散歩で見付けた変な街並

 食料の調達のために、賓館から歩いて10分以内のダイエー南山店に行く。ダイエーに行く途中にバスターミナルがあり、そこは変形のロータリーになっている。そのロータリーから見える街並みは、一見して雰囲気が違っている。外から見る限り、北欧風ともいえるような三角屋根の家々が続いている。
 ある日、散歩の道すがら、その住宅街に入ってみた。

                      

 その名を南山旅遊風情街(南山観光風情街)という。手前が一条街、その奥に二条街が続いている。この一角は自動車はシャットアウト。つまり、この街に入ってきたら自動車の往来を気にすることなくゆったりと歩くことができる(これがいかに心安らぐことか、体験者にしかわからない)。
『高級住宅街だな。』

 街灯に小さな幟が付いていて、街の名前とともに「新型集団」の名前が見える。開発業者だろう。
 街の一角にあった立て札には、2000年9月に完成したことが記されている。1年半前である。
『さぞ金持ちが入居してるんだろうな。』

 しかし、どうも様子がおかしい。生活音がまったく聞こえないのである。所々に日本語が書かれたお店(スナックかバーだろう)があり、インターネットカフェもあるのだが、人の様子はない(もっともお昼なので飲み屋は開いてない)。一条街と二条街の間に超市、つまりスーパーマーケットもあり、ちょっと覗くと中に人の気配はある。しかしそれは客ではなく店員で、手持ちぶさたにこちらを見返してきた。

 そうなのだ。ここには、まだ誰も住んではいなかったのであった。その光景は、ゴーストタウンを思わせるものだった。

 街を一条街から二条街に進むに従って、なおさら異様な光景に遭遇した。
 それは、家の前庭に、いかにも日本人らしい、着物を来た人形や童子の置物が置いてあったのである。高さ1メートルもあるだろうか。決して小さくはない。しかもそれは一個や二個ではない。いたるところにあるといった感じだ。
 人っ子一人いない街で、そんな置物が微笑している風景ほど怖いものはない。
『やばいよ、これ。』





 一条街と二条街の中間に、江沢民国家主席の署名入りのモニュメントがあるが、その前にも、人形がある。これじゃ国家主席がかわいそうだ。

 ここにどんな人が住むのだろうか。
 ターゲットは中国人なのか日本人なのか。
 もし、新型集団の総経理(社長)が日本人に買ってほしいと願っているのなら、早々に人形を撤去すべきだろう(余計なお世話だけど・・・)。

 しかし、散歩コースとしては申し分ない。当地にいる間に、入居者があれば、どんな人なのか是非見てみたいものだ。[5/Mar/2002] 

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