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不良債権は不況の「結果」か「原因」か?
2002年10月30日、竹中経済財政・金融担当大臣により「金融再生プログラム」が発表された。その中で「2004年度に大手銀行の不良債権比率を現状の半分程度に低下させる」との政府方針が示された。もちろん、その狙いは邦銀の不良債権を加速処理させ、機能不全に陥っている金融機能を回復させることで、日本経済の再生を促す点にある。
しかし、小生が知る限り、邦銀の不良債権が不況の「原因」となっているのか「結果」となっているのかについては、政策論争の表舞台でこれまでほとんど議論されてこなかったのではないか?
不況の原因となっているのであれば、不良債権は早急に処理する必要がある。さもなくば、不良債権の存在自体が不況を深刻化させ、不況がさらに不良債権を増加させ、一向にぬかるみから抜け出せないからだ。他方、不況の結果として不良債権が積み上がっているだけならば、不良債権処理を急ぐと企業倒産の増加や邦銀の貸し渋りを通じて不況をかえって深刻化させてしまい、そのことがまた不良債権を増加させる。後者の場合、不良債権を減らす近道は、まずは景気を回復させることであって、不良債権の加速処理は景気回復後にすべきということになる。
現下の日本経済では、邦銀の不良債権の積み上がりはどちらの状況に当てはまるのか。これについての検討が不足したまま不良債権の加速処理に必要な諸施策を唱えても、既得権益層からの抵抗・反発に遭い、政策論争も政治力学によって決着せざるを得なくなる。事実、当初の竹中原案では、2004年3月期までに税効果会計ルールを見直すことによって邦銀の自己資本評価を厳格化すると伝えられたが、その後、銀行界・自民党などの激しい反発に遭い、10月30日の発表段階では、ルールの見直し実施時期が明示されず事実上先送りされてしまった。
またそもそも、不良債権が不況の「結果」となっているのか「原因」となっているのかで不良債権処理の効果が異なるのであれば、因果関係を十分に検討することなくして痛みを伴う政策実行を急ぐことは、もはや政策とは呼べず危険な賭けでしかない。
2002.12.25 ★暗黒星雲★