松浦年男の物置

2010 文章表現(通年)
授業開始以降の連絡や授業資料の公開には大学のCEASを使います。

クラスと講時

クラス 曜日・講時 教室
経部L 月曜・3講目 B-609
社部I 月曜・5講目 A-702
社部J 火曜・3講目 A-507
経部Q 火曜・5講目 A-506
文部I 金曜・4講目 A-502

科目概要

時代背景

 自分の持つ情報や意見を論理的に,かつわかりやすく伝えることは,大学の中だけでなく,社会に出てからも必要とされる能力のひとつである。さらに,ここ十数年のウェブメディアの発達によりその機会および重要性は増してきた。だが,情報を分かりやすく伝える能力は高校までの教育で十分に行われてきたとは言い難い。なぜなら,高校までの授業における日本語の文章表現教育では,自分の気持ち(感想)をありのまま書くことが重要視されることが多く,論理的に説明することは軽視されてきたからだ。

科目内容

 そこで,この授業では,自分の持つ情報を聞き手/読み手に誤解なく分かりやすく伝えるための技術を紹介する。また,自分の意見を書くにあたっては,指定された主題(トピック/キーワード)について自分の考えを導き出し,書いていく方法を解説する。さらに,これらの技術の定着をはかるために,テーマを考える,アウトラインを作る,段落を作る,草稿を書く,口頭発表をする,推敲するというレポートを書く一連の作業を体験する。

 なお,授業では個人での作業のほかに,他の学生との共同作業に多く時間を割く。具体的には,自分の発表・レポートのテーマ案について質疑応答をする,アウトラインやレポート原稿を読み合い,分かりにくい点や形式が統一されていない点などを指摘する,レポート原稿や口頭発表について批評しあうといった活動を行う。

人材目標

 自分の持っている情報や意見を想定される聞き手や読み手が理解できる形で文章化できる人材を育成することを目標とする。

単位取得の指標

 この授業で単位を取得したということは,次の項目に関する決まりを守った文章が書けることを意味する。

各回における授業内容

前期

回数 トピック 授業内容
第1回 オリエンテーション
  • 授業の概要を説明する。
  • 小論文を書かせる。
  • 第2回 概要と詳細の配列
  • 説明文の構成法のうち,特に概要と詳細の配列について,演習を通して解説する。
  • 書式の注意点として,段落冒頭の字下げと禁則処理を紹介する。
  • 第3回 予告の挿入,読み手に合わせた説明
  • 説明文の構成法のうち,特に概要部に予告を入れることの重要性と方法について,演習を通して解説する。
  • 読み手の背景知識を推測することの大切さを演習を通して説明する。
  • 表記の注意点として常用漢字を紹介する。
  • 表記の注意点として送りがなの規則を紹介する。
  • 第4回 グラフ・表の読み取り
  • グラフや表の読み取りの手順について,演習を通して解説する。
  • 書式の注意点として,数字の表記について紹介する。
  • 第5回 第2回から第4回のまとめ
  • 第2回から第4回の学習事項を復習する。
  • 第6回 図書館ガイダンス (図書館での演習)
    第7回 第1回課題レポートの作成と提出(持ち帰り試験)
  • 報告型のレポートを作成させる。
  • 第8回 第1回課題レポートの評価
  • 他人の書いたレポートを読ませ,評価(感想ではない)を書かせる。
  • 第9回 主題の絞り込み,目標規定文の作成
  • アイデア出しの手法としてキュービングを紹介し,実際に演習させる。
  • 第2回課題レポートに関して話題から主題を絞りこみを行う。
  • 目標規定文の書き方を解説する。
  • 第2回課題レポートの目標規定文を書かせる。
  • 第10回 文章構成法
  • 文章を構成する要素として,序論・本論・結論を紹介し,それぞれで書くべき内容を解説する。
  • アウトラインの作り方を解説する。
  • 第2回課題レポートのアウトラインを作らせる。
  • 第11回 パラグラフの構造
  • パラグラフを作る要素として中心文と支持文を紹介し,その配置法について解説する。
  • 修正したアウトラインを元に本文を書き始めさせる。
  • 第12回 本文の読みあいと修正
  • 草稿読み作業で注意すべき点を解説する。
  • ペアの学生間でお互いの草稿を読ませあい,修正点を出させる。
  • 第13回 第9回から第12回のまとめ
  • 第9回から第11回の学習事項を復習する。
  • 第14回 引用による意見の補強
  • 引用の方法として直接引用と間接引用を紹介し,それぞれの方法を解説する。
  • 標準的と思われる引用のルールを紹介する。
  • 情報源による信頼度の違いについて説明する。
  • 第15回 意見文の書き方の復習
  • 学生同士のペア作業を通して,資料を活用した意見文の書き方について復習する。
  • 後期

    回数 トピック 授業内容
    第16回 第3回課題レポート(夏休み共通課題)の評価,後期の内容説明
  • 他人の書いたレポートを読ませ,評価(感想ではない)を書かせる。
  • 後期の授業の進め方を説明する。
  • 第17回 主題の絞り込み,論点の形成
  • アイデア出しの手法としてSPRE/Rを紹介し,実際に演習させる。
  • 第4回課題レポートに関して,話題から主題を絞りこみを行う。
  • 文献やネットでの調査方法と集めた情報のまとめ方を説明する。
  • 第18回 目標規定文
  • 目標規定文の構成を紹介する。
  • 第4回課題レポートの目標規定文を作成させる。
  • 第19回 情報の収集と目標規定文の再検討
  • 第4回課題レポートに関して集めた情報を元に目標規定文を再検討させる。
  • 第20回 アウトラインの作成
  • 演習作業を通して目標規定文の見直しと修正をさせる。
  • 文章構成法として序論・本論・結論を再度紹介し,解説する。
  • 第4回課題レポートのアウトラインを作成させる。
  • 第21回 アウトラインの修正
  • ペア作業によるアウトラインの修正をさせる。
  • 第22回 パラグラフの構造
  • パラグラフの概念について導入し,その構造を詳述する。
  • 第23回 本文の書きこみ
  • グラフや表の説明方法について復習する。
  • 引用の方法について復習する。
  • 第24回 文章を読みなおす
  • 推敲のときに気をつける点を説明し,自分の草稿を読みなおさせる。
  • 同じ点に注意しながら他人の草稿を読ませる。
  • 第25回 口頭発表<練習>
  • 口頭発表の練習を行わせる。
  • 第26回 口頭発表<実践>
  • レポートの内容について口頭発表を行わせる。
  • 発表に対してコメントを書かせる。
  • 第27回
    第28回 評価
  • 他人の書いたレポートを読み,それに対して評価をつける。
  • 第29回 まとめ
  • 後期の活動を振り返る。
  • 第30回 図書館ガイダンス(時期未定) (図書館での演習)

    成績

    評価項目

     この授業では,成績判定のためにつける点数を小課題点,形式点,内容点の3つに分ける。まず,小課題点とは課題レポートを除く授業での提出物に対する評価を点数化したものである。次に,形式点とは課題レポート(全4回)における形式面の評価を点数化したものである。具体的な項目は以下の通りである。

    1. 指定された文章構成法に従っているか。
    2. 指定されたパラグラフ構成法に従っているか。
    3. 指定された引用法に従っているか。
    4. 指定された書式に従っているか。
    5. 指定された表記法に従っているか。
    そして,内容点とは課題レポートにおける内容面の評価を点数化したものである。 具体的な項目は以下の通りである。
    1. 問題設定は具体的か。
    2. 主張は明示的か。
    3. 大主張と小主張が論理的に破綻してないか。
    4. 事実の記述に対して明確な情報源を示しているか。
    5. 主張に対し予想される反論を考え,それに反駁しているか。
    6. 主張を支える根拠は具体的かつ客観的か。

    単位取得のための条件

     単位取得(合格)のためには,小課題点と形式点の合計が合格点に達している必要がある。

    最終的な評点の付け方

     単位取得者の最終的な評点は,小課題点,形式点,内容点の合計によって決まる。

    教科書・参考書

    教科書

    北星学園大学 文章表現教材研究会(編)『文章表現−演習問題と資料−』
    ※授業内容に応じて適宜参照,使用するので,指定の原稿用紙と合わせて毎回を持参すること。

    購入物品

    参考書

    基本的な書き方に関する文献

    内容をより充実させるために役立つ文献