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授業内容
10/04
言語とは何か?
- 言語とは何か?:コミュニケーションの道具で記号を組み合わせたもの,と考えてみる。
- コミュニケーションって何だろう?
- 言語の記号って何だろう?
- 言語のようで言語でないもの:ジェスチャー
- 日本語を話せるとはどういうことか?:単語,文法を知っている―単語って何?文法って何?
- 文法は正しいけど,単語は正しくない文を作ってみる。
- 単語は正しいけど,文法は正しくない分を作ってみる。
例:「リンゴが直美を食べる」は何の間違いか?(そもそも間違いだろうか?)
→一見「文法の問題」と思うものでも実は「単語の問題」であるものは結構多いだろう。
- 言語障害って何だろう?
- 言語の4技能:読む,書く,聞く,話す。では,それぞれに必要なことは何か?
言語コミュニケーションの過程
- 言語の産出過程(意図→発話)
- 意図をもとに,それを伝えるのに使えそうな単語を脳内の辞書から持ってくる。
- 単語を文法の規則に則って組み合わせる。
- 組み合わせによって,必要であれば形を変え,イントネーションの形を指定する。
- 調音器官に命令を出す。
- 脳の中に「辞書」に相当する部分と,「文法」に相当する部分が必要である。
- でもこれだと「発話したものが意図どおりだったか」をチェックできない。そこで,意味につながる道と音につながる道が分岐すると考えたい。
宿題
自分なりの言語の理解の過程(音声→解釈)を考えてメールで提出してください。
- 締切:10月17日午後6時ごろを目安に
- 提出先:
- 件名を「◎青」とする。
- 本文に番号・氏名と答えを書く。
10/18
- 言語理解の過程(音声→解釈)
- 音声波形から音を抽出する。
- 音をもとに単語を絞り込む。
- 想定した単語をもとに後続の単語を絞り込み,単語と単語の関係を作る。
- 聞き取った単語と,他に必要な単語を辞書から選び,3で作った構造を参考にして単語間の関係付けをする。
- 単語間の関係に基づいて文自体の意味を計算する。
- 状況を勘案して,意味から妥当な解釈を推論する。
- 言語の性質
- プラトンの問題
- 生成文法というアプローチ(チョムスキー)
音韻論
- 日本語に音はいくつあるか?−音声学的には無限個である。発話者は同じ音を発音しているつもりでも毎回異なった音になり,聴取者は異なった音でも同じ音だと認識する。ということはある音だと認識されるための範囲が存在するのではないだろうか。
- 音素:頭の中の音の形。
- 異音:音素の具体的な実現形。上でも述べたとおり,音声学的には毎回発音は異なるのだが,便宜的にある程度の範囲は同じとみなしている。
- 相補分布:Aが現れるときにはBは現れず,Bが現れるときにはAは現れないという関係。ワンピースで言えばウソップとそげキングの関係。
- 最小対:問題となる部分だけがことなる単語の対。
- 音韻素性:音声を構成する音の最小要素。調音器官を動かす運動神経の入力を作る。
10/25
- 原音素:音韻素性のうち一部が空欄になっており,前後の環境によってその値が決まる音素。(長音,撥音,促音)
- 同化:周りの環境に合うように音が変わる現象。
- 異化:同じ特徴を持つ音の連続を避けようとして音が変わる現象。
- 挿入:音を挿入する現象。日本語では,音連鎖上ありえない並びを避けるために母音を挿入することがある。
形態論
単語と形態素
- 文を単語に分けるのは難しい。
- 単語の定義
- 形態素:意味を持つ最小の単位
宿題
それだけで発音したときと,前や後ろに他の形態素をつけたときとで発音が変わる形態素を5つ探してください。
- 締切:11月7日午後6時
- 提出先:※このアドレスにメールを送ると,届いたことを知らせるメールが自動的に送られてきます。それが届いたかを確認してください。また,このメールアドレスは課題用です。個別に連絡があるときはまでメールを送ってください。
- 件名:◎青
- 本文に番号・氏名と答えを書く。例えば052番の山田太郎くんがメールを送るなら次のようにする。
052 山田太郎
(1)ふね(船)−わたりぶね(渡り船)
- どうやっていいかわかんないよ!!という人へ
好きな新聞・本・マンガを手にとって読み,出てきた単語(文節)を全て1文字とか形態素単位に分けて,発音が変わらないかを調べてみましょう。1冊見終わらないうちに見つかると思います。面倒くさいかもしれませんが,得るものは大きいんじゃないかと思いますよ。
11/08
語という単位
- 語レベルの現象:アクセント,連濁,連声,母音変化
- 連濁の条件
- 語頭は阻害音でなければならない。
- 後ろの語は和語(大和言葉)に限られる。
- 後ろの語に濁音を含んではならない。(ライマンの法則)
- 後ろの語がすでに複合語だと連絡は起こらない。
- 前の語と後ろの語が並列関係だと連濁は起こらない。
- 連声:観(かん)+音(おん)→観音(かんのん)
- 母音交替:木(き)+陰(かげ)→木陰(こかげ)
形容詞・形容動詞の活用
- 品詞の定義−意味からいくとうまく行かない
- 形容詞=言いきりが「い」で終わる
- 形容動詞=言いきりが「な」で終わる
- 語幹=意味の中心を作る部分
- 語尾=語幹の意味を補足する部分
動詞の活用
- 母音語幹動詞:見る,蹴る,起きる,食べる…
- 子音語幹動詞:書く,取る,呼ぶ,買う…
- 語尾
- 言い切り・連体:-u/-ru
- 仮定:-eba/-reba
- 意思・勧誘:-oo/yoo
- 規則:2つの形態素がつながるとき,子音が連続したら後ろの子音を削除する。
11/22
動詞の活用(続き)
- 自動詞と他動詞:同じ語幹のように見えるが,例外が非常に多く,ここでは別の語幹として考えました。
- 語尾
- 受身:-are-/-rare-
- 使役:-ase-/-sase-
- 可能:-e-/-rare-もしくは-re-(いわゆる「ら抜きことば」の状態)
- 連用形:連用形の用法を確かめ,形態素を抜き出しました。
- 否定形:2つの可能性があることに言及しました。
- 過去形:語尾の形を4つに分けて一般化しました。
単語の作り方
- 自由形態素
- 拘束形態素
- 複合
- 派生
- 短縮
- 頭文字語
統語論
構造とは?
- 統語論:文の構造を探究する分野
- 構造とは何か?:要素と関係
- 文の要素=単語(形態素)
- 文の関係=統語構造(樹形図とも言う)
統語構造と主要部
- 句:単語と単語を組み合わせたもの
- 主要部:句の中心になる要素
- 統語構造と主要部:句は主要部の特徴を受け継ぐ(例:句の品詞は主要部の品詞と同じになる)。
12/13
Merge
- Merge(マージ):2つのものを一つにまとめ,どちらかを全体の代表にする操作。
- 意味解釈の規則
- 交差禁止:関係を示す線は交差してはいけない。
- 樹形図ではなく,カッコを使って表すこともありますが,どちらも同じと考えておいていいです。ただ,樹形図のほうが表現豊かなのでこっちを使います。
様々な文
- 述語を中心とした文:太郎が花子に本を貸した
- 構造的に曖昧な文:太郎はいつも悲しいと言っている
※曖昧な文の解釈を取れるようにしましょう。解釈が分からずに樹形図を書いて,それがたまたま正解であっても意味がないと思いますので。
練習問題
プリントの(32)はもう皆さんできるはずなのでやっておきましょう。また,下の問題を解いてみましょう。
- 花子は新しい社長の秘書に会った(2通りの解釈があるので,解釈と対応する樹形図を書く)
- 太郎はいつも花子が行くお店に電話している(2通りの解釈があるので,解釈と対応する樹形図を書く)
12/20
述語と名詞
- ここでのテーマ:統語構造を作る上で,人は述語について何を覚えているのか?
- 動詞による違いの一つとして,優先的に必要とする名詞句の種類(どういう助詞を伴うか)をあげることができる。
- 項(argument):動詞が優先的に必要とする名詞句
- 付加詞(adjunct):付け足しの名詞句
- つまり,子供は動詞について語彙を獲得するときには,動詞の概念(いわゆる意味)のほかに,項に関する情報も覚える必要がある。
- 責める:〜が〜を
- 感謝する:〜が〜に
- 対戦する:〜が〜と
- しかし,名詞句につく助詞だけ知っていても文の意味はわからない。
- なぜなら,ある意味関係(動詞について,それをする側なのかされる側なのかとかいう関係)をどういう助詞で表すかは,述語によって異なるからだ。
- 太郎が花子を責めた(「を」で動詞の相手を表している)
- 太郎が花子に感謝した(「に」で動詞の相手を表している)
- 太郎が花子と対戦した(「と」で動詞の相手を表している)
- また,逆にある助詞でどういう意味関係を表すかも一義に決まっていない。
- つまり,述語があってはじめて助詞のついた名詞句の意味関係が決まるのである。
- そのため,助詞によって述語に関してどういった意味関係を持つのかも覚えなければならない。
- この述語に関する意味関係を意味役割と言う。意味役割がいくつあるのかについてはよく分からないのだが,次の4つはよく使われるので知っておいて良いだろう。
- 行為者(agent)
- 対象物(theme)
- 目標(goal)
- 命題(proposition)
- まとめると,項についての情報として,ある助詞がどういう意味役割に相当するかも覚える必要がある。
- 責める:[行為者]が[対象物]を
- 感謝する:[行為者]が[対象物]に
- 対戦する:[行為者]が[対象物]と
名詞を修飾する表現(関係節)
- 修飾する述語と格関係を持つもの
- 修飾する述語と格関係を持たないもの
次回の小テスト
- 項,付加詞,意味役割の違いを説明できるようにする。
- あいまい文の樹形図を書けるようにする。
01/17
「は」の統語構造
- 「は」は「が」「を」「に」などと置き換えられる場合もあるが,置き換えるのが難しい場合もある。
- むしろ「は」は,後続する表現全体に係っていることがある。(predication:叙述関係)
- [太郎が[花子に[指輪を[あげた]]]]
- [太郎1は][(φ1が)花子に指輪をあげた]
副詞の解釈と統語構造
文の意味と解釈
- 文の意味≠単語の意味の(単なる)足し算
- 最低でも単語の意味と統語構造が必要
単語の意味
- 単語を知ってるということ
- 意味の階層
- プライミング効果
- 反義語
01/20
発話の解釈
- 意味がわかるということ:文に含まれる情報が自分の知識データベースに入り,それが適切に処理されること。
- 文の内容が,自分の知識データベースの内容と矛盾している場合,「え?」という反応をすることが多い。
- それを踏まえたうえで,文の言語的な意味(文に含まれるモノ同士に関する事実関係,としておきましょう)から語用論的意味(文によって意図された意味)に至る過程を考える。
- 会話は性質次のような性質を持つ。
- 相手が話した文の言語的意味を理解する
- 会話の場面における非言語的情報を用いることがある
- 場面を共有する人の間では,情報の利用の仕方は共通である
- 命題:真偽判断出来る形の表現。
- 含意:Pが成り立つならば必ずQが成り立つとき,PはQを含意するという。
- 発話を解釈するのに使うもの
- 言語的意味
- 世界知識(経験によって得た知識。例えば,「試験に受かるには勉強しなければならない」とかなので当然個人差もある)
- 協調の原理
- 推論
- 協調の原理
アンケート
- 件名:◎青
- 送付先:
- 締切:2月2日(月)午前9時
- 本文の初めに番号と氏名を明記すること。
- アンケートの内容は氏名を伏せた形で公開される可能性があることをご了解ください。
- この1年間の自分の取り組みについて振り返ってください。
- この1年間の授業について感想を述べてください。
- 来年もこの授業を受けるならどんなことに気をつける,心がけるか書いてください。
- 来年この授業を受ける人にアドバイスを送ってください。
- 松浦へ愛憎メッセージをください。