[01] 弥永真生『法律学習マニュアル』〔第2版補訂版〕
(有斐閣・2007年)123頁以下
[02] 西野喜一『法律文献学入門』
(成文堂・2002年)85頁以下
[02a] 指宿信ほか監修/いしかわまりこほか『リーガル・リサーチ』〔第3版〕
(日本評論社・2008年)185頁以下/196頁以下
[03]中野次雄編『判例とその読み方』〔3訂版〕(有斐閣・2009年)
・本吉邦夫=篠田省二「あることがらにつきどういう判例があるかを知りたいとき」
[04]井関正裕「判例調査の方法」判例タイムズ745号(1991年)45頁以下
[05]判例のさがし方(法情報 資料室 ☆やさしい法律の調べ方☆)
インターネット上では、裁判所サイトの裁判例情報(判例検索システム)が近年充実してきていますが、収録件数、検索の利便性、関連情報の充実度などでは、商用のデータベースのほうに軍配が上がるでしょう。
判例全文を網羅的に(もちろん、全国で下される判決・決定のすべてではないが)収集するものとしては、つぎのようなものがあります。
後述する加除式の冊子体である[27][28](『判例体系』(第一法規))を電子化したものとして、かつてはCD-ROM版である、
[06]判例体系CD-ROM
(第一法規)
およびそのWebブラウザ対応版である、
[07][Web版] 判例体系
(第一法規)
がありましたが、現在は、インターネット上でのサービスとして、
[08]D1-Law.com 第一法規法情報総合データベース・判例体系
(第一法規)
に移行しています。[08]は、第一法規の既存データベースの総合的活用をはかり、法令の改正履歴、法律文献検索、国会審議情報まで含む総合データベースであり、「判例体系」と「現行法規」「法律判例文献情報」との相互リンクが特色です。
当初、判例情報の更新頻度は年4回以上とされていましたが、2005年4月の本サービス開始時点の収録内容は「平成16年7月末までに公表された判例」となっており、[06]や[07]の収録範囲と変わらないように見えました。
現在は毎月更新とされていますが、2007年(平成19年)5月30日の更新では、「平成19年3月14日までに公表された判例書誌、平成18年11月14日までに公表された判決本文を収録」となっています。
この[08]の特色の1つに、専門家によって付された「体系目次」と「判例要旨」があります。これらを活かした、「体系的志向から検索法を実践的に指南する判例検索攻略の一冊」として、
[09]リーガル・リサーチ研究会編『実践 判例検索−体系志向のリーガル・リサーチ−』
(第一法規・2007年)
があります。「判例検索を中心に据えているが、法令検索、文献検索、要件事実の把握などまで言及し、その効果的活用法を伝授」するものとされています。
いわゆるパソコン通信によって1985年から本格的にサービスを開始したTKC 法律情報データベース『LEX/DB』をインターネットに移行した、
[10]TKC 法律情報データベース・LEX/DBインターネット
(TKC)
さらに、2005年4月からサービスを開始した、
[11]日本法総合データベース・LexisNexis JP
(レクシスネクシス・ジャパン)
があります。レクシスは、米国の著名な法律データベースですが、『LexisNexis JP』の当初の判例のデータは、『新・判例秘書DVD』『判例タイムズDVD』などの開発・提供元である株式会社LIC(販売は株式会社EOC)から提供を受けているとされます(『新・判例秘書DVD』も、インターネット経由で新判例を毎月入手できるサービスがあります)。判例秘書も、オンラインでのサービスがあります。
[12]判例秘書 JP
(LIC・EOC)
収録範囲には、商用判例データベース相互間で相違があります。総件数だけで単純に優劣を語ることはできません。
『D1-Law.com 判例体系』は最新の数ヶ月分には本文未収録のものがありますが、『 LEX/DB インターネット』を連携して利用する場合には、前者の要旨画面から後者の全文情報を表示することができます。
『 LexisNexis JP 』の収録件数は延べ件数であって、同一の判例が3つの判例集に掲載された場合には「3件」と数えられています。
| 電子媒体 | 更新頻度 | 判例の 収録件数 | 調査時の 最終更新日 | 判タの 収録範囲 | 備 考 |
判例体系 (第一法規) | 毎月 | 178,263 | 2007.5.30 | 1〜1229号 | 本文収録は 156,408件 |
LEX/DB (TKC) | 毎週 | 187,145 | 2007.6.12 | 1〜1234号 | |
LexisNexis JP | 毎週 | 219,030 | 2007.6.02 | 1〜1229号 | 収録件数は「延べ」件数 |
*調査日:2007年6月20日
|
収録件数がやや少ないですが、LexisNexis JPと同様に米国系の総合DBとして、
[13]日本法総合オンラインサービスWestlaw Japan
(ウエストロー・ジャパン)
がサービスを開始しました。この[13]には、戦後の判例について、118,656件(2008年4月8日現在)が載録されています。
判例の全文収録を追求しない、要旨収録型の判例データベースもあります。
[14]リーガルベース判例版
(日本法律情報センター)
この、[14]は、収録判例は戦前の大審院判例を含む145,251件で、公式判例集などに登載された重要判例の全文と、その他の判例の要約を収録しています。『リーガルベース・コメント版』は、『判例タイムズ』誌に掲載されている判例コメントを原文のまま全件収録しています。[14]は、「1枚の媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)で提供することをコンセプトとした」サービスですが、「オフライン(CD−ROM等)に伴うタイムラグを克服すべく、オフラインとオンラインの融合を基本理念とし」て、インターネット上でのサービスも提供しています。
[15]リーガルベースWEB版
(日本法律情報センター)
なお、判例の書誌情報(所在情報)の提供から発展した『判例MASTER(CD-ROM版)』をインターネットに移行したものとして、
[16]判例MASTER for WEB
(新日本法規出版)
[17]判例MASTER Lite
(新日本法規出版)
がありました。[16]は、収録判例 108,233 件で、うち 44,517 件の主文・理由を収録し、446 件の判例コメントもありました。さらに、判例約6,300件を収録した[17]は、会員登録をすれば無料で利用できました。しかし、[13]のサービス開始により、[16][17]はサービスを終了しました。
商用の判例データベースに比べると収録件数は限られていますが、自由に利用できるものとして、裁判所サイトのサービスがあります。
[18]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01
(全判例検索:裁判所)
商用の判例データベースに判例が収録されるまでには、一定の時間がかかります。収録対象期間以降の新判例については、『裁判所時報』や、『判例時報』『判例タイムズ』などの判例雑誌の新しい号を直接見てみるというのが従来の方法でした。
現在は、裁判所サイトで、最新判例も閲覧することができます。
[19]http://www.courts.go.jp/saisinhanrei.html
(最近の判例一覧:裁判所)
においては、「最高裁判所判例集及び下級裁判所判例集については過去3か月以内、知的財産裁判例集については過去1か月以内の各判例の一覧を表示します」とされています。
検索・閲覧できる範囲は限られますが、以下のようなものもあります。
[20]法律判例文献情報
(第一法規)
この[20]は、D1-Law.com 第一法規法情報総合データベースの内容の1つであり、判例の本文を見ることはできませんが、文献情報とリンクしていて、判例評釈などの検索も可能です。
[21]判例タイムズDVD
(判例タイムズ社)
『判例タイムズ』は月刊の判例雑誌ですが、[21]は、そのバックナンバーの誌面を収録したDVD-ROMです。
このほか、網羅的な検索ができるわけではありませんし、掲載される内容にも繁簡の差がありますが、インターネット上で判例についての解説やコメントを掲載するサイトもいくつか見られます。
それらについては、このサイトのトップページに主要なものへのリンクがあるほか、次のようなリンク集が公開されています。
[22]http://www.lawlibrary.jp/link_hanrei.html
(判例リンク集:TKCローライブラリー 総合法律情報データベース)
紙媒体を用いて条文から判例を検索する方法として、主要な法令の場合には、判例の情報に重点を置いたコンメンタールを利用することができます(コンメンタール一般については、「法令関連情報とその調査」の1.1. 現行法の注釈を御参照ください)。
例えば、
[23]浦田賢治=大須賀明編『新・判例コンメンタール日本国憲法 1-3』
(三省堂・1993-94年)
などの「判例コンメンタール」シリーズがあります。
条文から判例を検索する方法として、同様に、判例つきの六法を利用することが考えられます(判例つき六法については、「六法の種類とその利用法」の「2.4. 判例つき六法」を御参照ください)。
年版または年度版の判例索引や判例回顧などを利用することも考えられます。例えば、
[24]『判例時報総索引』(判例時報社)
[25]『判例年報』〈判例タイムズ臨時増刊〉
[26]『判例回顧と展望』〈法律時報臨時増刊〉
などがあります。例えば、[24]の場合、条文ごとの索引の他に、巻末に「裁判年月日索引」があります。[24] には、『判例時報』本誌に「添付」されている「上半期版」(1月〜6月分)と、「別冊付録」の「年版」(1月〜12月分)とがあります。ただし、[24]では、『判例時報』に登載された判例・判例評釈しか検索できません。これに対して、[25]には、『判例タイムズ』以外に掲載された判例も載録されています。[25]も、巻末に、審級別・年月日順に整理された「判例索引」があり、各種判例集に登載された判例が載録されています。なお、[24][25]とも、その年またはその年度に下された判決を収録しているのではなく、その年 or 年度に刊行された判例集に登載された判決を収録しているのであることに注意が必要です。
ある条文に関する判例を探す場合に有用であるのが、加除式の冊子体でした。
[27]『判例体系』(第一法規)
[載録範囲:〜昭和48年]
[28]『判例体系』〔第2期版〕(第一法規)
[載録範囲:昭和49年〜]
これらは、法令の条文ごとに判例を整理し、要旨と登載判例集を記載したものです。
同種のものとして、
[29]『新判例体系』(新日本法規)
[30]『基本判例』(第一法規)
があります。その他にも加除式の資料として、以下のものなどがあります。
[31]『民事判例索引集』(新日本法規)
[32]『刑事判例索引集』(新日本法規)
[33]『行政判例集成』(ぎょうせい)
上述のように、[27][28]については、インターネット上のサービスが展開されています。[29]の提供元である新日本法規は、[13]と業務提携しています。
古い判決については、判例総索引や判例要旨集を利用することもできます。
ある論点について重要な判例が存在していないかどうかを調べるのならば、重要な判例を集めた文献を調べてみる、という方法は、場合によっては効率のよい方法であるでしょう。
そうした文献としては、まず、別冊ジュリストの『判例百選』シリーズや、法学教室増刊の『基本判例』シリーズ、ジュリスト増刊の『基本判例解説』シリーズなどが挙げられます。これらは、雑誌の増刊または別冊といった体裁のものです(図書館等で探すとき、配架場所に注意が必要です)。
[34] 法学教室増刊『判例セレクト '86〜'00』
(有斐閣・2002年)
は、法学教室3月号の別冊附録である「判例セレクト」を合本したものです。1冊に憲法・民法・刑法の判例が約150件ずつ収録されています。憲法・刑法については下級審判例も数多く収録されています。
このほかに、単行書の形式で、判例解説書または演習書といわれる本があります。実際の判例や、判例をもとにした具体例を挙げて、それに解説を加えるものです( 憲法の場合)。同様に、 『新・裁判実務大系』(青林書院)なども利用できるでしょう。
あるいは、概説書や体系書(講義の教科書として指定されているかもしれません)にも、重要な判例は引用されているでしょう。
そして、これらの文献は、判例を解説することを目的としているものですから、ここで目的の判例を発見することができれば、同時にその判例についての解説を(場合によっては参考文献についての情報なども)入手できるわけで、一石二鳥です。
比較的最近の判例については、年刊の判例評釈誌・判例回顧誌に当たって、注目される判例の存否を調べることが考えられます。
[35]『重要判例解説』〈ジュリスト臨時増刊〉
[36]『判例セレクト』〈法学教室別冊〉
[37]『私法判例リマークス』〈法律時報別冊〉
[38]『主要民事判例解説』〈判例タイムズ臨時増刊〉
[38a]『速報判例解説』〈法学セミナー増刊〉
『法学教室』の別冊附録である[36]は、現在は毎年3月号に添付されています。
法律雑誌には、最近の判例についての速報欄があります。たとえば、
[39]『法学教室』:「最近のおもな判決」
[40]『法律時報』:「最高裁新判例紹介」
などです。また、法律雑誌には、定期的に判例評釈が掲載されており、これらから目的の判例を見つけることも可能でしょう。
「踏んだり蹴ったり判決」のように、有名な事件の場合、あるいは判例に著名な「あだ名」がある場合には、それを手がかりに判例を検索することもできます。
判例データベースや索引誌には、著名事件名による索引を備えているものがあります。ただし、ある判例に事後に定着した著名事件名と、判決・決定に記載されている事件名(「損害賠償請求事件」など)とを混同しないようにしましょう。後者は、民事の場合は、原則として原告の訴状に記載された事件名を裁判所が採用する、刑事の場合は、原則として起訴状に記載される罪名が事件名になり、それを裁判所が採用する、ということのようです。
有名な事件の場合、一般の検索サイトで事件名をキーワードとして検索しても、なんらかの情報を得られる可能性があります。「踏んだり蹴ったり判決」で検索してみると、かなりの数のヒットがあります。なお、コンピュータは、「踏んだり蹴ったり判決」と「ふんだりけったり判決」は別のものであると認識します。ちなみに、最高裁昭和27年2月19日第三小法廷判決(民集6巻2号110頁)は「踏んだり蹴たり」と表記しています。
有名な判例(事件名)に言及されたが、裁判所名・判決年月日までは分からなかった、ということもあるかもしれません。そうした場合、その判例がどの分野に関するものかは分かっていれば、判例百選や基本書などで調べてみることが可能です。判例百選の目次を見ると、判例に事件名や通称が付記されている場合が少なくありません。基本書の巻末には判例索引が付されていることがあり、また、事項索引に著名事件名が載録されていることもあるでしょう。
なお、著名な法律事件の調査について、
〈tips1〉著名事件について知りたい
も御参照ください。
発見した判例について、下級審または上級審の判決を調べる必要があります。
下級審判決の調査は、比較的容易です。当該判決が下された時点で、下級審の判決は既に存在しているからです。したがって、当該判決とともに下級審判決の情報が記載されていることが少なくありません。
公式判例集の場合、下級審判決(少なくとも原判決)の情報が表示されていますし、場合によっては下級審判決の全文または要旨が掲載されています。
* 当該判決の直前の(下の審級で下された)判決を「原判決」と呼びます。
『判例時報』や『判例タイムズ』などの判例雑誌の場合、下級審の判決とその出典(掲載誌と号・頁)が表示されていることが多いでしょう。
電子媒体で検索した場合にも、下級審判決についての情報が表示されます。
判例評釈には、下級審判決の情報が記載されるのが一般的です。
これに対して、発見した判例が下級裁判所のものである場合、それについて上級審の判断があるか否かを調べることは、やや面倒です。
まず、そもそも上級審の判断が存在する(可能性がある)か否かが問題です。発見した当該判例に関して、上訴についての情報が表示されているか確認します。「確定」と表示されていれば、当事者が上級の裁判所に上訴しなかったということが分かります。「控訴」あるいは「控訴中」、「上告」あるいは「上告中」などと表示されていれば、上訴されていることになります。
上訴の結果は、その下級審判決の時点では「未来の出来事」ですから、紙媒体の判例集から情報を得るのは困難です。
加除式の資料の場合には、上級審判決の情報が後に追加される可能性があります。
判例データベースの場合には、審級情報として、下級審判決だけではなく上級審判決の情報が収録されていることが多いようです。ただし、上級審判決の情報が後に追加されるためには、原則として、当該上級審判決が判例集(判例雑誌・裁判所サイトを含む)に登載されるか、データベース作成者が独自に入手することが前提となります。たとえば、判決が下されても、判例集に登載される等しなかった場合は、「控訴中」あるいは「上告中」などの表示のままであることが多いと思われます。つまり、上級審判決が判例データベースに収録されなければ、審級情報も表示されないということでしょう。
なお、時間的な関係によっては、後に書かれた判例評釈から上級審判決についての情報を得ることができる場合があります。