
●講 師
菱山隆二氏(企業行動研究センター所長)
三菱石油(株)勤務を経て、米国三菱石油社長、三菱石油顧問、三菱石油開発(株)代表取締役専務。99年から米国ベントレー大学大学院経営倫理センター特別客員研究員。世界銀行の「外国公務員贈賄防止に関する企業実態調査プロジェクト」、日本規格協会/経済産業省の「ISO企業社会責任規格・作業部会」にも参加。
*著書: 『倫理コンプライアンス −企業繁栄への新しい道−』
『社会責任投資の基礎知識 −誠実な企業こそ成長する −』(共著)
論攷: 「経済教室: 企業、NPOなどと連携急げ」(日本経済新聞1999年12月8日)
●講義のねらい
ある会社が最善であるとの自信を持って下した経営判断が、不買運動や実力行使を含む猛反発を受けた。株主総会の会場は、人道・環境への取り組みの改善を求める抗議デモに囲まれた。国連、他国政府、そして社会から、会社に注がれる眼差しはきつくなった。なぜか。企業人が最善と考えた解決策が受け入れられず、抵抗を受けるのはなぜなのか。
「コンプライアンス」は「法令遵守」と訳すことができるが、これは最低限の、当然守らなければならないもので、今やそれだけでは経営が成り立たない時代である。情報の隠蔽など、たとえ法に反していなくとも、顧客・消費者、株主、投資家、取引関係者、市民社会などを欺く反社会的行為が露見した企業は皆、窮地に追い込まれている。企業には経営目標の推進と同時にリスク管理が必要であるが、現代の企業には、地震や台風や火災のような従来型のリスクへの対処だけではなく、どれだけ企業が誠実であるか、どのような価値観をもっているかが厳しく問われる場面が増大している。「倫理コンプライアンス」は、これからの企業のリスクマネジメントに不可欠な、新しい価値基準である。
本講義は、企業人の倫理およびコンプライアンスを正しく認識し実践するための、新しい企業社会への案内であり、企業の実務経験者が、生きた経験と生の資料をもとに、講義を展開します。
●講義の進め方
1.下記の会社のCSR報告書を取り寄せておくこと。履修者が各自で1部ずつ入手すること(いずれも無料)。
「アサヒビール(CSRレポート 2005)」
「リコーグループ(社会的責任経営報告書 2005)」
「松下電器産業(社会・環境報告 2005)」
授業に必要であり、日数がかかることも予測されるので、ただちに取り寄せの手続きをとること。
2.上記の報告書に関する講義・解説の後、グループ討議を行う。
3.上記の報告書について、レポートを作成・提出する。
4.このほか、倫理コンプライアンスについて、いくつかのケース・メソッドを行う。
※報告書の入手方法
http://www.ecohotline.com/php/package.phpにアクセスすると、「一括請求フォーム」が表示されます。説明に従って所要事項をチェックおよび記入してください。後日、無料で送付されます。
開講時(8月5日)までに、2つの報告書に各自で目を通しておくことが強く望まれます。