授業ノート
授業アンケートのお願い
- メールの件名:◎国
- 提出先:
- 締切:12月29日午前9時
- メール本文の初めに番号と名前を書いて下さい。
- アンケートの内容は氏名を伏せた形で公開される可能性があることをご了解ください。
- この1年間の自分の取り組みについて振り返ってください。
- この1年間の授業について感想を述べてください。
- 来年もこの授業を受けるならどんなことに気をつける,心がけるか書いてください。
- 来年この授業を受ける人にアドバイスを送ってください。
- 松浦へ愛憎メッセージをください。
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モーラと音節(1)
- モーラ:最も小さな韻律単位。1文字1モーラ。
- 自立モーラ
- 特殊モーラ
- 音節:色々な言語で重要な韻律単位。自立モーラと特殊モーラをまとめて1と数える。
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モーラと音節(2)
- 言い間違いとモーラ,音節
- 交換エラーのパターン
- 交換の単位が音節かモーラかが曖昧な例:
- 交換の単位がモーラである例:
- 交換の単位が音節である例:<ほとんどない>
- 混成エラーの作り方
- AB+XY→AYという語形成
- AYの長さ=XYのモーラ数
- 吃音とモーラ
- 日本語では初頭のモーラを繰り返すことが多い。
- 英語では初頭の子音を繰り返すことが多い。
- 音節構造の言語間比較
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モーラと音節(3):語形成とモーラ,音節
- (外来語)略語形成の条件
- 最低2モーラ必要である。(例:ヘリコプター→ヘリ,*ヘ)
- 最低2音節必要である。(例:ダイヤモンド→ダイヤ,*ダイ)
アクセント(1)
- 音声的実現による分類(ピッチアクセント,ストレスアクセント)
- 弁別特徴による分類(アクセント,トーン)
- トーンの分類(音節トーン,単語トーン)
- アクセントの機能
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アクセント(2)
- 日本語アクセントの特徴
- 最初の2モーラの高低が異なる。
- 一度「高」から「低」になったら,二度とあがらない。
- そのため,単語にアクセントの有無,位置を記載しておけば,自動的にピッチパターン(各モーラの高低)は出てくる。
- ただし,必ずしも全ての単語について,そのアクセントの有無,位置を覚える必要はない。(少なくとも無意味語は覚えているはずがない)
- 外来語アクセント規則:後ろから3モーラ目を含む音節。
- 外来語の平板化条件
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アクセント(3)
- 複合語アクセント:後部要素が複合語全体のアクセントパターンを決める。
- 後部要素が平板,または語末アクセントのとき
- 長い(3モーラ以上)→後ろから3モーラ目を含む音節
- 短い(2モーラ以下)→語境界
- 後部要素が語頭,語中アクセントのとき→後部要素のアクセントを保持する
- 動詞,形容詞のアクセント
- 有無のみの対立
- 境界に下がり目がきやすい。
- まとめ
- 次のところにアクセントは置かれやすい
- 後ろから3モーラ目
- 語の境界
- これは単純語の名詞についても言える。すると,言語を獲得するときに本当に覚えるべき情報は実は思っている以上に少ないかもしれない。
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リズム
- リズムとは?
- 日本語のリズム(機関銃)と英語のリズム(緩急)
- リズムの単位:音節リズム(含モーラリズム)と強勢リズム
- 日本語のフット
- 韻文におけるフット(4拍の繰り返し)
- 数字の発音
- 曜日の発音
- 惑星の発音
- アクセントの分離(単語レベルでのフット)
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イントネーション(1)
概論
- アクセントとイントネーションの異同:単位,機能
- 句末のイントネーションを作る要素:上昇・下降/速い・遅い
日本語のイントネーション
- 句頭の上昇:単語のはじめに見られる上昇。
- アクセント句:句頭の上昇が起こる領域。この領域の中には最大一つのアクセントが含まれる。だからアクセント句。
- アクセント句の範囲:左から見ていって,アクセントを含む単語に後続する助詞までが一つのアクセント句になる。(他の条件はまた次回)
起伏+起伏:(ゴジラの)(たまご)
起伏+平板:(ゴジラの)(こども)
平板+起伏:(クジラのたまご)
平板+平板:(クジラのこども)
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イントネーション(2)
- 自然下降:平板型の語でも音声的にはF0(ピッチ)はなだらかに下降している。
- ダウンステップ:アクセントがある語に後続する語のF0(ピッチ)はアクセントがない語に後続するときに比べて低く実現する。ダウンステップの起こる範囲を「イントネーション句」と呼ぶ。
- イントネーション句>アクセント句
- 統語構造とイントネーション
- 大まかに言って,統語構造上,まとまっている範囲はひとつのイントネーション句で実現しようとする。
- 逆に言うと,統語構造上,新しいまとまりがあると,新しいイントネーション句が始まることが多い。
- イントネーション句の境界には,アクセント句の境界が必ずある。そのため,前回やったアクセントの条件に反しないところ(つまり,平板型の語に後続するところ)であっても,新しいイントネーション句の始まりでは句頭の上昇が見られる。
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イントネーション(3)
- フォーカス:話し手が強調している部分(発話)
- プロミネンス:聞き手が強調されていると感じる部分(聴覚)
- プロミネンスの実現
- ピッチの上昇(と後続部の大幅な減衰)
- 速度
- ポーズ(前後や語中(ひ・み・つ))
- 声の大きさ
- 発声(声質)
- フォーカスとピッチ(WH疑問文とその答え)
- 感情とイントネーション:感情が高ぶるとピッチの幅が大きくなるなど
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音の物理と心理
- 音響音声学:音の物理的性質を探求する分野
- 音:言ってしまえはただの空気の波
- 音の3要素(知覚/物理)
- 基本周波数:音波の周期が1秒間に繰り返される回数(単位はHz(ヘルツ))
- 聴覚音声学:音の知覚的性質を探求する分野
- 子音の知覚
- paとbaの中間段階の音の判断:ほとんど割れることなく一貫してpa/baのどちらかに偏る。
- つまり,paとbaの間にははっきりとした境界線が存在する。
- 子音はカテゴリー知覚されている。
- 母音の知覚
- iとeとaの中間段階の音の判断:iとeの中間ならばiにするかeにするかで判断が分かれる。
- つまり,iとeとaの間にははっきりとした境界線が存在しない。
- 母音は連続的知覚される。
- マガーク効果
- パターン1:音声[ba],映像[ba]→知覚[ba]
- パターン2:音声[ga],映像[ga]→知覚[ga]
- パターン3:音声[ba],映像[ga]→知覚[da]
- 音声の知覚は視覚に影響を受ける(マガーク効果)。
- 日本語話者にはあまり効かないという話も…
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見て学ぶ音声学(1)
- 母音の音響特徴:F1とF2
- F1:舌の最高部が低いと高い数値になる。
- F2:舌の最高部が後ろになると低い数値になる。
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見て学ぶ音声学(2)
- 調音位置の違い
- [p]:低いF2,F3
- [t]:1600-1800HzぐらいのF2
- [k]:高いF2。F2とF3の始まりが同じくらい
- 摩擦音,破擦音のスペクトログラム
- 持続時間:摩擦>破擦>破裂
- 調音位置の違い:どの周波数域が強い(濃い)か。
- 発声と波形
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見て学ぶ音声学(3)
- 鼻音:低周波(300Hz前後)に強い振幅が見られる。
- わたり音:フォルマント遷移区間の長さ。発話速度とも関係する。
- 流音(はじき音):短い閉鎖なので,[d]の閉鎖区間を切っていくとラ行音になる。
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見て学ぶ音声学(4)
- 母音の持続時間の計測:第2フォルマントを見るか,波形を見て計測
- 広母音(a)>中段母音(e,o)>狭母音(i,u)
- 前後が有声子音(ダダ)>前後どちらかが無声子音(タダ,ダタ)>前後が無声子音(タタ)