Rickenbacker 4001S

●ビートルズの使用した楽器といえば、リッケンバッカーを思い浮かべる人は多いと思います。 昔は、ビートルズが使用していた楽器についての情報は少なく、わからないことや間違いが結構あったものです。

例えば、ジョン・レノンが使っていたリッケンバッカーについては、Rickenbacker 425と紹介されていた記事がありました。ジョン・レノンのは、Rickenbacker 325です。Rickenbacker 425は、ジョージ・ハリスンが使ったことがあるようです。 また、ジョン・レノンは、メジャーデビュー前には、ナチュラル塗装のRickenbacker 325を使用し、メジャーデビュー後に、黒のボディーに金色のプレートのRickenbacker 325、その後、黒のボディーに白色のプレートのRickenbacker 325に換えたと書かれていました。ギターを頻繁に買い換えるというのは、やはりお金があるからなんだなと思っていました。実際は、メジャーデビュー前のナチュラルのRickenbacker 325とメジャーデビュー後の黒のRickenbacker 325は同じもので、リペアと同時に色を塗り替えたということでした。 ジョン・レノンが手に入れた、この最初のRickenbacker 325は、1958年製で、巡業先のドイツで借金をした買ったといわれていますが、最後まで返済しなかったとも言われています。ともかく、修理して大事に使っていたんですね。

ギターを大事に使うというと、ポール・マッカートニーも彼のいわゆるヴァイオリンベースを大事に使っています。一方で、RickenbackerからプレゼントされたというRickenbacker 4001Sは、独自の改造を施しています。 もともとは、Rickenbacker社でファイヤーグローと読んでいる赤のサンバーストの塗装でした。デザインに飽きたのか、あるいは薬のせいか、それをサイケデリックなデザインにペイントしてしまいました。All You Need is Loveの時には、このペイントされたRickenbacker 4001Sを見ることができます。Rick4001S(コラージュしてみました。)このころは、ナットが黒です。その後、ペイントをはがして、元の木の地肌が見えるようにします。ジョン・レノンがEpiphon Casino ES-230TDのペイントをはがした翌年だそうです。その後、Rickenbacker 4001Sの角の部分を削り、ピックアップもハイゲインのものに変更するといったことをしています。

ビートルズの使った楽器に関して、Andy Babiuk, "Beatles Gear"に実に詳しく調べられた結果が報告されています。日本語訳には、有限会社Withの大金氏の注釈までついてすごい内容です。私は、この本を見て、現在のポール・マッカートニーのRickenbacker 4001Sのナットが白くなっていることをはじめて知りました。更に、ヴァイオリンベースと同じようにゼロ・フレットがあるのに驚きました。当時販売されていたRickenbacker 4001Sにはゼロ・フレットはありませんでした。ナットは交換できるでしょうが、ゼロ・フレットを後から追加するというのは普通にはできないはずですから、もともとゼロ・フレットがあったということでしょう。それで、手元にあるポール・マッカートニーのBeatles時代のRickenbacker 4001S写真を見直して見ましたが、それっぽく見えるものはあるのですが、はっきりと確認できるものはありませんでした。

ビートルズの使っている楽器には、普通と違う点が多いということも、好奇心をそそられる理由の一つです。


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