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お知らせ




大会開催日程・会場

2010年5月29日(土)、30日(日)
北星学園大学
〒004-8631 札幌市厚別区大谷地西2-3-1

理事会開催予定日

2010年5月28日(金)

大会開催の要旨

統一論題 : 技術力から経営力へ


 いわゆる情報技術(Information Technology : IT )が今日の産業社会の重要な基盤の一つの要素となっていることについては、衆目の一致するところです。情報技術は、企業経営の領域においても重要な技術要素の一つになっています。
 情報システムが企業経営に役立っているかどうかの評価は、その情報システムが利用しているITの性能や仕様そのものではなく、それが収集・処理・加工する情報を企業経営に活かすことができているか、その程度によってなされるべきと考えます。逆の言い方をすれば、高度の情報システムあるいは情報技術を保有していても、企業経営に役立てることができているとは言えないこともありうるということです。すなわち、ITの技術力を問うのではなく、経営力を高めるために効果的にITと情報を活用する能力こそが、問われなければならないと考えます。情報経営の領域において、このような意味での経営力の問題が最近まで明示的に取り上げられてきませんでした。考えてみると非常に不思議な気がしますが、いまこそ、われわれはこの点に目を向けるべきと考えます。先進的なITを導入し、運用するという技術的課題を克服できても、それを経営の改革や改善に結びつけることが、必ずしもできるわけではありません。いま、私たちには、先進的なITに投資することが、必ずしも、それに見合った収益の改善をもたらさないという、「情報化パラドックス」の解消が求められております。
 近年は、マクロ的には情報化投資効果を肯定できたとされますが、ミクロ的にはまだ十分には解明されてはいません。つまり、全体的な傾向としては情報化投資がプラスに働いている傾向を見ることができますが、個々の組織体にとって、IT投資の経営効果を確実にする要因は何かについての、広く受け入れられた学術的知見は知られていない、ということです。しかし、近年になって、経営上必要になる各種の実践にITを巧みに埋め込んで活かすことが、IT投資効果を高めるポイントであるということが明らかにされつつあります。
 この方向へのアプローチの1つは、リソース・ベースト・ビュー(Resource-Based View: RBV)の立場をさらに一歩進めて、情報を有効な資源に変える要因を明らかにしようとするものです。第59回全国大会の特定自由論題「IT経営力総合評価」(コーディネータ・遠山曉氏)は、そのような意図に基づく具体的な研究成果の一つと言えます。
 他方、当学会が特別研究プロジェクトを設置して我が国における研究の先駆けとなった情報品質からのアプローチも重要な動向の1つと考えます。このような方向での取り組みは、本学会叢書4『情報品質の研究』(関口恭毅編著、中央経済社)として結実いたしております。
 これらのアプローチは、ITそのものよりも、組織による情報処理・活用とITによる情報サービスの共振的実践を重視するものと考えられます。
 本大会では、これらの成果を踏まえながら、経営の技術的要素の1つであるITの導入・運用ならびに利活用のあるべき姿を多様な角度から議論することによって、情報経営領域の再構築を進めるのに、幾分なりとも、貢献させて頂きたいと願うものです。
 このような意図の下、本大会では『技術力から経営力へ』を統一論題テーマとして掲げました。皆様の活発な参加をお願いする次第です。


日本情報経営学会第60回全国大会実行委員長
片山 敏之

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