熊猫と虎−大連森林動物園と老虎灘

 やや肌寒いある日曜日、3年生のKさん、Eさんと連れだって、動物園にいった。
 大連森林動物園は、大外近くのバス停(23路バスに乗るターミナルではない)から526路バスに乗っていく。このバスはマイクロバスで2元。
 「動物園までは40分ぐらいかかります。寝ていってもいいですよ」といわれて、『結構かかるな』と思いながら、車窓風景を眺めていると、アッという間に動物園到着。所要時間15分。
 Kさんも驚いた様子で、運転手に確認していたが、そこが終点、森林動物園だった。

 入場料は大人60元。二人は学生証を持参して30元。
 動物園はとても広かった。広さのわりには動物はあまりいないように感じられる。いや、ずいぶんいたのだろうが、あまりに園内が広すぎる。
 Kさんによれば、第1動物園と第2動物園があるらしく、バスから降りて最初に見たところが第1動物園。


やっぱりかわいい

 小生のお目当ては熊猫(xiong2mao1)。つまりパンダ(猫熊とも表現するらしい)。
 パンダ舎には一頭のパンダがお昼寝中。
 大きさから見てジャイアントパンダではないようだ。でも初めて見るとさすがにかわいいと思ってしまう。中国人観光客も集まってみていたが、日本ほど大騒ぎしないところが中国らしい。
 また、中国にしかいない金絲猴(jin1si1hou3)もいた。日本ではキンシコウといわれる猿だ。これはさすがに気高い感じ。
 さらに、中国にしかいない四不像(si4bu4xiang4)にも初対面。
 「この動物は4種類の動物、シカとかウシに似ているようで、似ていないという動物です。」
 「?」
 あとで調べてみると、角はシカにようで、しっぽはロバのようで、ひづめはウシのようで、首はラクダのようだが、そのいずれでもないことから四不像という名前が付いたらしい。2頭いたうち、1頭にはたしかに角があった。


金絲猴

四不像

 昼食後、第2動物園に行くことになった。
 第2動物園にはバスかケーブルカーかで行くことになる。その運賃は最初に支払ったチケット代に含まれている。
 「バスにしようよ」と小生。
 「ケーブルカーがいいな」と学生。
 「でも、ボクはちょっと高いところが苦手なんだ。」
 この言葉を、小生の冗談だと思ったらしい。


こんなのに乗ったなんて信じられない・・・

 「先生、景色がいいよ。ぜったいケーブルカーですね。」
 見上げれば、小高い丘を登っていくケーブルカーで、少々不安があったが、『あそこまでなら何とかなるか』と意を決して一緒に乗ることにした。
 「3人一緒に乗れるよね」との言葉むなしく、2人乗り。狭い。それでいて窓は大きく付けられている。
 小生にはKさんが付いてくれた。
 小生、恥ずかしながらずっと目を閉じ、下を向きっぱなし。
 「先生、景色がきれいですよ」と、時々Kさんは声をかけてくる。まだ小生が高所恐怖症であることを信じていない。
 「もうすぐ着きます。」
 『やれやれ』と思ったのもつかの間、小生をさらに混乱させる事態が発生した。
 「先生、ここはおりばではありませんでした。今度は下りていきます。」
 「な、な、な、何だって!」
 このケーブルカー。途中の山頂を経由して下るという、一山超えるルートだったのであった。
 下りは下りで恐ろしく長く感じた。
 「先生、棒垂島(ぼうすいとう)が見えます。」
 棒垂島(本当は木ヘンの付いた「垂」)というのは、風光明媚な場所にある島で、中国政府要人が避暑に訪れるということを読んだことがある。しかし、どう考えても位置的に見えるはずはない。Kさんはまだ信じていなかったのであった。
 やっとのことで下車。下車後、Kさんは、「本当に高いところがダメだとは思わなかった」と大いに謝ってくれたがあとの祭り。小生の足はガタついていた。

 第2動物園は、熱帯雨林館やバスに乗って動物を見て回るサファリパークのような施設など、ここはここで楽しめた。どうやら、こちらは新しい施設のようだった。


熱帯雨林館はドーム型

いうまでもなくサボテン

いうまでもなく滝

 まずは熱帯雨林館。サボテンを代表とする熱帯地方の木々や植物が植えられている。かつてアバディーンで訪れたダッシーパークの植物園のような感じ(やはり寒い地方の人々は暖かい地方にあこがれるもんだ)。
 外が寒かったので、しばしここで暖をとる。


こんなバスで行く

 次はサファリパーク。ここは、ガイドが付いて30分ぐらいの見学。もちろん小生は学生の通訳付き。
 ライオンがエサの鶏肉をむしゃぶりついている様子や、東北虎の群が間近に見える。動物たちは、場所ごとに区分けされて生息しているようで、1種類の動物を見て次の動物を見るときには、バスは閉ざされていたゲートで停車し、ゲートが緩やかに開いてから先に進む。
 第2動物園の出入口を出たのが3時過ぎだった。そこでちょっと休んで老虎灘に行くことにした。

 第2動物園の入り口から老虎灘までは、直通のバスはない。
 客待ちしていたタクシーで金額を聞くと20元ぐらいだというのでタクシーを利用。タクシーには濱海路を通ってもらった。
 老虎灘までは30qぐらいだとのことで、老虎灘に着いてみると18元だった。
 もともとの地名だったのかもしれないが、なぜここに虎の石像があるのかわからない。しかし現在では、一大リゾートになっているようで、虎灘楽園などという海水動物と親しむ施設も併設されている(オープンはゴールデンウィークからとのこと)。
 ここにも結婚したカップルが沢山いて、学生たちはうらやましげに見ていた(ように見えた)。
 ここで小生、意地悪な質問。
 「中国にもできちゃった結婚ってあるの?」
 「木村拓哉ですね。」
 「・・・・・・・!」
 学生によれば「あります」とのことだった。しかし、入籍を済ませても一緒に住むことはもってのほかで、ちゃんと結婚式を挙げなければ一緒に住めないとのこと。ましてできちゃった結婚などサイテーなんだそうだ。やっぱり日本より相当厳しいようだ。それでいて、若いカップルが人前でいちゃついている姿(熱烈恋愛)は、日本よりはるかに多いから不思議だ。


オブジェとしてはすごい

免費景点:景色は無料です。

 老虎灘付近をブラブラしながらバスターミナルへ。晴れ間が急速に広がっていたが、さすがに風は冷たい。二人とも薄着をしてきていたので、かなり寒いようだった(後日談:次の週の授業に出席した一人の学生は、しっかり風邪を引いていた)。[7/May/2002]

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