終わる世界の聖騎士―ロイヤルパラディン―
五百年にもおよぶ平和な世は一人の若き皇帝により、たったの六日足らずで滅びをむかえようとしていた。
幾千の魔術を操り、すべての魔族を従えた彼の皇帝を止められる者はいなかった。
たとえ、血気盛んな新兵であろうと数々の戦場を駆け抜けてきた古兵であっても、例外はない。
内臓を焼き尽くされた者、氷の彫像と化した者、全身の骨を粉砕された者、それ以外の殺され方も、どれも惨たらしいものであった。
既に国王も首を刎ねられ、姫も攫われていた。
国王や姫といった一縷の希望を奪い去られ、凄惨な死を目の当たりにした誰もが、恐怖で震え、立ち上がる勇気を悉く失った。
魔王に立ち向かえるものは――――――。
もういない。
大陸・南方部 白帝國城 王の間
聖騎士 「やっと会えたな、魔王よ」
皇帝 「我に会いたかったのか?黒剣国の若き聖騎士よ」
聖騎士 「お前を斃せばこの戦争は終わるだろう」
「いや、終えてみせる!」
聖騎士 「黒剣国 聖騎士・末席、剣を以て正義と為す」
皇帝 「我を斬るというのか?」
「やれるものならば、やってみよ」
「我が怨嗟、憎悪……、受け止められるならば受け止めてみよ!」
「我を貫く光輝の剣となってみせよ?」