まずはインターネット環境

 最近の小生にとってインターネットは日常生活の中でなくてはならないものになった。インターネットを使って検索をしてホームページを閲覧し、多くの情報を手に入れることができた。また、電子メールによる情報交換もインターネットのなせるワザである。スコットランドに滞在していたときには、ホームページの閲覧も電子メールもフルに活用したことを思い出す。
 そんな小生が大連に来ることが決まって、最初にチェックしたのは、やはりインターネット環境についてであった。

 数年前に赴任されたS先生から、当時、プロバイダと契約してインターネットにつないで利用したこと、街中にインターネットカフェがあること、いずれにしても日本よりかなり安く利用できることなどの情報は得ていた。しかもモデムもパソコン内蔵のものが使えることも聞いていたし、電話のモジュラージャックは日本とまったく同じなので、日本の電話コードを持っていけば事足りると聞いて、内心、驚いたものである。

 しかし、さらに驚くべき事実があった。

 ホームページで大連のことを検索していたとき、2001年春から大連のある大学に留学しており、しかも実際にいろいろなインターネット接続を試して、その結果をHPで紹介している学生さんのページを発見したのである。
 そこには、インターネットカードなるものが紹介されていた。それによれば、大連では(というより中国ではといえるだろう)、インターネットカードを利用してインターネットに接続することが一般的であり、そのカードも、日本からすれば格安で入手できるということだった。また、そのカードは数社から出ており、使い勝手の良さ、1分あたりの接続料、設定の仕方まで紹介されていたのである。

 さて、小生が滞在している大外賓館(専家楼)は、ホテルであって、ゼロ発信である。つまり内線電話である。S先生は、パルス信号の電話で、どういう理由かはわからないが、時々インターネットに接続できないこともあったと教えてくれた。
 小生が持参したパソコンはSONY VAIO(PCG-C1S/BW)であった。
 マニュアルを読めば、このパソコンに内蔵のモデムは、一般回線を使った接続はできるが内線電話からは接続できない旨書いてあった。パルス信号の内線電話は研究室の電話と同じである。そこで研究室から、試しに、内線電話を使ってつないでみたが、やはりつながらなかった。通常はLANでインターネットに接続していたので、VAIOでつなぐのはそれが初めてだった。しかもその実験をしたのは出発の4日前だったのでかなり焦りを感じた。。
 そこで、かねてスコットランドに持参したTDKのカードモデム(Global Freedom 5660-V90)を使ってつないでみた。今度はうまくいった。
『ということは、やはりVAIOに内蔵のモデムではダメで、TDKのモデムを持っていかなければならないのか。』
 しかし、現在、このモデムは家族が使っているものであり、これがないと家族が困ることになる。
『もう一つ買うしかないか・・・。』

 もちろん、TDKのモデムをもう一つ買う必要はない。日本で使うためには日本でだけ使えるカードモデム(というより最低限度の仕様のモデム)があればいい。これは6,000円程度で買える。そこで、ヨドバシカメラに直行。なにしろ時間はないのだ。
 ヨドバシカメラで、一番安ーいモデムを探していたところ、目に飛び込んできたカードがあった。
 「日・中・台・韓で動作保証!」
 どひゃーっ、てなものである。
 TDKのモデムは、実は中国での動作は保証していない。それが目の前に中国での動作を保証するカードがある。
 これは、CyQ've(サイキューブ)という会社のカードモデムだった(56K MULTI NATIONAL FMC-561)。しかも価格は、小生が考えていた金額とほぼ変わらない。
 「これに決めた!」
 早速購入して、研究室に戻った。

 ところが、である。このカードでも内線電話からインターネットに接続できなかった。ダイヤル音が聞こえないのである。
 『やっぱりTDKを持っていくしかないか、TDKは高いだけあるよな。』(ちなみに、TDKのカードはCyQ've(サイキューブ)の2倍以上の値段)
 などと思いながら、今度はLANに接続しているパソコンで、何とか方法はないものかと検索していると、なんとTDKのモデムのFAQのページに出くわした。そこには、内線電話からつながらないときには、詳細設定の項で「X25」を打ち込んでくださいと説明されていたのである。
 『TDKではつながったんだけどな。でも試しにやってみるか。』
 と思いながら、CyQ've(サイキューブ)のモデムを入れて、詳細設定で「X25」を打ち込む。そしてコネクト・・・・・。おおっ、ちゃんとダイヤル音が聞こえるではないか!
 『やったー、これで大連でも快適インターネットライフが楽しめるぅ。』

 さて、閑話休題(といいながら、どこからどこまでが脇道だったのかわからない・・・)。

 賓館に到着した翌日、早速インターネットに接続することにした。前に紹介した学生さんのページでは、場合によってはカード不要の接続も可能と記載されていたので、カードを買う前に、カード不要の接続を試みようとした、が、さらに驚くべき事実があった(って、「世界まる見え」のフレーズそっくり)。
 ナント、小生が入った部屋の電話は、モジュラー式ではなかったのである。

  これは万事休すである。モジュラー式でなければ、どうにも電話回線とパソコンをつなぐことはできない。モデム云々の話ではない。
  困り果てていると、日本語学院の蔡院長から電話。
 「何かお困りのことはありませんか?」
  渡りに船とはこのこと。グッドタイミング。
 「実はかくかくしかじか・・・」
 「もしよろしければ学院のコンピュータを使ったらいかがですか。お金もかかりませんし。でもちょっと待ってください。聞いてみます。」
  数分後に再び電話。
 「今、係りの者が部品を交換に行きます。」
  電話を置いてすぐに、「係りの者」が来て、モジュラー式に代えていった(あまりのうれしさにMild Seven Lightsを一個渡した)。この接続、確かにモジュラージャックが付いているので問題ないが、電話は依然としてダイレクトに回線につながっていた。


箱の下にジャックがある。下に延びている線の先は電話機

 その後、接続のための設定を開始。「新しい接続」のウィザードどおりに設定する。ここでは8163という接続を使う。
 8163は、ユーザーネームも暗証番号も8163で、電話番号も8163。まったく簡単。
 内線だからゼロ発信の設定。たぶん内線だからパルスだろうと思いながら、念のため電話機の設定を見ると、トーン。内線でありながらピポパッだった。
 ものの1分ぐらいで終了。ここでも試しに「X25」は打ち込まない(ダメならあとでやるつもりだった)。
 すると、あっという間にネットにつながってしまったのである。メールも無事ダウンロードできたし、日本のホームページも閲覧できた。しかも、本当かどうかわからないが、115.2Kbpsの速さで接続していると表示されている。
 『へー、すごいもんだな。』

 日本では、こういった8163なるものもないし、インターネットカードなるものもないハズだ。何はともあれ、到着の翌日の午前中にインターネット環境を整えることができたのは中国電信のおかげだ。謝謝中国電信。この点では、絶対に日本より進んでいる。

 後日、大外の漢学院に留学しているI君に確認したところ、学生寮からはインターネットカードが必要で(200カードという)、それと8163を組み合わせてつないでいるとのことだった。200カードは、インターネットカードだが、普通の電話カード(テレホンカード)としても使えるようで、学生寮では、インターネットをするしないに関わらず、自分の部屋から電話回線を使うときには、そのプリペイドカードをあらかじめ購入し、購入金額に見合う分だけ通話ができ、残額がなくなればさらに購入するという方法を採っているようだった。200カードを買って電話ができ、さらにネットにつなげるために8163を使う。ということは、8163はプロバイダの役目を持っている電話番号ということができるのかしらん、などと思う(しかし、アドレスは自分で用意しなければならない)。

 というわけで、うれしさのあまり、その日のうちに、日本の皆さんに「元気にやっている」というメールを送った次第(今思えば変な話。まだ滞在24時間も経過してなかったのに・・・)。

付記:2月分の電話費(当地ではこう表現するようだ)の内訳に、網費(インターネット接続料。本当は日本にはない簡体字で表現)がしっかりと計上されていた。ただし、2日間だけなので高いか安いかは、まだ実感できない。[3/Mar/2002]

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