで、仕訳だけを書く場合には次のような仕訳になりますね。
      (借方)仕 入 5,000  (貸方)現 金 2,000
                         買掛金 3,000
 ところが、これを仕訳帳に記帳するときには、次のように書くことになっています。
       (仕 入) 5,000   諸  口 
                  (現 金) 2,000
                  (買掛金) 3,000

 もっとも、仕訳だけを書く場合にも「諸口」を使ってもいいと思われますが、そのように教えることは、まずありません。
 では、なぜ仕訳帳にはこのように書くのか。
 実は、明確な根拠はないようです。いえることは「簿記教育の慣習だから・・・。」
 ちょっと気になって手もとにある簿記の本をいろいろ読んでみたのですが、やっぱり明確な根拠は見あたりませんでした。
 中村忠先生は、比喩を使って次のように説明しています。

「これは、貸方勘定が複数であることを注意させるために書かせるのである。ちょうど電車の運転士が発車のときに『出発進行』と唱えるように。」(中村忠『簿記の考え方・学び方(五訂版)』税務経理協会、2006年、p.134)

 中村先生がいうには、アメリカにはこういった用語も処理もなく(p.125)、そのルーツはイギリスにあるといわれるが、イギリスの書物をあたってもそ れらしきものは出てこないと述べています(p.135)。そして「こんな目印はなくても一向に困らないのであるから、なくしてしまったほうがよいと私は考 える。」(p.135)とさえ、述べています。

 思えば、最初に簿記を勉強したとき、「この諸口というのは勘定科目なのかどうか」悩んだことがあります。しかも「どんなとき諸口を付けるのか」ということも悩んだ記憶があります。(講義を聴いていない証拠ですね。苦笑)
 新年度に向けて講義録を作成していますが、今日は、ちょうど諸口を使う内容の講義録をまとめていましたので、改めて考えてしまいました。

水道光熱費

2007-03-15 08:00:54 | 仕事(第1業務編)

 ちょっと前から新聞紙上を賑わせている話題に、政治資金収支報告書における農水大臣の不適切な事務所費の計上問題があります。
 今朝新聞を読んでいると、どうやらくだんの大臣だけではなく、与野党合わせて衆参45名もの国会議員が不適切と思われる計上を行っていたようで、こりゃ闇の中に消えていく話題だろうなと長嘆息。
 ところで、電力料、ガス料金、水道料金は、勘定科目では水道光熱費として処理します。一方、政治資金収支報告書では光熱水費と記載されているようです。 たしかに、光(電力)・熱(ガス)・水(水道)の3つを総称するものとして光熱水費といういい方はおかしくはないのですが、なぜ一般的に我々が使っている 言葉で表現していないのでしょうかね。「それが慣習だから」といわれれば身も蓋もないのですが、わかりやすい政治というのであれば、我々と同じ「言葉」を 使ってほしいですよね。


決算発表

2007-04-03 12:37:28 | 仕事(第1業務編)

 今朝の日経に「07年3月期決算発表始まる」という囲み記事が掲載されていました。
 2007年3月期ということは期末が2007年3月31日です。計算対象は2006年4月1日からの1年間。過去1年間の取引をすべて対象にして決算を行い、それを外部に公表するのが決算発表。
 記事では、昨日2日から始まった決算発表において、2日に決算発表を行ったのが3社あることが紹介されていました。1番乗りは東証マザーズ上場のメッツ(不動産販売)で2日朝7時に発表とのこと(個別−単独決算)。
 記事によれば、この会社、毎年期明け早々に決算発表している常連です。
 これって、かなり凄いことです。
 教室の中で採り上げる事例は、1年決算でも、取引数を限定し、相当程度省略した形で決算書を作成しますから、1年分のデータを集計し決算書を作成することにそれほど時間がかかるとは想像できないかも知れません。
 しかし、個別決算の場合、東証の資料によれば、決算発表平均所要日数は、2004年3月期44.6日、2005年3月期43.3日、2006年3月期42.5日かかっているわけです。この数字から見ても、決算日後数日で決算発表できるということがいかに早いかおわかりいただけるでしょう。
 ところで、上場企業の場合、ほとんど連結決算を行っています(子会社、関連会社を持っている会社が多い)。
 連結決算を行っている場合でも、決算発表平均所要日数は、2004年3月期44.8日、2005年3月期43.5日、2006年3月期42.6日と、個別決算の場合とほとんど変わりません。これも相当凄いことです。
 上記のデータを見ておわかりのように、年々所要日数が減ってきていることに気付くと思います。
 これまた東証の資料によれば、1992年3月期の平均所要日数(連結決算)は、なんと72.3日でした。この15年で30日も短縮しています。昨今の適時開示要請が浸透してきているといえるでしょうし、情報処理技術の決算発表に対する貢献も見逃せないでしょう。
 ところが一方で、数日前の日経では、決算発表を遅らせる企業も出てきているそうです。その企業はアメリカの内部統制ルールが適用される企業です。
 日本でも企業会計審議会は、2月15日に、日本版内部統制ルールを公表しています。
 今後は、適時開示と内部統制をにらんで決算発表が行われることになり、決算発表所要日数がこのまま低減傾向を示すのか、大いに興味があります。


熱心な学生さんのお陰です。

2007-04-25 22:17:34 | 仕事(第1業務編)

 今年度の初め、他の学科の学生さんが「相談したいことがある」といって小生の研究室に来ました。
 聞けば他の学科に所属しているけれど、将来設計のために会計の勉強をしたいとのこと。
 勉強に意欲がある方ならば、学部学科を問わず精一杯サポートしたいと思うのは、多くの教員の意識でしょう。
 その学生さん、非常に熱心で、履修できる会計関係の科目はほとんど履修登録したようです。4年生なので、自分の学科の科目は比較的余裕があるからなのでしょう、きっと。
 そして今日。
 講義が終わった後、これまでの4回の講義を聞いて疑問に思った点を、「まとめて質問メール」として送ってくれました。全部で7項目。
 まったく会計を勉強したことがなく、それでも意欲的な学生さんからの質問内容は、自分が講義で話した内容が正しく伝わっているかどうかがわかります。
 こうやって、話に耳を傾けてくれる学生さんが一人でもいることが、教員を励ましてくれるんですよね。(とはいっても、他の学生さんは熱心ではないといっているわけではないので誤解のないように!)


誤差の範囲

2007-05-18 22:33:21 | 仕事(第1業務編)

 今日の管理会計論でミニ・ケースに取り組んでもらいました。
 金額の単位は万円です。であれば、万円以下は無視しても差し支えないのですが、ご丁寧にも、1,200万円と書いてあるものを12,000,000円と 1円単位まで置き換えて書いてくれた学生さんがいました。これはご愛敬。しかし、困ったのは8,700万円を9,000万円と丸め込んで計算した学生さん が数名いたこと。700万円をいきなり1,000万円と同じ、と考えては困ります。
 それから比率。いずれも割り切れないものでした。開始早々「どこで四捨五入すればいいですか?」という質問がありましたので「ご自由に」と答えました。 ご自由にというのは、好きなところでという異図ではなく、与えられたデータにしたがって、という意味でした。比率データの例では、小数点第2位(たとえ ば、17.83%)まで書いておきました。つまり、小数点第3位まで求めてそれを四捨五入して小数点第2位まで計算する、あるいは小数点第3位以下を切り 捨てて小数点第2位まで計算することを期待していたわけです。
 ところが解答を見れば、17.83%を17.8%とするところまでは許容範囲かなと思いましたが、18%として計算に利用しているものもありました。中 には大胆にも20%として計算している強者もいました。この比率を使って金額の計算をするのですから(しかも単位は万円です)、計算結果は誤差の範囲を大 幅に超えてしまいます。
 会計は数値(金額や比率)を扱いますので、与えられたデータをどのように加工するか、悩む場合も多いでしょう。
 しかし、少なくとも教室の中では、与えられたデータの中に、ちゃんとヒントも与えられていることを理解すべきでしょうし、そういったところまで目配せして取り組んで欲しいと思います。


先生、どうしましょう?

2007-06-25 20:39:39 | 仕事(第1業務編)

 講義が終わると、一人の男子学生が深刻な顔で教卓の前に来ました。
 聞けば講義内容がわからないらしい。先日実施した中間試験の結果も芳しくなく、こままでは単位を落としそうだという。
 「さしあたり何をすればいいでしょうか。」
 できればこれまでの内容をすべて復習してもらいところです。
 しかし、「さしあたり」というわけですから即効性ある方法を伝授しなければなりません。
 「さしあたり中間試験以降の内容を復習してみてください。今日を含めて3回しかやってませんので、それならできるんじゃないかな。」
 「はい。」
 「定期試験の範囲は中間試験以降ですね?」
 「そうですよ。でも誤解してもらっちゃ困るけど、中間試験以降の内容といってもそれ以前の内容も含むことになるよね。」
 「はい、積み上げですしね。」
 なーんだ、分かってるじゃないか。
 「なので、中間試験以降の内容を復習しながら、もしそれ以前の内容にかかわる部分が出てきたら、その時点で、ピンポイントで以前の内容を復習してください。」
 「分かりました。ありがとうございました。」
 このようにして質問してくる学生さんは、まず大丈夫でしょうね。


いいのかなぁ。

2007-07-03 21:30:53 | 仕事(第1業務編)

 今年の前期は火曜日が一番ヘビーな一日。
 朝1講目に学部3-4年生の講義、2講目は大学院の講義。13時から14時までの昼食をはさんで4、5講目は演習。
 7月に入り、講義も最終の着陸態勢。(笑)
 でもねぇ。
 朝1講目の講義は履修者数が30名ほど。出席確認をしているにもかかわらず毎回の出席者は20名ほど。そして今日などは15名程度しか出席してなかったような・・・(いや、もっと少なかったかな)。
 週2回の4単位科目で、講義回数も20回近くになると、それなりにしんどいだろうと思いますが、胸突き八丁、ここが肝心なんですがねぇ。
 そしてもう一つ。
 演習Uは、ここ数年、就活のため毎回欠席者がいます。就活も期間が長くなったので、思うような成果が出ていないゼミ生にとっては、ゼミ(講義)への出席よりは内定をもらうことが大事と思う気持ちもわからないではありません。
 とはいえ、「説明会出席のため」とか「面接のため」という理由を免罪符にしてはいないでしょうかねぇ。
 就活より授業が優先、バイトより授業が優先、そして内定より収入より卒業が優先、と考えていたあの頃を思い出す小生は古い世代になったのかもしれませんねぇ。
[Key words]胸突き八丁、免罪符(←キーワードになってない・・・)


ビジネス会計検定

2007-07-06 22:21:22 | 仕事(第1業務編)

 今日、ある専門雑誌を読んでいると、ビジネス会計検定が話題になっていました。
 「ビジネス会計検定?」
 不覚にも、そんな検定があるとは知りませんでした。
 記事を読んでみれば、会計の基準や法令に関する知識や財務諸表分析能力を検定するもので、最終的に財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況などを判断できる能力を問う検定とのこと。
 これまで、会計に関する検定といえば簿記検定が定番でしたが、今度は、簿記の知識の有無にかかわらず財務諸表を「読む」知識を試そうということのようです。
 早速、ビジネス会計検定のホームページを見ると、この検定、今年の2月にプレスリリースされていました。
 主催は大阪商工会議所で、仕掛け人は、といえば、関西学院大学の平松先生(小生が読んだ雑誌の記事も平松先生がこの検定に言及していました)。当面、試験は大阪と東京でのみ実施のようですので、簿記検定のように全国的な広がりを見せるかどうか興味津々です。
 3級のサンプル問題を見れば、会計学の基礎の基礎を出題していて、大学で会計学を学べば正解する程度の問題でした。「こんな検定を受けなくても講義を しっかり聞けば十分」という声も聞こえそうですが、学んだ会計学の知識をまとめるという意味で、それなりに効果は期待できるような気がします。
 しかし一方で、最終的にはどの程度のレベルの知識水準を問うのかわかりませんが(残念ながら2級と1級のサンプル問題がなかったので)、簿記検定や税理士試験、会計士試験とのリンクがはっきりしないと、他の試験に埋没してしまいそうな気もします。
 何はともあれ、一度、ゼミ生に出題してみようかな(と書くと、これを読んでいるゼミ生に先回りされそうですが)。


簿記をどうするか

2007-07-13 18:44:18 | 仕事(第1業務編)

 「筆者は学生時代、1年次に簿記を学習し、2年次以降に会計学や管理会計等を受講した。いわゆる『商大タイプ』であり、会計実務に強いビジネスマンの養成を目的とするカリキュラムである。しかし同じ経営系でも1年次に会計学を教え、2年次に簿記を教えるところもあった。
 教育プロセスから言えば、最初に簿記をマスターし、その後で会計学を学ぶ方が効率的である。実際、簿記を選択科目にしている国立大学で財務会計論を担当したとき、学生に仕訳の意味が通じず、取引ごとにB/SやP/Lを書いて説明しなければならなかった。
 しかし商大タイプにも問題がある。最初に教える簿記が多くの学生を会計嫌いにするという点である。実際、1年次の終了前に『今後一切、簿記・会計とは付き合わない』と決心する学生が少なからずいる。」

 上記の文章は、雑誌『企業会計』8月号で、同志社大学の松本敏史先生が「大学教育の現場における会計教育の課題」と題した論文中「簿記をどうするか」と見出しを付けた中で述べている文章です(pp.84-85)。
 簿記が先か会計学が先かという問題は、会計教育を行う立場からすれば、解決策の見つからない(あるいは意見が分かれる)問題の一つです。その解決策の一つとして、今年から始めた新しい試みが簿記と会計学を融合した科目「会計入門」(1年前期)という科目です。
 しかし「会計入門」とはいえ、簿記のボぐらいは扱うわけで、教える立場にとっても、受講する立場にとっても、回を重ねるごとに骨の折れる科目になること が予測されます。たとえ「簿記のボしか扱ってないよ」といっても、結果的に「今後一切、簿記・会計とは付き合わない」と決心する学生が出る可能性も否定で きません。やっぱり担当者にとっては難しい科目といえるでしょう。
 というわけで、そういう難しい科目は小生は担当せず、ベテランのM先生にお任せすることにしました。(苦笑)


e-learningの使い方

2007-08-20 20:25:40 | 仕事(第1業務編)

 今日は、小生が所属する学科でこの後期から始まる科目で使う予定のe-learningシステムについて、ソフトウェアの講習会がありました。
 講師を務めてくれた先生、非常にわかりやすく説明してくれました。
 しかし・・・。
 これを効果的に活用するということになると、なかなか難しいかなと思いました。
 e-learningについては、それなりに理解しているつもりですが、これを出席管理とか、資料の配付とか、あるいは課題の提出とか、そういったレベルで使うというのでは、あまり効果的ではないと思います。
 やっぱり、予習や復習で、受講者の皆さんが講義の時間以外にも、いつでもどこでも自学自習できるというのがe-learningの基本であると思います。受講者の皆さんが、何のストレスもなく使える環境を提供できるかということが重要なんだろうと思うわけです。
 しかし使う側(教員側)のレベルがそれに追いつかないのであれば、受講者側に迷惑ですし(だから講習会を開いたのですが)、無理にそれを使わなくても、出席管理や講義資料の配付、リポートの受け渡しの方法があるのではと思います(現にやってますし・・・)。
 それにしても、このシステムを後期から始まる講義で使おうと提案した先生、どこにその提案の意図があったのでしょうかねぇ。


つ、つ、つかれたー。

2007-09-20 22:05:33 | 仕事(第1業務編)

 一日4コマ講義をすることがこんなにしんどいとは・・・。
 新しいカリキュラムがスタートした今年。
 小生が担当する科目では、この後期にその過渡期が訪れました。
 今日は、午前中2コマが新しい科目、午後から1コマが旧カリ科目(2年生以上の科目)、もう1コマが新しい科目で、一日で4コマを担当しました。
 午前中の科目は、2コマとも4週間だけの担当なので、半期間続くという科目ではありませんが、何しろ初物尽くし。
 新しい科目であることはもちろんのこと、情報処理実習室で講義をすること、e-learningシステムを利用すること、同じ内容を2回連続で行うことなどなど。これまで体験したことのなかった経験をしました。
 それでもって実感したことは、やっぱり「鉄は熱いうちに打て」ということ。
 「何を今更!」とお叱りを受けそうですが、1年生の科目で、しかも少人数のクラス編成は目が届きやすく、学生さんの態度を見ても、十分、こちらの期待に応えてくれそうな予感がします。
 科目の性質上、どうしても大教室を使わなければならない科目もありますが、やっぱり1年生のうちから、できるだけ少人数で教育をするというのが理想ですね。
 小生自身も経験がありますが、履修者数が多い科目はどうしても気がゆるみがちになります。これは教員の努力ではどうしても克服できない領域でしょう。
 それが、少人数ですと、教室の中を頻繁に歩き回って個別に声をかけることができますし、学生さんもそれなりに緊張感が出てくるでしょう。そうした中で話 をすれば、学生さんが理解できているかどうか、肌で感じることができるようになります(もっとも、そんな環境でも「睡眠学習」をする学生さんはいたのです が・・・)。
 とはいえ、午前中の講義でのどはガラガラ、最後の後期を終えたときには、グッタリでした。
 でも、帰宅後のビール、美味しかったです。(笑)


評価され、評価し、評価され。

2007-09-21 23:23:02 | 仕事(第1業務編)

 今日、出勤してみると、前期に行われた授業評価の集計結果とともに、集計結果に関するコメントを求める文書が届いていた。
 今年の前期の評価対象科目は2科目。受講者数が少ないこともあって全般的に高い評価が出ていたが、それでも低いより高いにこしたことはない。ホッと一安 心。「授業の内容は興味・関心を持てるものでしたか?」「授業の内容を理解できるように工夫されていましたか?」という評価項目はとりわけ気になる項目。 それぞれ総合評価より0.3ポイントほど低く出ていて、プチ・ショック。
 午後からは、M先生とダブルキャストで行っている講義。今日は3大監査法人(新日本、トーマツ、あずさ)の一つに所属している公認会計士さんをお招きして公認会計士業務について話をしてもらった。
 この講義では、実務家の方をお招きした際には、学生さんに感想や質問などを書いてもらうことにしているのだが、それを知った会計士さん、「ぜひその感想文を見たいです。」
 自分の話が学生さんにどんな風に伝わっているのか(正しく伝わっているか)を知りたいと思うのは誰でも一緒。早速、原文のまま書き写してファイルにして送付。
 その講義が終わった後、別の学部のゼミに出席。
 先週、本の編集責任者でもあるゼミ担当の先生から「例のNPO関係の本の執筆箇所について説明して欲しい。」と要請された。「書いたことをやさしく紹介するだけでいいですので。」というので気楽に考えて行ってみると、紹介するよりは質問攻め。(苦笑)
 ゼミが終わりにさしかかるとゼミ担当の先生、「皆さん、演習評価表を書いてくださいね」と一言。
 今日は、朝から評価につきまとわれた(?)一日だった。


What's new ?

2007-10-04 23:46:35 | 仕事(第1業務編)

 3年前から始めた学科所属教員全員による1年生と2年生への面接。
 現在1年生向けの面接が行われています。小生は、一応、今日が最終日でした(一応というのは、面接に来ていない学生さんがいて、この学生さんとはあとで面接することになるため)。
 この試みは、入学してきたときの意気込みや目標を、長い大学生活の中で失ってしまわないよう、学科の教員がサポートするために始めました。
 教員一人当たりの受け持ちは13〜15名程度で、とくに相談事がない場合には10分程度です。
 全員に「困っていることはないですか?」と聞いていますが、「ありません」という答え。「楽しんでますか?」という問いには「はい」。「勉強は?」という問いにも「何とかやってます」とのこと。
 小生が割り当てられた今年の1年生は、皆さん問題なく大学生活をスタートさせたようです。
 ただ、長期的な目標や当面の目標については、「まだ見つかっていません」と答える学生さんもいて、この辺りを我々がどのようにサポートできるかが課題でしょうかね。


時間の無駄

2007-10-10 22:01:08 | 仕事(第1業務編)

 今日の講義。
 ちょうど半分ぐらいの時間が過ぎ、内容的にも切りがいいので出席確認。
 この科目は、一定の回数以上欠席すると試験を受ける権利がなくなりますが、その基準は最低水準。とはいえ、そこいらにある「安全パイ」科目とは違って、 毎回出席しないと理解できない科目なのでがんばって出席しようと呼びかけているはずなのに、いましたねぇ、今日の講義で、出席確認後に教室を出て行く学生 さんが。しかも2名。
 「お帰りですか?」
 「はい。」
 その学生さん、やんごとない理由があって退室したのでしょうが、でも、出席確認のためだけに講義に出ることが、明らかに時間の無駄であることをおわかりなのでしょうかね。
 大学というのは、自分が勉強したいことができる時間が確保されているわけで、そう考えれば、もし講義を聴くより重要なことがあれば思い切って欠席して、 自分のやりたいことに時間を使った方が効果的なのにぃ。(といいつつ、その学生さんを止められなかったことに忸怩たる思い・・・。)


偶然ではありますが。

2007-10-26 22:46:48 | 仕事(第1業務編)

 昨日のある講義の内容は社債の会計処理に関するものでした。
 その一つとして、新株予約権付社債を取り上げました。
 昨日の日経朝刊で、小さいながら新株予約権が記事になっていましたので(もっとも社債と分離した新株予約権だけのようですが)、講義の中でその記事を紹介しました。

 英会話教室最大手のNOVAは24日、新株予約権の発行により、割当先である英領バージン諸島に本拠を置く投資家2社から7,000万円が払い込まれたと発表した。予約権すべてが行使されれば諸費用を差し引き64億円を調達できるとしている。

 記事はこれだけ。
 しかし、新株予約権付社債を講義で取り上げるその日に、新株予約権の記事が出る。これは偶然ではありますが、講義のネタとしてはグッドタイミングです。
 講義の中で、「最近のNOVAは経営悪化が伝えられていますが、これで一息付けるでしょうかね」とコメントしました。
 が・・・・。
 あっけない幕切れでしたね。
 日本放送協会のニュースでは「クーデター」という表現を使っていましたが、昨日の今日でしたので軽い驚きを覚えました。
 それにしても、この新株予約権は今後どうなるんでしょうかね。


やめておくれ!

2007-11-29 22:15:15 | 仕事(第1業務編)

 講義中に専門学校の勉強をすること。
 許します、それがあなたにとって講義より大切ならば。
 講義中に居眠りすること。
 許します、睡眠学習って言葉もありますから。
 講義中にリポートを作成すること。
 許します、それが今日の講義より一刻を争うことならば。
 講義中に小説を読むこと。
 許します、それが今日の講義よりあなたの人生を豊かにするなら。
 講義中に、大きな手鏡を覗きながら化粧をすること。
 許します、でもヤメテください、それはお互いに不幸だから。


うれしい知らせ

2007-12-07 23:30:00 | 仕事(第1業務編)

 勤務先では、毎年、中国から大学院生を受け入れています。
 小生も担当者の一人ですが、これまでの履修者は研究科目(学部でいう、いわゆる講義科目)だけで、直接論文指導をする院生はいませんでした。
 ところが今年は、どうしたわけか会計の論文を書きたいという留学生院生が2名。
 そうなると、1年目で研究科目とともに演習科目も必要になり、これを基礎として2年目の論文指導につなげることになります。
 会計の論文を書くといっても、中国で会計を勉強してきたわけでもなく、経済学や経営学だって、ほんの教養程度の勉強だったようですので、お互いに手探りの状態です。
 さて、今年度が始まってすぐ、2名の院生、K君とCさんが「簿記を勉強したい」とリクエストしてきました。
 簿記を勉強するからには、最低限の目標として日商の簿記検定3級取得を目標にしてほしいと思い、前期中に簿記の基本を教え、後期に入ってからは学部で小生が担当している講義を聴講してもらうことにしました。
 そして今日。
 K君から電話。
 「先生、私もCさんも3級受かりましたぁ!」
 「おおっ! オメデトウ!」
 というわけで、2名とも11月の簿記検定に合格したとのこと。
 日本で、しかも日本語の専門用語を理解し、会計処理を覚えるというのは、並大抵のことではありません。二人とも一所懸命勉強しましたので喜びもひとしおです。
 これで会計の論文を執筆できるというわけではありませんが、修士1年目で、形として残る目標をクリアしたことを、大いに褒めてあげたいと思います。


定期試験開始

2008-01-10 22:33:44 | 仕事(第1業務編)

 今年初の仕事(第1業務編)のエントリー。ホントはこれがメインの目的で始めたのに・・・。だから実名で作ったのに・・・。(苦笑)

 今日から後期の定期試験が始まりました。
 小生の今回の割当は、初日(今日)と期間終了前日。ナントその間に2週間。時間割担当の方に無理はいえませんが、本音は、前半か後半にまとめて実施したかったというところです。
 ま、それはさておき、今日の試験。
 全体としては出来が良かったです。ホッと一安心。目標平均得点を突破していました。あえて突破という表現を使いましたが、それだけ平均得点が高かったということです。
 ただ、全体がいいと出来ていない答案が非常に目立つわけで、かなりの差を感じます。
 会計の技術的側面(早い話が簿記ですが)は、出来るか出来ないかがはっきりしています。試験前に、まずは過去の講義資料を何度も見るなり、問題をせっせと解く。これ以外に近道はありません。そのために講義資料をWEB上に置いているわけですので。
 そしてそれでも理解できなければ聞きに来ること。「分からないところがあればいつでも聞きに来てください」と伝えているのですがねぇ。
 経験からすると、簿記なんてのは(苦笑)、出来る人に聞くのが一番だと思います。とくに試験は範囲が限定されていますから、その範囲についての不明な点は友達なり、教員なりに聞くのが手っ取り早いわけですよ。
 今回、消化不良で試験に臨んだ方、次の試験で合格したい場合には、ぜひ聞きに来てください。
 とはいえ、成績発表はまだですし、自分が不合格かどうかはまだ分かりませんね。あ、それ以前に、履修者がこのブログを読んでいるかどうかもわからない・・・。(苦笑)


ア・チェック

2008-04-12 13:00:00 | 仕事(第1業務編)

 昨日の講義は3年生以上の科目でした。
 勤務先では、4年生だけが履修できる科目は極めて少なくなっていますので、3年次に配当されている科目は、そのユニット(科目領域と考えてください)の事実上の仕上げの科目あるいは各論的な科目ということになります。
 ところで、7〜8年前から、小生が担当するユニットでは、ア・チェックということを行っています(非常勤の先生もいますのですべての科目というわけでは ありませんが)。これは到達度調査(アチーブメント・チェック)のことで、最初の講義の時間に、それまでに学習してきた内容が身に付いているかどうかを確 かめるミニテストのようなものです。
 小生が担当する科目領域では、計算と用語を学年ごとに着実に身に付けておく必要があります。学年が上がり、新しい科目を展開する中でも、「1年生の時の ○○の講義でも説明しましたよね、思い出してください」といいながら復習はします。しかしやっぱり、受講生一人一人の頭の中に基本的な事柄が入っている方 がいいに決まっています。

 3年次以上が履修できる仕上げの科目であるということは、1年次、2年次に学んだ内容すべてが対象になるわけで、それをミニテスト程度で確かめることは 不可能です。しかし、先にも書きましたように、新しい計算と用語を取り扱う前に、それまで学んできたことが基礎になるんですよ、ということを気付いてもら うことは大切なことでしょう。

 さて今日、そのア・チェックの解答を読みました。いわゆるテストではありませんので採点はしません。学生さんにそれまで学んできたことの大切さを気付い てもらう以外に、担当者としては、どの受講生がどの程度の知識を持ち合わせているかを確認し、共通して弱いところ(身に付いていない事柄)は講義で少し時 間をかけて復習するための参考にします。
 まだ履修登録は終えていない時期ながら、今年は4学科の学生さんが履修する模様。
 読み終えて持った感想。
 どーして他の学科の学生さんの方が理解度が高いの?(笑)
 小生が所属する学科の学生さんになりかわって弁明すれば、やっぱり所属学科の学生さんの履修者数が圧倒的に多いので、その中には努力はしても理解度が低 い人もいるのは当たり前でしょうしそれが目立ってしまうのは仕方がないでしょう。でも一方で、大学に入って会計の面白さに気付き、学科は違うけれど(違う からこそ?)一所懸命勉強している人もいる、ということにも気付いてくださいね。

ポイントカード(1)

2008-06-30 23:32:23 | 仕事(第1業務編)

 会計とは直接関係ないことで、10年以上前からずーっと興味を持ってきたことがありました。
 それは、ポイントカードは自分にとって得か、それともお店にとって得なのか。
 たとえば、1,000円のものを買って10%のポイントを付与された場合、買った側にとっては100円の値引きを受けたことと同じ意味を持ちます。一 見、消費者が得をしたと思われますが、その値引きは商品を受け取った時点とは別の時点、つまり、次回買い物をする時点で受けられるわけで、次回1,000 円のものを買ったとき、前回のポイントを使って900円で商品を購入できるわけです。ということは、2,000円使って、100円の値引きを受けたことと 等しくなり、実質5%の値引きを受けていることになります。
 もっとも、次回、100円の商品を100円のポイントを使って買った場合、タダでもらえるわけですので、この場合にはポイント分だけ得をしたと考えられ そうですが、初回の1,000円の商品が、他のお店では900円で販売されていたとなると、100円の値引きと10%のポイントのどちらがオトクか、よく 考えなければなりません。その場で100円引きであれば、使わなかった100円で、次回100円のものを買えばいいのですが、10%のポイントは次の機会 に100円のものを買った場合にのみ有効であって、101円以上のものを買う場合には、1円は追加的な出費になり、ポイントを使うために追加的な出費をし てしまうということなってしまいます。
 ということは、ポイントを使うためには、繰り返し同じお店に通うことになり、そして買い物とポイントの間で端数が生じることが一般的ですので、その分だけ、消費者にとっては不利だ、と気づいたのはいつ頃だったでしょうか。
 見方を変えれば、お店側にとっては、ポイント付与によってリピーターを獲得できることが期待され、ポイント制は販売促進手段としては効果的であると考え られます。また別の効果として、お客さんが1回しか来なかったとすれば、他のお店で900円で売っているものを1,000円で売ることに成功し、しかも将 来の100円の値引きも不要になりますので、この点でも売上アップに貢献できるツールということになります。
 もっとも消費者側にとっては、買うときの金額が安く、しかもポイントももらえるということを各社で比較して買うという知恵を働かせれば、必ずしも不利と いうばかりではありません。また、ある商品を独占的に販売している場合、ポイントが多い時期に買った方がいいということもありますよね。

 ところで、お店側に一つ問題が発生。
 お客さんを獲得するためにポイントカードを発行し、しかもポイント付与率を高めれば高めるほど、お客さん全員に対するポイント付与数が増え続けることに なります。たとえ売上高の5%のポイント付与率であったとしても、100万円で5万円、1,000万円で50万円、1億円で500万円の将来の値引きを見 込んでおかなければなりません。これは、販売時点ではお店にとってオトクでも、次の販売を行う時点では、もしかすると商品代金を全額ポイントで引き渡すこ とにもなり、入金がないとうことになります。つまり、ポイントは販売促進ツールとして効果的であっても、それは将来、無条件で商品を引き渡す義務を負うこ とになる側面もあるわけで、取引高が大きくなったお店では、その義務を履行するために、販売時点からそれに備える必要が出てくることになります。
 そこで日本のポイントカード発行会社が自衛策として計上したのがポイント引当金の設定でした。
 このあたりから個人的興味から会計的興味に転換します。

 数日前の日経に、 2007年度のポイントカード発行会社50社のポイント引当金計上額が、前年比14%増の3,200億円になったという記事がありました[日経、6月26 日朝刊]。ポイント引当金がもっとも多いのはNTTドコモで458億円。同社の売上高(営業収益)は4兆7千億円程度。売上高の5%分のポイント (2,350億円分)を付与すると仮定すれば、付与したポイントの19.5%の引当金を計上している計算になります。
 ちなみに、家電量販店ヤマダ電機では、2007年3月期で126億円のポイント引当金を計上しています。同期の売上高は1兆4千4百億万円。売上高の 10%分のポイント(1,440億円分)を付与すると仮定すれば、ポイント付与額の9%の引当金を計上している計算になります(平均10%もポイントを付 与しているかどうかはわかりません。もしかすると7%程度かな)。
 こういった引当率は、そのお店の過去のポイント使用率によって算定されますので(貸倒引当金と同じ考え方ですね)、各社でマチマチですが、それにしてもいかにポイント付与が大きな金額かがわかります。

 日経の記事にもありましたが、最近は、ポイント交換システムも普及しています。これは、A社のポイントをB社のポイントにも交換できるというシステム で、これまでは失効してしまう可能性が高かったハズの自社のポイントが、そのままB社に移されて、B社で使われてしまうということになります。こうなる と、ポイント使用率が増加することになり、さらに引当金を積み増しする必要に迫られるわけです。

 ところで、会計的に考えると、引当金の設定は、

 費用の発生/負債の増加

 という仕訳です。引当金の分だけ(社外に流出しない)費用が増加しますので、結果的に利益額が減少します。将来の費用または損失に備えた健全な処理です が、徴税当局がそれをすんなり認めるわけはありません。会計上の利益が少なくなることは、税額も少なくなることを意味します。まして、支出を伴わない取引 による費用の発生をそのまま認めたくないわけです。
 そこで、ポイント引当金の存在は認めます、しかし、将来、費用または損失になった時点で損金として認めるけど、ポイント引当金計上時の課税所得の計算で は引当金に見合う費用は損金に算入しないよ(認否)という手を使います。会社としては、今、税金を多めに納付しても、将来、その前払分が減額されるという ことであれば、ま、それも仕方ないということになるでしょう。
 「今はこれだけ税金を払っているけど、そのうち、○○円は将来減額される分だよ」と決算書に書いておくと(こうした会計処理が税効果会計)、会計上の利益と税務上の課税所得の差(一時差異)を対応させるのに役立ちます。
 
 当然、ポイント引当金を計上している会社は、当期の引当金計上に見合う費用を認否されるのですから、税金の前払分を資産計上しておきます(前払費用と同じ考え方ですね)。
 そのときに使う勘定科目が、税効果会計特有の勘定科目、繰延税金資産です。

 とここまで書いて来て、今日のエントリ、あまりに長くなりすぎたことに気づきました。この続きは、また次回(ここまでで力尽きました・・・笑)。


ポイントカード(2)

2008-07-01 22:22:22 | 仕事(第1業務編)

 ところで、ポイント引当金に関する会計処理をまとめてみます。

(1)お客さんに商品1,000円(原価300円)を販売し、ポイントを売上高の10%付与したとき
 このときは、通常の仕訳をすればいいので次のようになります。
 現金 1,000/売上 1,000
 ポイントの付与(100円分)は、取り立てて仕訳する必要はなく、別途ポイント数を管理します。

(2)お客さんに商品1,000円(原価300円)を販売し、ポイント分(100円)を差し引いたとき(なお、新たなポイント90円分は別に管理)
 現金   900/売上 1,000
 売上値引 100
 ポイント分は売上値引と同じだと考えるわけです。
 また、次のように処理をすることもできます。
 現金      900/売上 1,000
 ポイント販促費 100
 「ポイント販促費」を使えば、一般の売上値引分とポイント分を区別して処理することができますので、純粋にポイント分だけの値引額を明らかにすることができます。
 前回紹介したヤマダ電機では、「ポイント販促費」(販管費)で処理をしていて、その金額は、2007年度で783億7千万円ほどになっています。

 さて、当期発生のポイント残高が90円あるとき、将来のポイント使用に備えて、決算時に100%の引当金を計上する場合には、次のようになるでしょう。
(3)ポイント残高の100%を引当計上したとき
 ポイント引当金繰入 90/ポイント引当金 90
 ここで厳密には、ポイントの発生が当期以前のものかそれとも当期のものかで考え方は変わるでしょうね(ポイント引当金の記載場所が販管費なのかそれとも特別損失なのかという違い)。でもここでは割愛。

 ここまでの取引で損益計算してみると、次のようになります。

 2,000円(収益)−300円(原価:費用)−300円(原価:費用)−100円(ポイント販促費:費用)−90円(ポイント引当金繰入:費用)=1,210円(利益)

 この1,210円が会計上の利益です。そしてたとえば税率が40%だったとすれば、納付する税額は484円となり(1,210円×40%)、最終の利益は726円ということになります。
 しかし、売上原価の600円やポイント販促費の100円は実際に発生した費用なのでいいとして、ポイント引当金部分の90円は、将来の費用または損失で あって、当期に発生したものとはいえません。したがって、この部分については、税法上は費用とは認めないという判断をします。ここから話がややっこしくな ります。

 税法上は、費用のうち90円は認否しますので、課税所得の計算では、次のような計算が行われます。

 2,000円(益金)−700円(損金)=1,300円(課税所得)

 課税所得の40%が税金だとすれば、520円(1,300円×40%)が納付する税額になります。
 先ほどの会計上の利益による税額と比べると、36円(90円×40%)多く納付したことになります。
 そこで、損益計算書では、会計上の利益から実際の税額を差し引き、次のように表示することになります(プロポーショナルフォントの場合はズレて表示されます)。

 会計上の利益  1,210 ←税引前当期純利益
 税金      −520 ←法人税等
 税金の前払分   +36 ←法人税等調整額
 最終の利益    726 ←当期純利益

 税引前当期純利益から実際の納税額を差し引き、そのうち多く納付した分を戻し入れて、会計理論上適切な金額の当期純利益に「調整」するわけですね。

 では法人税等調整額に見合う金額(仕訳は二つの側面で表示するので)はどこにあるか、といえば、それが繰延税金資産という勘定で貸借対照表に記載されるわけです。
 ちなみに、ヤマダ電機では、2007年度に128億3千万円ほどの繰延税金資産を計上し、そのうち、ポイント引当金分は46億8千万円でした。上記の説 明からみれば、ポイント引当金のうち46億8千万円相当が将来の費用または損失となって税金が返ってくる分(=前払いしている分)ということになるので しょうね。
 M先生、税効果会計の説明、これで合ってます?(苦笑)

 とここまで書いて、今日も限界。
 この続きは次回ということで。


ポイントカード(3)

2008-07-02 06:20:00 | 仕事(第1業務編)

 ポイントカードに関する素朴が疑問が、やがては会計の問題として考えるようになる。これって不思議です。素朴な疑問であったときは趣味の範囲を超えませんでしたが、会計の問題になったとたん、趣味から教育研究上の課題に変わっています。

 さて、話はまだ続きます。
 昨年、ゼミ生の一人がポイント引当金についてゼミ論を書きました。
 今まで述べたような会計上の取り扱いを解説するというのであれば、いくつかの論文を参照すれば事足りるわけですが、論文執筆のきっかけは、2007年7月に日経に掲載された記事でした。
 それは、IFRIC(国際財務報告解釈指針委員会:IASBの関連団体)が「IFRIC 13 Customer Loyalty Programmes」を公表したという記事でした。IASBといえばコンバージェンス、コンバージェンスといえば国際会計、国際会計といえばM先生、と いう連想が成り立ちますが(笑)、このカスタマー・ロイヤリティ・プログラムなるものが日本でいうポイント制を包含するもので(その他にはマイレージプロ グラムも含まれます)、もしコンバージェンスがはかられれば日本の会計処理の変更を求めるものであるという記事でした。
 
 このIFRICの考え方を一言でいえば、ポイント付与を伴う販売においては、売上高のうちポイント付与部分は、当期の収益としないで、ポイントが使われた時点で売上とするというものです(かなり大雑把ですが)。
 IFRICのQ&A「IFRIC13号は我々に何を要求するのですか?」という問いでは、次のように解説しています。

 たとえば、もしあなたが100ドルの食料品を販売し、1ドルに付き0.01ドルのポイントを付与するポイント制を採用している場合、今販売した食料品のうち99ドルと、ポイント部分1ドルを分けてください。結果として、99ドルが当期の売上高として記帳され、1ドル部分はお客さんがポイントと引き換えに 来て、商品を「タダで」引き渡すまで(負債として)保留されることになります。

 現在の日本のポイント制の実務では、売上高は販売額をそのままに計上し、ポイント部分は別途管理するという慣習ですが、それが、IFRICの解釈指針を適用すれば、自ずと変更を余儀なくされるわけです。
 ポイント付与部分を収益から控除するという慣習がどこの国で採用されているかはわかりませんが、少なくても日本の実務とは違う制度が持ち込まれるわけですので、各会社の対応が見逃せません(コンバージェンスは2011年だったかな)。
 そしてもしこの制度が持ち込まれた場合、引当金のみならず、ポイント引当金に関わる税効果会計にも影響を及ぼすことになりますので、この点でもどう変わるのか興味津々です。
 
 そもそもは、ヨドバシカメラが始めたといわれる磁気カードによる日本のポイント制販売促進策。
 そして個人的趣味から始まったポイント制への感心。
 会計の話題というのは、いたるところにころがっているものですね。それに気づくか気づかないか、興味を持つか持たないかは、まさに個人的趣味の問題ですが。

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