齊 藤 正 彰 @北星学園大学


判例の世界と主要判例集



  〈目 次〉

   0 はじめに
    0.1. 参考文献

   1 判例の世界

    1.1. 判例の意義
    1.2. 判例・裁判例・判例理論     
    1.3. 判例集への登載

   2 判例集

    2.1. 公式判例集
    2.2. 判例雑誌
    2.3. 判例サイト
    2.4. 判例と出典の表示
    2.5. 登載誌名の略称
    2.6. 事件番号



0.はじめに

0.1. 参考文献

[01] 弥永真生『法律学習マニュアル』〔第2版補訂版〕
   (有斐閣・2007年)123頁以下
[02] 西野喜一『法律文献学入門』
   (成文堂・2002年)104頁以下
[02a] 指宿信ほか監修/いしかわまりこほか『リーガル・リサーチ』〔第3版〕
    (日本評論社・2008年)138頁以下
[03]中野次雄編『判例とその読み方』〔3訂版〕(有斐閣・2009年)
[04]判例の読み方仮想法科大学院(加賀山茂先生)
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1.判例の世界

1.1. 判例の意義

原則として口頭弁論に基づいて裁判所がする裁判を「判決」と呼びます。これに対して、口頭弁論を経ることを必要としない裁判を「決定」と呼びます。ここで「裁判」とは、司法機関である裁判所または裁判官が具体的事件について行う公権的な判断のことを意味しています(訴訟事件の本案に関する判断だけでなく、訴訟に付随しこれから派生する事項についての判断も含まれる)。以下、「判決」を例として説明しますが、「決定」についても同様です。
「判例」とは、端的には、「裁判上の先例」ということができるでしょう。ある事件について裁判所が下した判決は、当該事件についてのみ効力を生じ、他の事件に対して何らかの効力を有するものではないはずです。しかし、類似の事件については、裁判所は同じような判決を下すことが予想できますし、同じような判決が下されることが法的安定性の見地からも望ましいと言えます。また、下級裁判所が上級の裁判所とりわけ最高裁判所の先例と異なる判決を下しても、審級制の下では、上訴されて上級の裁判所によって覆される可能性が大きいと考えられます。日本の裁判制度においては、必ず判例の通りに裁判をしなければならない(判例と食い違う判決をしてはならない)とされているわけではありません。しかし、上述のようなことから、判例(とりわけ最高裁の判例)は「事実上の拘束力」を有すると言われます。
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1.2. 判例・裁判例・判例理論

では、「判例」(=「裁判上の先例」)とは何でしょうか。「判例」という語の意味については、[03]の3頁によれば、以下の3通りの用法があります。
(1) (先例となるような判断を含む)個々の裁判そのもの
(2) 裁判の「理由」の中で示された判断
(3) (裁判から推測される)裁判所の、ある論点に関する基本的な考え方
「平成7年8月9日の最高裁判所の判決」のことを「平成7年8月9日の最高裁の判例」というとき、これは(1)の用法といえます。「判例は狭義説を採用している」といわれるときは、(3)の用法でしょう。(3)の意味であることを示すために、「判例理論」という語が用いられることもあります。
実際に、実務に対して影響力を有する「裁判上の先例」は、最高裁の判例です。下級裁判所の判断は、限られた場面でしか、そのような影響力をもちません。そこで、下級裁判所の判決については、判例と言わず「裁判例」と呼ぶことがあります。上の(1)の意味であることを示すために、「裁判例」の語が用いられることもあります。
以下では、(1)の意味で「判例」の語を用いています。
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1.3. 判例集への登載

裁判所で下されたすべての判決・決定が判例集に登載されるわけではありません。大部分の判決・決定は、当事者と担当の裁判所関係者しか知らないままで消えてゆくのです。
[05]指宿信「判例公刊について −未公刊判例に関する問題の検討から(上)(下)」
    法律時報73巻10号(2001年)67頁以下、11号(2001年)91頁以下
[06]http://imak.exblog.jp/1396114/
    (ミサイルと竹槍[2004-12-04 22:46]:blog of Dr. Makoto Ibusuki
[07]http://imak.exblog.jp/3490528/
    (未公刊判例について[2006-04-19 12:41]:blog of Dr. Makoto Ibusuki
[08]http://imak.exblog.jp/5064839/
    (最高裁サイトから消えた「判例」と、判例公開問題[2007-02-01 21:55]:blog of Dr. Makoto Ibusuki
逆に、当該判決が登載されている判例集は1つだけとは限りません。複数の判例集に登載されていることがしばしばあります。
判例集には、裁判所が編集した公式のものと、民間の出版社などが編集しているもの(「判例雑誌」「私的判例集」などと呼ばれる)があります。判例集(戦前のものを含む)の詳細なリストとしては、[01]の巻末、[02]の63頁以下、[02a]の163頁以下、[03]の273頁以下を参照してください。
[09]http://www.law.osaka-u.ac.jp/~kado/legbib/lrepjbib.htm
    (日本の判例集に関する文献:法情報の世界 Noboru Kado
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2.判例集

2.1. 公式判例集

戦後に刊行された公式判例集として、もっとも重要なものは、
[10]『最高裁判所民事判例集』〈民集〉
[11]『最高裁判所刑事判例集』〈刑集〉
です。[10][11]に登載されているのは、最高裁判所の判決・決定のうち、最高裁判所判例委員会が判例として価値があると判断したものです。民集・刑集に登載されているのは、最高裁判所の判決・決定のごく一部に過ぎません。
この[10][11]は、原則として毎月1回、民集の部分と刑集の部分とを合わせて、『最高裁判所判例集』として1冊で刊行されます。図書館では、後に、民集と刑集とに分けてハードカバーを付けて製本・配架するのが一般的です。
民集・刑集に登載されている判例には、最高裁判所調査官による「最高裁判所判例解説」が存在します。
[12]『最高裁判所裁判集民事』〈集民〉
[13]『最高裁判所裁判集刑事』〈集刑〉
この[12][13]は、最高裁判所の判決・決定のうち、民集・刑集に登載するほどではないが重要とされるものを登載しています。
これらは、裁判所の部内資料という扱いで、大学図書館を含む一般の図書館にはほとんど所蔵されていません。現在は、東京大学法学部、京都大学法学部、東北大学といった一部の大学図書館・図書室と、国立国会図書館の議会官庁資料室や、東京都立中央図書館などで閲覧することができます。かつては、要旨集が市販されていました。
ただ、実際には、集民・集刑に登載されている判例の多くは、判例時報・判例タイムズなどの判例雑誌で読むことができるでしょう。
下級裁判所の判例を登載するものとして、
[14]『高等裁判所民事判例集』〈高民集〉
    [載録範囲:昭和22年〜平成14年]
[15]『高等裁判所刑事判例集』〈高刑集〉
    [載録範囲:昭和22年〜平成14年]
[16]『下級裁判所民事判例集』〈下民集〉
    [載録範囲:昭和25年〜昭和59年]
[17]『下級裁判所刑事判例集』〈下刑集〉
    [載録範囲:昭和34年〜昭和43年]
[18]『刑事裁判月報』〈刑裁月報 or 刑月〉
    [載録範囲:昭和44年〜昭和63年]
などが知られていますが、いずれも終刊となっています。
分野別に判例を集めたものとして、
[19]『行政事件裁判例集』〈行集 or 行裁例集〉
    [載録範囲:昭和25年〜平成9年]
[20]『労働関係民事裁判例集』〈労民集〉
    [載録範囲:昭和25年〜平成9年]
[21]『無体財産権関係民事・行政裁判例集』〈無体集 or 無体例集〉
    [載録範囲:昭和44年〜平成2年]
[22]『知的財産権関係民事・行政裁判例集』〈知財集 or 知的財集〉
    [載録範囲:平成3年〜平成10年]
などが知られていますが、いずれも終刊となっています。現在は、裁判所サイトが、これらに代わる判例情報提供手段となっています。
判例集ではありませんが、裁判所内の広報紙である、
[23]『裁判所時報』〈裁時〉
は、最高裁の重要判例の全文が約1ヶ月後に掲載されるため、最高裁判例を速報するものとしても利用されます。ただし、現在では、速報としては、裁判所サイトの「最近の判例一覧」が存在します。
裁判所が編集する公式判例集ではありませんが、民間の出版社ではなく官庁が編集・刊行しているものとして、
[24]『訟務月報』〈訟月〉
があります。法務省が関与した民事事件および行政事件(つまり、国や行政庁が当事者となっている事件)の判例を登載しています。
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2.2. 判例雑誌

2.2.1. 「判時」と「判タ」

判例雑誌として、もっとも著名なものは、
[25]『判例時報』〈判時〉
[26]『判例タイムズ』〈判タ〉
でしょう。いずれも毎月2回程度の頻度で刊行され、判例の速報を目的としています。ただし、判例だけではなく、論文や判例評釈も掲載されています。
[27]『判例時報総索引』(判例時報社)
[28]『判例年報』〈判例タイムズ臨時増刊〉
『判例時報』は、本誌に「添付」されている「上半期版」(1月〜6月分)と、「別冊付録」の「年版」(1月〜12月分)の総索引を刊行しており、『判例時報』に掲載された判決および判例評釈が法条ごとに配列され、さらに、「裁判年月日索引」「著名事件索引」が付されています。ただし、[27]では、「判例時報」に登載された判例しか検索できません。これに対して、[28]には、「判例タイムズ」以外に掲載された判例も載録されています。なお、[27][28]とも、その年またはその年度に示された判例を収録しているのではなく、その年 or 年度に刊行された判例集に登載された判例を収録しているのであることに注意が必要です。

2.2.2. 判例雑誌の特色

判時・判タのような判例雑誌の特色として、次のような点があります。
第1に、各判例の冒頭に当該判例で示された判断の要旨が掲げられています。公式判例集にも「判示事項」と「判例要旨」が記載されていますが、判例雑誌では、冒頭に太字で掲げてあることが多いようです。これらの記述は、(公式判例集の「判示事項」や「判例要旨」にしても)もともとの判決文に記載されていたのではなく、判例集の編纂に際して後から付されたものですから、同じ判例でも判例集によって取り上げ方が異なっている場合があります。なお、裁判所の判断が「積極」とか「消極」という用語で表示されている場合があります。「積極」は肯定、「消極」は否定の意味です。
第2に、判例の本文の前にコメントが付されています(「判例コメント」と呼ばれることもあります)。こうしたコメントは、多くの場合、枠で囲むなどして、判例本体と区別されています。コメントの中には、訴訟の争点や裁判所の判断の要旨、審級関係の情報、関連判例や学説状況の情報などが盛り込まれており、判例の位置づけを理解するのに便利です。
ただし、このコメントは、判例そのものではないことはもちろん、匿名で付されたものですから、学術論文や判例評釈と同視することもできません。判例を理解する手がかりと捉えておくのがよいかもしれません。なお、異なる判例雑誌にほぼ同一のコメントが掲載されている場合もあります。
[28a]http://okada-yoshihiro.cocolog-nifty.com/blog/2004/07/post_3.html
    (判例コメントはだれが書くの?2 :おかだよしひろーぐ
第3に、関係者の氏名が、「甲野太郎」「乙山次郎」「丙川三郎」「丁原四郎」などの仮名になっている場合があります。証拠関係の記載も、《証拠略》として、省略されている場合があります。
なお、余談ですが・・・。
[29]http://homepage2.nifty.com/okada_yoshihiro/RANKING.HTML
    (判例雑誌掲載判例 当事者登場回数ランキング :おかだよしひろ熱烈判例Fun
第4に、新しい判例が公刊されるまでに要する期間が公式判例集よりも短いようです。判時や判タは、判決が出てから掲載されるまで、平均して2〜3ヶ月くらいと言われています。また、登載される判例の数も、公式判例集より多くなっています。

2.2.3. その他の判例雑誌

判時・判タ以外の判例雑誌としては、
[30]『労働判例』〈労判〉
[31]『金融・商事判例』〈金判〉
[32]『判例地方自治』〈判自 or 判例自治〉
[33]『交通事故民事裁判例集』〈交民集 or 交通例集〉
などが有名です。
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2.3. 判例サイト

2.3.1. 裁判所サイト

裁判所サイトの「裁判例情報」ページ(判例検索システム)で、判例情報が公開されています。
[34]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01
    (全判例検索:裁判所
主要な最高裁判決については、
[35]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=02
    (最高裁判所判例集:裁判所
で検索することができます。[35]には、「最近の主な最高裁判所の判例や,最高裁判所民事判例集及び最高裁判所刑事判例集に登載された判例が掲載されています」。
過去3か月以内の最高裁判決は、
[36]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0020?action_id=search&hanreiSrchKbn=02&recentInfoFlg=1
    (最近の判例一覧/最高裁判所判例集:裁判所
において公開されています。かつての最高裁ホームページにあった「最近の主な最高裁判決」ページに掲載された判例は、民集・刑集に登載されなかった場合は一定期間経過後に削除されていました。
[37]http://www.ilc.gr.jp/saikousai/hanrie_ichiran.htm
    (最高裁ウォッチャー/判例一覧:インターネット法律協議会
においては、「最近の主な最高裁判決」に掲載された判例のバックナンバー(平成9年〜平成14年7月頃の分)を保存しています。
[38]http://www9.ocn.ne.jp/~indigo/index.htm
    (最高裁判例データベース:stroll氏)
においては、平成9年〜平成18年の「最近の主な最高裁判決」に掲載された判例を収録しています。
裁判所サイトでは、高等裁判所の判例も検索できます。高等裁判所民事判例集(高民集)および高等裁判所刑事判例集(高刑集)に登載された判例と、高民集・高刑集の休刊後の主要判例が収録されています。高民集・高刑集の休刊後の判例についても「裁判集登載巻号・頁」が表示されますが、これは、裁判所の部内用に作成されているものとのことです。
[39]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=03
    (高等裁判所判例集:裁判所
そのほかの主要な下級審判例の検索も可能になりました。
[40]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=04
    (下級裁判所判例集:裁判所
では、2002年3月以降に各地の高等裁判所あるいは地方裁判所のホームページの「主要判決速報」のコーナーに掲載して紹介した判決等を集約したものの中から、「任意の文字列」「判決年月日」「裁判所名」「事件番号」によって検索することができます。また、最近の判例一覧では、過去3か月以内の裁判例が表示されます。
このほかにも、裁判所サイトでは、
[41]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=06
    (労働事件裁判例集:裁判所
[42]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=05
    (行政事件裁判例集:裁判所
[43]http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=07
    (知的財産裁判例集:裁判所
などが公開されています。[43]については、最近の判例一覧で、過去1か月以内の裁判例が表示されます。
冊子体の公式判例集の多くが休刊・廃刊となり、裁判所サイトはそれに代わる判例情報提供手段となっています。
なお、裁判所サイトの[43]が最高裁判例や地裁・高裁判例も含むのに対して、
[44]http://www.ip.courts.go.jp/search/jihp0010?
    (知財高裁判例集:知的財産権高等裁判所
は、「平成17年4月1日に知財高裁が設立されてからの判決 (侵害訴訟と審決取消訴訟)のほぼ全件と、決定その他の一部」を載録しています (平成17年3月以前の判決等は一部に限り掲載)。「約1か月に1度更新し,更新日の前月末日までの判決を掲載」とされており、直近の情報については[43]に関する最近の判例一覧を利用することになります。
裁判所サイトは、2006年春に全面的に更新されました。旧サイトでは、判例全文はHTML形式で提供されていましたが、新サイトではPDF形式で提供されています。これをHTMLまたはテキスト形式に変換して提供するサイトがあります。
[44a]http://kanz.jp/hanrei/
    (裁判所判例Watch:kanz.jp

2.3.2. その他の判例サイト

裁判所サイト以外にも、公的機関・個人・民間団体などのサイトで、各種の判例情報が提供されています。書誌情報だけの判例一覧、要旨を紹介するもの、全文を掲載するもの、評釈・コメントなどを掲載するものなど、内容はさまざまです。
また、裁判所の判決・決定のほかにも、行政委員会またはそれに準ずる行政機関が準司法的手続によって行う行政審判 (公正取引委員会の審判手続や、特許審判、海難審判など)、あるいは、行政処分に対する不服申立てについて上級の行政機関などが行うような裁決などについても、インターネット上で検索できるものがあります。
これらについては、このサイトのトップページに主要なものへのリンクがあるほか、以下のようなリンク集が公開されています。
[45]http://www.lawlibrary.jp/link_hanrei.html
    (判例リンク集:TKCローライブラリー 総合法律情報データベース
[46]http://www.lawlibrary.jp/link_shinketsu.html
    (審決/裁決リンク集:TKCローライブラリー 総合法律情報データベース
[47]http://www.ndl.go.jp/horei_jp/Links/link_gazette_j.htm
    (官報・法令・判例検索 (日本)国立国会図書館 議会官庁資料室
商用 (有料)のオンライン判例データベースについては、別途御紹介します。
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2.4. 判例と出典の表示

判例およびその登載誌名は、一定の方式に従って表示されています。
旭川地裁昭和43年3月25日判決(判時514号20頁)
札幌地裁小樽支部昭和49年12月9日判決(判時762号8頁)
東京高裁平成7年8月10日判決(訟月42巻7号1783頁)
東京高裁昭和45年4月13日決定(高民集23巻2号172頁)
最高裁昭和48年4月4日大法廷判決(刑集27巻3号265頁)
最高裁平成9年9月9日第3小法廷判決(民集51巻8号3850頁、判時1631号57頁)
上記の例は、字数の制約が厳しくない場合に用いられる、標準的な表示方法です。裁判所名、年月日、裁判形式(裁判の種類)の表記方法と順序に留意しましょう。
括弧書き、あるいは・(ナカグロ、ナカテン)で繋ぐなどの形で、当該判例の出典が表示されていることがあります。複数の登載誌が併記されていることもあります。多くの場合、判例集の名称は、略称で表示されています(次の2.5. 登載誌名の略称参照)
より簡略な表示方法が用いられる場合もあります。
大阪地判平7・10・17(行集46巻10=11号942頁)
東京高決昭45・4・13高民集23−2−172
仙台高秋田支判昭57・7・23判タ487−113
最大判平元・3・8民集43巻2号89頁
最1小判昭60年11月21日(判時1177号3頁)
最1判昭60・11・21判時1177−3
最判昭50・11・28民集29・10・1698
最後の例のように、最高裁の場合、大法廷の判決・決定のみ「大」を入れて「最大判」「最大決」とし、小法廷の判決・決定については法廷名を表示せずにすべて「最判」「最決」とする方式も、しばしば用いられます。
前述のように、1つの判決が複数の判例集に登載されている場合は少なくありません。例えば『判例百選』を見てみると、出典として複数の判例集が示されていることが多く、公式判例集と判例雑誌の双方が示されている場合もしばしばあります。
「論文において出典を示すときには公式判例集の方がよい」というのは、1つのポリシーでしょう。少なくとも、民集・刑集に登載されている判例については、出典として民集・刑集を表示するのが一般的です。
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2.5. 登載誌名の略称

判例集を含む逐次刊行物の名称は、ほとんどの場合、略称で表記されています。略称から正式名称を知るためには、それぞれの文献に凡例として記されている略語表を参照するか、あるいは一般的には、『法律時報』の毎年1月号に掲載される「文献略語表」を参照することになります。
その他、たいていの基本書の巻頭や『判例百選』の巻末などにも、略語表が掲載されています。また、[01][02a]の巻末にも略語表が収録されています。
なお、主要な判例集と法律雑誌の略称のリストとして、インターネット上にも、
[48]http://www.law.kobe-u.ac.jp/citation/04.htm
   (研究・学習資源「法律文献等の出典の表示方法」:神戸大学大学院法学研究科・法学部
[49]http://www.gakushuin.ac.jp/univ/le-lib/search/abbreviation.html#precedent
   (文献略語表/判例集の略語:学習院大学法学部・経済学部図書センター
[50]http://www.lib.fukushima-u.ac.jp/hanrei/hanrei.html
   (日本の判例集・法律文献略語一覧:福島大学附属図書館
などがあります。[48]は、[01]の巻末に掲載されているものと同じです(なお、[49][50]の配架場所・請求記号は、あくまで学習院大学と福島大学のものです)
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2.6. 事件番号

同じ日に、同じ裁判所(あるいは、最高裁の同じ小法廷)が、複数の判決を下すことは珍しくありませんし、類似の事案について、同日に判決が下されることもあります。
したがって、裁判所(法廷)名と判決年月日しかチェックしていなかった場合、自分の探しているのがどちらの判決なのか分からなくなってしまうおそれがあります。
判例をよく見ると、「昭和59年(行ツ)第46号」とか、「平成元年(し)第123号」というような、固有の番号が付されています。これを、一般に、「事件番号」と呼びます。この事件番号(事件記録符号)によって個々の事件が特定されるのです。
事件番号のしくみについては、[01]の165頁〜167頁や[02a]の155頁〜159頁のほか、『判例百選』『重要判例解説』『判例年報』『判例回顧と展望』などの巻末に、その一覧表が掲載されています。
[51]http://homepage2.nifty.com/okada_yoshihiro/fugo.htm
    (事件番号記号一覧:おかだよしひろ熱烈判例Fun
で見ることもできます。また、裁判所によるものとして、
[52]http://www.courts.go.jp/picture/hanrei_help.html
    (各判例集について:裁判所
にも解説があります。



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