法令関連情報とその調査
「ストーカー規制法」について知りたいのだが、
新しい法律についての解説は、どこに掲載されているのか?
〈目 次〉
0 はじめに
0.1. 参考文献
1 注釈・法令解説
1.1. 現行法の注釈
1.2. 新法の解説
2 制定過程
2.1. 法令一般
2.2. 日本国憲法の制定過程
3 実務・実態
3.1. 実務・実態の調査
4 新聞記事
4.1. 新聞記事の検索
5 政府情報
5.1. 首相官邸・中央省庁
5.2. そのほかの国の機関など
0.はじめに
0.1. 参考文献
[01] 弥永真生『法律学習マニュアル』〔第2版補訂版〕
(有斐閣・2007年)141頁以下
[02] 西野喜一『法律文献学入門』
(成文堂・2002年)36頁以下
[03]大村敦志=道垣内弘人=森田宏樹=山本敬三『民法研究ハンドブック』
(有斐閣・2000年)212頁以下
1. 注釈・法令解説
1.1. 現行法の注釈
現行の法令について解説・検討した文献は、その法令の名称をキーワードとして、OPACで図書を検索したり、電子媒体で雑誌記事を検索することでも発見できます。
しかし、主要な法令については、注釈書(註釈書)あるいはコンメンタールと呼ばれる書籍があります。それぞれ、その法令の個々の条文について、詳しい解説を行っています。これを見ることによって、その条文に関する問題点、判例・学説などを知ることができます。
注釈書は、タイトルに、「注釈」「注解」「条解」「逐条」「コンメンタール」などの語が用いられていることが多く、図書館の書架で比較的容易に発見できるでしょう。また、各法分野の概説書・体系書(いわゆる教科書)の巻頭または巻末には基本文献リストまたは文献略語表があり、そこに当該分野の注釈書がまとめて掲げられていることがあります。[★]憲法の注釈書
また、「法学セミナー」の別冊として、憲法および主要法律の注釈がシリーズで刊行されています。[★]
[04]別冊法学セミナー「基本法コンメンタール」シリーズ
(日本評論社)
なお、注釈書ではありませんが、憲法および主要法律の重要論点について解説するものとして、
[05]ジュリスト増刊「法律学の争点」シリーズ
(有斐閣)
があります。『憲法の争点』『民法の争点』『刑法の争点』などのタイトルで知られています。[★]
1.2. 新法の解説
冒頭の設例のように、新しくできた法律(まだ教科書や学生向けの文献などには解説が載っていないと思われるもの)について、どのようにして解説を入手するかも重要な問題でしょう。これも、特定の新法令についての解説を探すなら、その法令の名称をキーワードとして、書籍または雑誌記事を検索することでも発見できます。しかし、新法令一般についてチェックするのであれば、次のものが便利です。
[05a]http://opac.lib.ryukoku.ac.jp/db/db.cgi
(新法・改正法解説記事書誌情報検索 R-LINE:龍谷大学図書館)
R-LINE(Ryukoku Legislative Information and NEws)は、 主要法律雑誌に掲載された「立法担当者や関連審議会・研究会等の委員が執筆した、新法・改正法の解説記事に関する書誌データを集めたもの」です。
今のところ、直近の国会で成立したものしか収録されていませんが、データの遡及入力行われるとのことで、大変便利なデータベースとなるでしょう。
これ以外の既存の調査方法として、以下のようなものがあります。
[06]『法令解説資料総覧』
(第一法規出版・月刊)
は、新しく制定されたり、改廃されたりした法令の解説と関連資料を掲載するものです。また、国会審議の過程を、法律速報として掲載しています。地方公共団体の条例についての情報も掲載されています。
[07]『時の法令』
(朝陽会・月2回刊)
は、毎号とも数頁を割いて新しい法令を解説しています。法令ニュース紹介コーナーでは、官報の情報をもとに、新法令の標題を管轄の省庁別に整理して掲載しています。2006年4月から、発行元が変わりました(以前は、財務省印刷局→ 国立印刷局)。
現在は、『時の法令』の記事をインターネット上で検索できます。
[08]http://garyusha.com/modules/bulletin/
(時の法令検索サイト:雅粒社)
これらによって、法令の制定・改廃などの情報と解説を見ることができます。
この他に、法律雑誌には、法令の制定・改廃について速報・解説するコーナーを設けているものがあります。以下の法律雑誌に新しい法令の解説が掲載されています。
[09]『ジュリスト』(「新法令」・「廃止法令」)
(有斐閣・月2回刊)
は、新法令の解説を、『六法全書』に準じた順序で掲載しています。また、新たに廃止された法令の失効日と典拠法令のリストも掲載しています。
また、『ジュリスト』では、「特集」として、各国会での主要成立法律の解説を掲載しています。 例えば、
[★]檜垣重臣「ストーカー行為等の規制等に関する法律について(特集・第147回国会主要成立法律)」
ジュリスト1185号(2000年)49〜53頁
有斐閣のサイトで『ジュリスト』の記事を検索することができます。
[09a]http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/jurist05.html
(ジュリスト検索:有斐閣)
なお、「ストーカー規制法」をキーワードとして[09a]や「MAGAZINEPLUS」で検索しても、[★]の論文はヒットしません。文献の標題が法律の通称名で表記されている場合と正式名で表記されている場合とがあることに留意が必要です(この例の場合、「MAGAZINEPLUS」では「ストーカー」and「法」で検索していますが、[09a]では「ストーカー」and「法」とするとヒットしません)。
[10]『法律時報』(「新法令解説」など)
(日本評論社・月刊)
は、内閣法制次長(内閣法制局のナンバー2)が編集しています。新たに公布された法律・政令・条約・省令・規則を収録し、主要なものには解説をつけています。毎号10頁程度の分量があります。管轄の省庁別に整理して掲載しています。
[11]『法学セミナー』(「最新立法インフォメーション」)
(日本評論社・月刊)
主要な法律については、制定・改正に際して、他にも種々のかたちで情報が提供されます。
第1に、上記の[09]〜[11]や、『法学教室』『法律のひろば』などの法律雑誌では、主要法律の制定・改正について特集が組まれたり、立法関係者や研究者による座談会が掲載されたりすることがあります。
第2に、「有斐閣リブレ」というブック・レット形式の小冊子のシリーズで、『わかりやすい○○法』などといったタイトルの解説書が刊行されることがあります。「Q&A方式を採用するなどして、できるだけ親しみやすい形」が目指されています。類似のものとして、弘文堂の『解説○○法』という一連の書籍があります。
例えば、
[★]大谷実監修『わかりやすいストーカー規制法』(有斐閣・2002年)
[★] 神前禎『解説 法の適用に関する通則法−新しい国際私法』(弘文堂・2006年)
なお、インターネット上の情報としては、
[11c]http://www.e-hoki.com/law/ind/index.html
(法令インデックス:e-hoki)
[11d]http://www.e-hoki.com/law/digest/index.html
(法令ダイジェスト:e-hoki)
[11e]http://www.e-hoki.com/law/diet/index.html
(法案の解説と国会審議:e-hoki)
があります。
2. 制定過程
2.1. 法令一般
沿革(法律制定の経緯など)の調査、とりわけそこでの立法者意思の探究の意義については、[01]の141-142頁を御参照ください。立法の背景、制定過程での議論、国会での審議内容などの調査については、[01]の143-145頁に概説があります。
立法過程の情報を調査するのは、現在審議中の法案そのものの情報だけでなく、立案の趣旨や理由など、立法者意思を推測させる情報を知るためでもありえます。しかし、日本では、いわゆる立法者意思は法案においてはほとんど示されず、具体的な趣旨や解釈は、法案作成やその準備に関わった行政機関の審議会や研究会の報告書等のかたちで公開されるか、または、立案に関わった関係者が当該法律の解説の中で「立法者意思」として述べるのが一般的でしょう(インターネットで調査できるのは、行政機関における検討過程の情報と、国会の会議録が中心です)。
法律案の審議・成立状況については、該当する回次(会期)が分かれば、
[11f]http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
(議案:衆議院)
で、法律案等の審議経過と国会に提出された法案の条文を見ることができます。
政府提出の法律案・条約については、
[11g]http://www.clb.go.jp/contents/
(最近の法律・条約(件名):内閣法制局)
[11h]http://www.e-gov.go.jp/link/bill.html
(国会提出法案:電子政府の総合窓口)
でも調査できます。
国会での審議内容については、
[11i]http://kokkai.ndl.go.jp/
(国会会議録検索システム:国立国会図書館)
で検索できます。審議の経過を辿ることにより、「立法者意思」を示唆する補助的情報を得たり、修正や附帯決議の経緯などを知ることができるとされます。
[11j]http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_housei.htm
(制定法律:衆議院)
可決・成立した法律の内容を見ることができます。[11j]では、一部改正法律なども、改正対象の法律に溶け込む前の「改め文」の状態で掲載されています。また、上述の[11e]のほか、
[11k]http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_f08_01.htm
(立法と調査:参議院)
などもあります。
[11 l]http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/
(日本法令索引:国立国会図書館)
によれば、現行法令だけでなく廃止法令も含めて、法令の制定・改廃の経過が調査できるほか、[11i]にリンクして、当該法令の審議状況も調査することができます。
2.2. 日本国憲法の制定過程
日本国憲法の制定過程については、数多くの資料・文献があります。代表的な書籍を列挙します。
[12]佐藤達夫『日本国憲法成立史 第1巻・第2巻』(有斐閣・1962/64年)
[13]佐藤達夫(佐藤功補訂)『日本国憲法成立史 第3巻・第4巻』(有斐閣・1994年)
[14]清水伸『逐条日本国憲法審議録 第1巻−第4巻』(有斐閣・1962/63年)
[15]高柳賢三=大友一郎=田中英夫『日本国憲法制定の過程』(有斐閣・1972年)
[16]田中英夫『憲法制定過程覚え書』(有斐閣・1979年)
[16a]芦部信喜ほか編『日本立法資料全集71/72/76 日本国憲法制定資料全集1-3』(信山社・1997/1998/2001年)
[16b]原秀成『日本国憲法制定の系譜1-3』(日本評論社・2004/2005/2006年)
なお、
[17]芦部信喜監修・野中俊彦ほか編『注釈憲法 第1巻』(有斐閣・2000年)35頁以下
[18]大石真『日本憲法史』〔第2版〕(有斐閣・2005年)389頁以下
に詳しい文献リストがあります。
3. 実務・実態
3.1. 実務・実態の調査
実務・実態についての情報の調査については、[01]の145-146頁、[03]の221-222頁などを御参照ください。
実務上の細かな論点について詳細に扱った書籍が、
[18a]きんざい
[18b]ぎょうせい
[18c]新日本法規出版
[18d]判例タイムズ社
[18e]民事法研究会
などから刊行されています。
なお、専門図書館に関する情報については、「法学文献と図書館の利用」の 5. 専門図書館 で論及しています。
4. 新聞記事
4.1. 新聞記事の検索
法律などの制定時の社会状況や背景事情などを、新聞記事によって知ることができるかもしれません。新聞記事の調査は、新法令に関してだけではなく、判例の調査に際しても、有用でありえます。
かつては、各新聞社が発行する縮刷版(1ヶ月分の新聞を縮小して電話帳くらいの大きさの冊子にしたもの)によって調査するのが一般的だったかもしれません。
現在は、電子媒体を用いて、新聞記事を簡単にキーワード検索することができます。検索サービスは有料で提供されていることが多いのですが、大学が契約して、学内からは学生も無料で使用できるようになっているところも増えているでしょう。→ 北星学園大学の場合〈学内限定〉
そのような環境にない場合でも、無料で新聞記事を検索できるサービスがあります。
[18f]http://www.47news.jp/
(47NEWS:全国新聞ネット)
は、「47都道府県52新聞社のニュースと共同通信の内外ニュースを束ねた総合サイト」です。過去2ヶ月分くらいの記事検索ができるようです。「MSN 毎日インタラクティブ」(毎日新聞社)に代わって2007年10月1日から提供されている[18g]は、過去1年以内の記事を検索する機能を有するようです。なお、[18g]も[18h]も、2008年3月末現在では、2007年8月下旬ころまでの記事を検索できるようです。
[18g]http://mainichi.jp/
(毎日jp - 毎日新聞のニュース・情報サイト)
[18h]http://sankei.jp.msn.com/
(MSN産経ニュース)
新聞記事データベースの検索は有料のものが多いのですが、かつて、「佐賀新聞記事データベース」は、1994年以降の記事を無料で検索できて便利でした。しかし、2004年4月15日から、アクセスには佐賀新聞1面に掲載されているIDとパスワードが必要となりました。これに代わるものとして、収録範囲は1997年以降でやや狭まりますが、「沖縄タイムス記事データベース検索・シーサーくん」がありました。佐賀新聞と同様に、共同通信社から配信されている全国ニュースの記事も検索できましたが、2006年12月1日から有料化されました。
朝日新聞社は、朝日新聞掲載記事の検索はすべて有料としていますが、「asahi.comのニュースとオリジナルコンテンツ」については、無料でバックナンバーを検索できます。
[18i]http://www.asahi.com/tool/sitesearch/
(サイト内検索:asahi.com(朝日新聞社))
このほか、制約は多いものの、無料で検索できるものがいくつか存在します。
[18j]http://www.yomiuri.co.jp/search/
(過去1週間分のヨミウリ・オンライン内の記事検索:YOMIURI ON-LINE(読売新聞社))
[18k]http://nikkei.goo.ne.jp/
(日経goo日経四紙新聞検索:日本経済新聞社 + NTT-X)
この[18k]では、日本経済新聞社発行の4紙(日本経済新聞(朝刊・夕刊)、日経産業新聞、日経流通新聞、日経金融新聞)の記事をキーワード検索することができます。検索結果の見出しまでを無料で閲覧できます。検索期間は過去1年間です。
5. 政府情報
5.1. 首相官邸・中央省庁
国の行政機関の情報は、首相官邸をはじめ、各省庁のサイトにおいて提供されています。
[26]http://www.kantei.go.jp/
(首相官邸)
では、首相・官房長官の記者会見・記者発表・談話や、政策会議・戦略本部の活動についての情報、官報・白書に関する情報、現在および歴代の首相・内閣についての情報などが提供されているほか、官公庁のサイトへのリンクや、
[27]http://www8.cao.go.jp/survey/index.html
(世論調査)
へのリンクがあります。
各省庁も、外局を含めて、サイトを開設しており、関係機関・関係団体のサイトへのリンクも整備されています。
省庁のサイトで公表される情報も、それぞれの所管に対応して縦割りになっており、所管の省庁が明らかである場合は、はじめから当該省庁のサイトを調査すれば足りますが、所管が不明の場合や、共管事項である場合などは、横断的な検索が必要になります。各省庁のサイトに掲載されている内容は、
[28]http://www.e-gov.go.jp/
(電子政府の総合窓口:総務省行政管理局)
において、横断的に検索できます。
[29]http://portal.stat.go.jp/Pubstat/top.html
(統計データ・ポータルサイト〜政府統計の総合窓口〜:総務省統計局)
では、「定型検索」や「フリーワード検索」により統計データを入手することができます。統計調査の名称や実施機関などがあいまいな場合には、フリーワード検索により検索できます。
行政機関のサイトで公開されていない資料等も含め、政府刊行物の検索ができる、
[30]http://www.gov-book.or.jp/asp/Book/BookList/
(書籍の検索・ご注文[政府刊行物関連書籍の詳細検索]:政府刊行物/官報/官報公告)
も有用でしょう。これらの書籍は一般的な書店では入手できず、また一般の書籍検索システムでは検索できないことも多いとされます。
5.2. そのほかの国の機関など
[31]http://www.courts.go.jp/
(裁判所)
では、司法統計その他の統計情報が公開されています。
[31a]http://www.courts.go.jp/saikosai/
(最高裁判所)
[31b]http://www.ip.courts.go.jp/
(知的財産高等裁判所)
もあります。
[32]http://www.jbaudit.go.jp/
(会計検査院)
[33]http://www.dangai.go.jp/
(裁判官弾劾裁判所)
[34]http://www.boj.or.jp/
(日本銀行)
などもサイトを開設しています。
なお、中央省庁、最高裁判所、衆参両院のサイトの新着・更新情報を提供するメールマガジンとして、「e-hokiマガジン[官公庁新着情報]」(申込:http://www.e-hoki.com/limm_web/index.html)があります。
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〈齊藤正彰@北星学園大学〉