齊 藤 正 彰 @北星学園大学


学術文献の探索について



   

0. みちすじ

学術文献の探索は、
(1)文献の存在の調査 から (2)文献の所在の調査 へ
という過程を経るのが通常でしょう。
つまり、「どんなものがあるか」が明らかになって後に「どこにあるか」が問題となるわけです。
そして、目的の文献が身近に存在しない場合には、
(3)文献の入手方法:「どうしたらよいか」
の問題となるでしょう。

以下では、これらのことを念頭に置きつつ、学術文献の探索の径を辿ってまいります(ただし、図書館等での情報収集については、「法学文献と図書館の利用」も御参照ください)。
なお、大学の図書館・図書室のサイトには、学術文献調査の手順あるいはヒント を紹介しているものが見られます。懇切で実践的な案内を提供するものが増えています。

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1. 文献の調べ方の調べ方

1.1. 一般

文献調査に関しては多くの手引書がありますが、
よく知られているものとして、とりあえず次の各書を挙げることができるでしょう。
[01]斉藤孝=佐野眞=甲斐静子『文献を探すための本』
    (日本エディタースクール出版部・1989年)
[02]池田祥子『文科系学生のための文献調査ガイド』
    (青弓社・1995年)
[03]情報アクセス研究会編著『現代人のための情報収集術』
    (青弓社・1995年)
[04]情報探索ガイドブック編集委員会編『情報探索ガイドブック』
    (勁草書房・1995年)
[05]藤田節子『自分でできる情報探索』
    (ちくま新書109・1997年)
また、
[06]斉藤孝=西岡達裕『学術論文の技法』〔新訂版〕
    (日本エディタースクール出版部・2005年)
も有用でしょう。なお、[06]の巻末には、
[07]大久保久雄「文献をさがすための文献一覧」
が収録されています。新しい情報は、
[08]深井人詩編『書誌年鑑』
    (日外アソシエーツ・年刊)
から得ることができます。
[09]TRC図書館流通センター『調査研究・参考図書目録1983-1998.6(上・下)』
    (図書館流通センター・1999年)
からも情報を得られるかもしれません。
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1.2. 法学文献の調査

まず、基本文献のリストとして、
[10a]http://homepage.mac.com/kazkinos/links_2-02a.html
    (法律学習法・法情報の探し方に関する基本文献案内:木下和朗先生
を御参照ください。
[10]五十嵐清「資料の蒐集と利用」
     広中俊雄=五十嵐清編『法律論文の考え方・書き方』
     (有斐閣・1997年[初版第16刷またはそれ以降])
は、法令・判例・文献の調査について、紙媒体に関する限りで、まとまった情報を提供しています。[10]は、版は改まっていませんが、情報の更新は行われていますので、利用の際は刷が新しいものかどうかを確認してください。
また、
[11]弥永真生「法律学のマニュアル」
     法学教室211号〜(1998年〜)
も大変参考になります。[11]の連載1〜5回目(211号-215号)が、「さがす」というテーマを扱っています。
現在は、
[12]弥永真生『法律学習マニュアル』〔第2版補訂版〕
     (有斐閣・2007年)
[12a] 西野喜一『法律文献学入門』
     (成文堂・2002年)
が法律を学ぶ学生にとって必携でしょう。[12]は[11]を1冊に「まとめたうえで、加筆したもの」です。[12]の筆者である弥永先生による、
[12b]http://www.geocities.co.jp/WallStreet/3007/bunken.html
    (コンピュータを活用した文献検索・情報入手:Law in the Digital Age

も必見です。
さらに、説明は刑事法についてが中心ですが、
[13]「第24章 資料・文献とその利用法」
      井田良『基礎から学ぶ刑事法』〔第3版〕
      (有斐閣アルマ・2005年)
は、「第一歩を踏み出す人のための親切なガイドマップ」として、「各種の文献や資料をなるべく時間と労力を使わずに活用するノウハウ」を提供しています。
同様に、
[14]「文献・情報へのアクセス」
      阿部浩己=今井直=藤本俊明『テキストブック国際人権法』〔第2版〕
      (日本評論社・2002年)
が国際人権法の調べ方を、手順を追って概説しています。
なお、[01]〜[06]や、[10]〜[12]などにおいて紹介されている情報については、このページでは重ねて紹介することを控えているものが多くありますので、御注意ください。
さらに、
[15]  法情報資料室 やさしい法律の調べ方☆ 

は「必見」と言われるものです。[15]の主宰者であるいしかわ氏を含む、法律文献に造詣の深いライブラリアンによって執筆された、
[15a] いしかわまりこ=村井のり子=藤井康子『リーガル・リサーチ』〔第3版〕
     (日本評論社・2008年)
も、座右に置くと便利でしょう。
大学院生においては、次の各書も必見でしょう。
[16]板寺一太郎『法学文献の調べ方』
    (東京大学出版会・1978年)
[16a]板寺一太郎『外国法文献の調べ方』
    (信山社・2002年)
[16b]北村一郎編『アクセスガイド外国法』
    (東京大学出版会・2004年)
[16c]指宿信=米丸恒治編『インターネット法情報ガイド』
    (日本評論社・2004年)
[17]田中英夫ほか『外国法の調べ方 −法令集・判例集を中心に−』
    (東京大学出版会・1974年)
[18]大村敦志=道垣内弘人=森田宏樹=山本敬三『民法研究ハンドブック』
     (有斐閣・2000年)
民法専攻ではない人にとっても、[18]は必読書でしょう。
さらに、
[19]田島裕『法律情報の検索と論文の書き方』
    (丸善・1998年)
[20]加賀山茂=松浦好治編『法情報学−ネットワーク時代の法学入門−』〔第2版補訂版〕
     (有斐閣・2006年)
もあります。
法学関係のレファレンス・ツールについても、[16]に詳細な紹介があるほか、[07]のリストにもいくつか掲載されています。くわえて、
[21]日米法学会編『英米法研究文献目録 1976-1995』
    (東京大学出版会・1998年)
があります。[21]は、
[22]日米法学会編『英米法研究文献目録 1867-1975』
    (東京大学出版会・1977年)
の続編です。また、
[23]日外アソシエーツ編『文献目録 憲法論の50年 1945〜1995』
    (日外アソシエーツ・1996年)
[23a]日外アソシエーツ編『文献目録 憲法論の10年 1996〜2005』
    (日外アソシエーツ・2006年)
もあります。ただし、[23][23a]を利用する際にはその載録範囲に留意しておく必要があるようです。

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1.3. 各国法文献の調べ方

前述の[16][16a][16b][16c][17][18]などのほか、
[24]M.L.コーエン=K.C.オルソン(山本信男訳)『入門アメリカ法の調べ方』
    (成文堂・1994年)
[25]社会主義法研究会編『ロシア法・ポーランド法・中国法の調べ方』
    (ナウカ・1997年)
[26]石川恒夫「ベルギーの法律文献について」
     北星学園大学経済学部北星論集21号(1983年)199頁以下
[27]グランヴィル・ウィリアムズ(庭山英雄ほか訳)『イギリス法入門』
    (日本評論社・1985年)
などがあります。[25]は、「社会主義法のうごき」の別冊です。
さらに、
[28]田中英夫編『BASIC英米法辞典』
    (東京大学出版会・1993年)
[28a]戒能通厚編『現代イギリス法事典』
    (新世社・2003年)
[29]伊藤正己=木下毅『アメリカ法入門』〔第4版〕
    (日本評論社・2008年)
[30]滝沢正『フランス法』〔第3版〕
    (三省堂・2008年)
などにも詳細な記述があります。
また、アメリカ法については、
[31]http://www.law.tohoku.ac.jp/~serizawa/internetkogi.html
    (アメリカ法の調べ方+インターネット上のLegal Research:芹澤英明先生
においても懇切な解説がなされています。
さらに、金沢大学法学部図書室によるものとして、金沢大学での調査を前提としたものではありますが、
[32]http://library.law.kanazawa-u.ac.jp/lib/AMERICA.html
    (アメリカ法)
[33]http://library.law.kanazawa-u.ac.jp/lib/ENGLAND.html
    (イギリス法)
[34]http://library.law.kanazawa-u.ac.jp/lib/Deutsch.html
    (ドイツ法)
[35]http://library.law.kanazawa-u.ac.jp/lib/FRANCE.html
    (フランス法)
において、各国法の法令・判例等の調査についての丁寧な説明がなされています。
同様に、東京大学法学部研究室図書室外国法令判例資料室(旧外国法文献センター)によるものとして、
[35a]http://www.j.u-tokyo.ac.jp/lib/gaise/how-to2.html#top-a
    (アメリカ法の調べ方)
[35b]http://www.j.u-tokyo.ac.jp/lib/gaise/how-to2.html#top-e
    (イギリス法の調べ方)
[35c]http://www.j.u-tokyo.ac.jp/lib/gaise/how-to2.html#top-f
    (フランス法の調べ方)
[35d]http://www.j.u-tokyo.ac.jp/lib/gaise/how-to2.html#top-d
    (ドイツ法の調べ方)
において、各国法の法令・判例等の調査についての丁寧な説明がなされています。
このほか、「外国法入門双書」シリーズ(有斐閣)の各書、
[36]松井茂記『アメリカ憲法入門』〔第6版〕
    (有斐閣・2008年)
[37]ハンス・ペーター・マルチュケ(村上淳一訳)『ドイツ法入門』〔改訂第7版〕
    (有斐閣・2008年)
[38]木間正道=鈴木賢=高見澤磨=宇田川幸則『現代中国法入門』〔第4版〕
    (有斐閣・2006年)
とともに、
[39]田島裕『イギリス法入門』
    (信山社・2001年)     
[39a]小森田秋夫編『現代ロシア法』
    (東京大学出版会・2003年)
には各国法の基本文献についての案内があります。
また、各国の議会資料・法令資料についての参考文献もあります。
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1.4. 欧語法学論文の検索

基本的な方法は[01]などにおいて解説されていますが、法学文献については、[12]の90頁以下を一読することをお勧めします。
さらに、[16]において、詳細な書誌情報が提供されています。
法学分野における海外の書誌には優れたものが数多く存在しています。
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2. 邦語法学論文の検索

2.1. 『雑誌記事索引』

学術論文、とりわけ逐次刊行物に掲載された論文(いわゆる雑誌論文など)を検索する基本的な方法は、[01][02][10][16][19]などにおいて解説されています。
しばしば雑誌記事に関する索引誌の筆頭に挙げられているのが、
[40]国立国会図書館『雑誌記事索引』
    (紀伊國屋書店・季刊)
です(略称「雑索(ザッサク)」)。
これには「累積索引版」もあります。人文・社会編の累積索引版は、5年分で1冊となっています。分野別に巻が分かれており、「法律・司法」の巻があります。
しかし、冊子体の「雑索」は、1995年で終刊となっています。これに代わるものとして、いくつかの形態の電子媒体が提供されてきました。結局のところ、現在では、次の2つが重要でしょう。
[43]「雑誌記事索引/NDL-OPAC」
[44]「NICHIGAI/WEBサービス MAGAZINEPLUS」
前者の[43]は、1948年以降(1948年〜1974年は人文・社会系のみ)に国立国会図書館が作成した雑誌記事のデータベースをインターネット上で検索できるサービスです。国内刊行の学術雑誌を中心とした約10,000誌を載録対象としています。更新頻度は、週次となっています。
なお、雑誌記事索引の成り立ちや、載録対象誌、載録対象の変遷、記事採録基準などについて、
[44a]http://www.ndl.go.jp/jp/data/sakuin/sakuin_select.html
    (雑誌記事索引について:国立国会図書館
を御参照ください。雑誌ごとに載録期間が異なることに注意が必要です。たとえば、『法学教室』(有斐閣)は、1996年の192号以降しか載録されていません。
ただし、[43]は、その載録範囲に注意する必要があります。 「雑誌記事索引」という名称の通り、還暦、古稀、退官などの記念論文集や、全集・シリーズものの書籍に収録されている論文は対象外です。これらの論文集などに収録された論文の一部は、
[44b]「一般資料の検索/NDL-OPAC」
によって検索できる場合があります。論文集などの内容細目として個々の収録論文の情報が載録されていれば、検索されるようです(たとえば、「著者・編者」のボックスに論文執筆者名を入力して検索するとヒットします)
[44]は、[43]の内容に加えて、論文集に掲載された論文も載録しています(ただし、載録の範囲は限定的)。[44]を、学内LANに接続されたコンピュータで利用できる大学が増えているようです。
なお、[43][44]に収録されているのは法学論文に限られませんから、場合によっては、他分野の無関係な論文が多数検索されてしまう可能性があります。
短期大学の紀要は、かつては雑誌記事索引の載録対象となっていませんでしたが、2000年4月に採録対象誌を増やした際、「大学紀要を中心とした採録から、高等教育研究機関すべての紀要、また、学科・専攻・研究所紀要も含めた網羅的採録」に変わり、「大学院・大学・短期大学・高等専門学校と関連研究機関発行の紀要類」が採録されることとなりました。
大学と短期大学の紀要に掲載された論文は、
[45]http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/CiNiiTop
    (Nii 論文情報ナビゲータ CiNii:Nii 国立情報学研究所
でも検索することができます。[45]には、「研究紀要目次速報データベース」(国内の大学等が刊行する研究紀要に掲載された記事情報を収録したデータベース)が含まれています。収録情報は、各大学の共同入力であるため、本文があるもの/外部リンク(本文がある場合があり)があるもの/抄録があるもの/書誌情報のみのものなど、差があります。収録期間も異なります。[45]では、「研究紀要目次速報データベース」と国立国会図書館の雑誌記事索引とを横断的に検索できます。[45]の個人向けサービスは有料ですが、所属大学が機関定額制サービスに参加していれば、無料で利用できる場合があります。
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2.2. 法学関係の索引誌

論文検索ができる法学関係の索引誌としては、
[46]国立国会図書館監修『法律判例文献情報』
    (第一法規・月刊)
[47]最高裁判所図書館編『最高裁判所図書館邦文法律雑誌記事索引』
    (最高裁判所図書館・年刊)
[48]法務図書館編『法律関係雑誌記事索引』
    (法務図書館・2003年刊行中止)
などが挙げられます。現在、[46]〜[48]の全部または一部については、電子媒体による情報提供がなされています。[47a][48a]は、自由に利用できます。
[46a]https://www.d1-law.com/d1w2_portal/product_bunken.html
    (法律判例文献情報:D1-Law.com 第一法規法情報総合データベース
[47a]http://www.opac8.com/user/courts/court.html
    (最高裁判所図書館 蔵書検索システム:最高裁判所図書館
[48a]http://moj.opac.jp/
    (法務図書館 検索ページ(蔵書・法律雑誌記事索引):法務省
2006年に登場した[47a][48a]については、ブログ上に紹介があります。
[47b]http://imak.exblog.jp/3972756
    (最高裁図書館 蔵書検索 2006-07-18 23:39:Dr. Ibusukiのブロッグ
[48b]http://lawlibrary.blog28.fc2.com/blog-entry-181.html
    (法務図書館 検索ページ (蔵書・法律雑誌記事索引)2006/10/06(金) :ローのライブラリアン
この[47a][48a]は、戦前の文献もヒットするようですが、法律文献を広汎に収集しているとはいえ図書館の蔵書検索システムですから、最近の文献であっても網羅的に検索できるわけではありません。
また、[47a]も[48a]も、論文(雑誌論文だけでなく論文集に収録された論文も)の検索ができますが、[47a]については、「平成17年1月以降出版された和図書及び和雑誌に限り,各資料の目次から参考になる法律記事等を網羅的に採録し,「内容細目」にデータ入力しています」とされており、「単語,条文,事件番号等で資料検索をする場合は,フリーワード検索にてご利用ください」とのことです。つまり、「詳細検索」で著者名を入力しても、論文はヒットしません。「内容細目」は、題名と著者名が記載されている場合と、著者名しか記載されていない場合とがあります。


電子媒体図  書論文集の論文雑誌論文判例評釈更新頻度学外利用監修・編集
最高裁図書館OPAC最高裁判所図書館
法務図書館OPAC雑索法務省(大臣官房司法法制部)
  ※: 2005.1以降の文献のみ

*最高裁図書館検索:2006.12.15現在では12月1日刊の文献が最新
*法務図書館検索 :2006.12.15現在では10月刊の文献が最新

なお、索引誌について詳しくは、[15]の中の「索引誌による法情報検索」を御参照ください。
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〈つづく〉


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