松浦年男の物置

2011 文章表現(通年)
授業開始以降の連絡や授業資料の公開には大学のCEASを使います。

クラスと講時

クラス 曜日・講時 教室
社部I 月曜・5講目 A-702
社部J 火曜・3講目 A-507
経部Q 火曜・5講目 A-506
経部L 金曜・3講目 B-609
文部I 金曜・4講目 A-502

科目概要

時代背景

 自分の持つ情報や意見を論理的に,かつわかりやすく伝えることは,大学の中だけでなく,社会に出てからも必要とされる能力のひとつである。さらに,ここ十数年のウェブメディアの発達によりその機会は増してきた。だが,情報を分かりやすく伝える能力は高校までの教育で十分に行われてきたとは言い難い。なぜなら,高校までの授業における日本語の文章表現教育では,自分の気持ち(感想)をありのまま書くことが重要視されることが多く,論理的に説明することは軽視されてきたからだ。

科目内容

 そこで,この授業では,自分の持つ情報を聞き手/読み手に誤解なく分かりやすく伝えるための技術を紹介する。また,自分の意見を書くにあたっては,指定された主題(トピック/キーワード)について自分の考えを導き出し,書いていく方法を解説する。さらに,これらの技術の定着をはかるために,テーマを考える,アウトラインを作る,段落を作る,草稿を書く,口頭発表をする,推敲するというレポートを書く一連の作業を体験する。

 特に,構造を意識した文章の書き方について講義する。文章は全体にも,段落(パラグラフ)にも構造を持っている。その構造を意識できるか否かで文章の質は大きく変わる。

 なお,授業では個人での作業のほかに,他の学生との共同作業に多く時間を割く。具体的には,自分の発表・レポートのテーマ案について質疑応答をする,アウトラインやレポート原稿を読み合い,分かりにくい点や形式が統一されていない点などを指摘する,レポート原稿や口頭発表について批評しあうといった活動を行う。

人材目標

 自分の持っている情報や意見を想定される聞き手や読み手が理解できる形で文章化できる人材を育成することを目標とする。特に,構造を持った文章が書けるようになることを目指す。

単位取得の指標

 この授業で単位を取得したということは,次の項目に関する決まりを守った文章が書けることを意味する。

各回における授業内容

前期

回数 トピック 授業内容
第1回 オリエンテーション
  • 授業の概要を説明する。
  • 第2回 概要と詳細の配列
  • 説明文の構成法のうち,特に概要と詳細の配列について,演習を通して解説する。
  • 書式の注意点として,段落冒頭の字下げと禁則処理を紹介する。
  • 第3回 予告の挿入,読み手に合わせた説明
  • 説明文の構成法のうち,特に概要部に予告を入れることの重要性と方法について,演習を通して解説する。
  • 読み手の背景知識を推測することの大切さを演習を通して説明する。
  • 表記の注意点として送りがなの規則を紹介する。
  • 第4回 第2回から第3回のまとめ
  • 第2回から第3回の学習事項を復習する。
  • 第5回 第1回中間課題
  • 説明文を作成させる。
  • 第6回 グラフ・表の読み取り
  • グラフや表の読み取りの手順について,演習を通して解説する。
  • 書式の注意点として,数字の表記について紹介する。
  • 第7回 絵の分析
  • 様々な絵の内容を列挙し,日時,状況などを分析することによって,説明する対象への理解が大切であることを理解する。
  • 第8回 図書館ガイダンス (図書館での演習)
    第9回 資料の解釈
  • あるテーマについて複数の資料に当たって異同を確認する。
  • 第10回 第6回から第9回のまとめ
  • 第6回から第9回のまとめ
  • 第11回 第2回中間課題
  • 報告型のレポートを作成する。
  • 第12回 意見文の条件と構成
  • 意見文における記述の客観性,具体性を検証するための訓練を行う。
  • 意見文における論理の妥当性を検証するための訓練を行う。
  • 文章から主張と根拠を読み取る。
  • 主張と根拠からなる文章を書く。
  • 第13回 反論のトレーニング
  • 他人の意見文を読み,論証の問題点を指摘することで,自分の文章の論理性に気を付けられるようにする。
  • 第14回 第12回から第13回のまとめ
  • 第12回から第13回のまとめ
  • 第15回 第3回中間課題
  • 賛否型の意見文を書く。
  • 後期

    回数 トピック 授業内容
    第16回 後期の内容説明,テーマの絞り込み
  • 後期の授業の進め方を説明する。
  • 期末レポートに関して,テーマの絞りこみを行う。
  • 第17回 目標規定文
  • 目標規定文の構成を紹介する。
  • 期末レポートの目標規定文を作成させる。
  • 第18回 情報の収集と目標規定文の再検討
  • 期末レポートに関して集めた情報を元に目標規定文を再検討させる。
  • 第19回 アウトラインの作成
  • 演習作業を通して目標規定文の見直しと修正をさせる。
  • 標準的な文章構成法として,背景→調査方法→結果→考察という構成を紹介し,それぞれに書くべき内容について解説する。
  • 節番号の付け方を説明する。
  • 期末レポートのアウトラインを作成させる。
  • 第20回 アウトラインの修正
  • ペア作業によるアウトラインの修正をさせる。
  • 第21回 パラグラフの構造,文献情報の書き方
  • パラグラフの概念について導入し,その構造を詳述する。
  • 文献情報の書き方を解説する。
  • 調査方法の節を作成する
  • 第22回 議論の作成
  • グラフや表の説明方法について復習する。
  • 引用の方法について解説する。
  • 調査結果と考察の書き方を解説し,作成する。
  • 第23回 背景とまとめの作成
  • 背景,結論の書き方を解説し,作成する。
  • 初稿の原稿(ドラフト)を作成する。
  • 第24回 文章を読みなおす
  • 推敲のときに気をつける点を説明し,自分の草稿を読みなおさせる。
  • 同じ点に注意しながら他人の草稿を読ませる。
  • 第25回 口頭発表<練習>
  • 口頭発表の練習を行わせる。
  • 第26回 口頭発表<実践>
  • レポートの内容について口頭発表を行わせる。
  • 発表に対してコメントを書かせる。
  • 第27回
    第28回 評価
  • 他人の書いたレポートを読み,それに対して評価をつける。
  • 第29回 まとめ
  • 後期の活動を振り返る。
  • 第30回 図書館ガイダンス(時期未定) (図書館での演習)

    成績

    評価項目

     この授業では,小課題,中間課題,期末レポートの3つに基づいて成績を付ける。まず,小課題とは授業内,もしくは授業時間外の課題(宿題)である。中間課題は3回程度行う予定である(持ち帰り試験やレポートで行う可能性もある)。期末レポートは12月末頃提出予定のレポートである。

    単位取得のための条件

     小課題(授業に関する提出物),中間課題(3回を予定),期末レポートそれぞれの最低点をとり,かつ合計の5割以上を取ること。

    教科書・参考書

    教科書

    購入物品

    参考書

    基本的な書き方に関する文献

    内容をより充実させるために役立つ文献