「記念論文集・講座もの・企画もの」の収録論文と『法律判例文献情報CD-ROM』
「記念論文集には一定のレベル以上の論文が寄せられていることが多い。……講座もの・企画もの……の収録論文も一般にはレベルが高い」(大村敦志ほか『民法研究ハンドブック』218-219頁)と言われます。他方、『法律判例文献情報CD-ROM』のマニュアルには、「年間約2万数千点の新刊書籍ならびに法律専門雑誌、学術・研究紀要、新聞等約1,130誌紙から採録した法律文献情報を収録しています」とうたわれています。しかし、『法律判例文献情報CD-ROM』は、「記念論文集・講座もの・企画もの」の収録論文の載録について網羅性を欠く嫌いがあるように思われます(なお、「記念論文集・講座もの・企画もの」は書籍であって雑誌ではありませんから、これらに収録されている個々の論文を『雑誌記事索引』で検索することはできません)。試みに、いくつかの例を調べてみました。まずは、記念論文集について、中村睦男教授の論文を例に試してみましょう。
〈1〉中村「私学助成の合憲性」・・・○
〈2〉中村「憲法と男女平等」・・・×
前者は芦部信喜先生の還暦記念論文集、後者は同じく芦部先生の古稀祝賀(論文集)です。『法律判例文献情報CD-ROM』でヒットしたのは、なぜか〈1〉だけでした。つぎに、講座ものについて、高見勝利教授の論文を例に試してみましょう。
〈3〉高見「デモクラシーの諸形態」・・・○
〈4〉高見「西ドイツの憲法裁判――憲法訴訟手続を中心に」・・・○
〈5〉高見「代表」・・・×
ヒットした〈3〉は『岩波講座現代の法』、〈4〉は『講座憲法訴訟』所収のものです。これに対して、ヒットしなかった〈5〉は『講座憲法学』に収められているものです。そもそも〈5〉については、『講座憲法学』自体が書籍として『法律判例文献情報CD-ROM』に載録されていないようです。雑誌に連載されたものが後に1冊にまとめられて刊行されることは少なくありません。『雑誌記事索引』での検索が雑誌連載時の論文に限定されるのは当然として、『法律判例文献情報CD-ROM』においても、雑誌連載をまとめた本自体がヒットすることはありますが、収録されている論文については、雑誌連載時の書誌情報が表示されることが多いようです。
例えば、中村睦男教授が佐藤幸治・野中俊彦両教授とともに執筆された『ファンダメンタル憲法』(有斐閣・1994年)について見てみましょう。〈6〉 ID番号 94021042
標題 ファンダメンタル憲法
著者名 佐藤幸治・中村睦男・野中俊彦/著
発行所 有斐閣
発行年月日 1994.7
判型,頁数,定価 A5,334,9p,3420円〈7〉 ID番号 92017071
標題 条約の国内法的効力 (ファンダメンタル憲法20)
著者名 中村睦男
掲載雑誌 月刊法学教室
巻号数、掲載頁 146,p34〜38
発行年月日 1992.11前述のように、『法学教室』誌上での連載を1冊にまとめた本として〈6〉が、そこに収録されている論文については、当初の『法学教室』連載時の書誌情報として例えば〈7〉が示されます。
ここで、問題が1つあります。
中村「内閣の衆議院解散権」がヒットしないということです。この論稿は、『法学教室』誌上には掲載されませんでしたが、単行本化された『ファンダメンタル憲法』には収録されています。御承知の通り、単行本化された『ファンダメンタル憲法』は、『法学教室』誌での連載分だけから成るのではありません。各執筆者は、1編ずつ新たに書き下ろしの論稿を加えています。『法学教室』誌に掲載されなかった書き下ろし分は、当然ながら、『法律判例文献情報CD-ROM』でも『雑誌記事索引』でもヒットしません。
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〈齊藤正彰@北星学園大学〉