大外案内


左が守衛室、奥の右側に郵票代売処がある

 大外は、なだらかな丘陵に立地しており、正門から入れば、奥に行けば行くほど少しずつ高くなっている。大げさにいえば5層構造になっているともいえる。
 正門を入ると左手に守衛室があり、日中は、守衛が正門前に立っている。
 守衛室の脇の小道を少し歩くと、奥まった突き当たりに郵票代売処がある。各学院の私書箱も設置されていて、通常、郵便を投函するときにはこの郵票代売処に郵便物を持参する。カウンターの奥には数名の服務員がいるが、数少ない経験ながら、郵便物を処理する担当者が決まっているようで、いつも同じ服務員が処理してくれる。
 この郵便物を処理する服務員は、小生が大連に来た当初、大連の絵はがきを使って郵便を送ろうとしたところ、「こんなのもありますよ」といって絵はがきセットを見せてくれた。それは大外の絵はがきセットだった。10枚組で1元。

第T層
 正門を入ってまっすぐ見えるものは「通向世界・通向未来」の文字(発音できないけど、なんとなく意味はわかる)。
 正門から左手に歩くと、左側に二つの校舎がある。奥の校舎は、昨年秋(10月)に竣工した、大外では一番新しい第1教学楼。
 この校舎、表の顔と裏の顔を持つ(決して悪い意味ではない)。キャンパス内から校舎に入る場合の入り口は、建物としては2階になる。小生、週1回、この校舎の302室で講義を行っているが、最初は、3階まで階段を上がった。しかしそこは4階だった。
 正門を出て、大外に平行してはしる勝利路を右に歩けば、この校舎のもう一つの入り口がある。そこには、大外留学中心(留学センター)の文字が掲げられている。この入り口が1階で、いわば表の顔である。ちなみに、この入り口から入って右の廊下を歩けば、比較的大きな書店がある。
 第1教学楼を正門の方に戻ると、となりに立っているのが第2教学楼、韓国語学院棟である。韓国語学院棟とはいえ、この校舎には韓国語学院だけが入っているわけではない。2階には徳語学院(ドイツ語学院)、3階には法語学院(フランス語学院)、そして4階が韓国語学院である。


第2教学楼:韓国語学院棟

第1教学楼(こちらは「裏の顔」)

 なお、第1教学楼の前にはちょっとした植え込みや空き地があり、その中を通って歩くと、日本語学院棟に出る。日本語学院棟を見ながら左手に行けば麒麟東巷(キリン坂)につながっている通用門。
 このショートカットルートを出ると、日本語学院棟の前に数本の八重桜がある。

第U層
 正門から16段の最初の階段を上がる。
 その左手にある建物が第3教学楼、英語学院棟である。この校舎には俄羅斯語(ロシア語)学院も同居している(何とも不思議)。
 この英語学院棟に接続して礼堂(講堂)がある(礼堂には中庭からも入ることができる)。
 英語学院棟の前には掲示板があって、党関係の広報や学内行事の写真などが掲示されている。
 またこの建物の地下に、ウナギの寝床のような売店がある。
 第U層右手の建物は大外の機関(本部)棟である。
 今年に入って、国際培訓学院が設立され、その事務本部もここに入っている。ある先生の話では、来年以降、各学院に所属している培訓部はこの国際培訓学院に移管される予定であるという。つまりは、日本語学院培訓部が大外国際培訓学院日本語科ということになる(培訓部をメインに担当している日本人専家の所属も、形式上は国際培訓学院所属になるという)。しかし、培訓部の学生が学ぶ場所は、今までどおり。
 なお、この建物に接続して衛生処がある。


第3教学楼:英語学院棟

大外機関棟(国際培訓学院)

 英語学院棟を左手に見ながら奥に歩くと中庭に出る。
 来た当初、この中庭は、四方を校舎に囲まれ、何とも殺風景に見えたが、芝が緑を増し、4月頃から花が咲き始めたり、さらにマリーゴールドなどの鉢植えが飾られるようになって、格好の散策地になった。黄金周(ゴールデンウィーク)過ぎからは池に水が張られ、天気のいい日は噴水も出ている。5月下旬にはバラの花が咲き始める。
 この中庭では、学生たちが、朝早くからテキスト片手に暗唱している姿が見られる。
 なお、中庭の中心から見て英語学院棟側2カ所にベンチが置いてあり、そのそばにライラックがある。

第V層
 中庭から見上げれば、3カ所に27段の階段が作られている。
 そして中央にひときわ目立つ建物がある。大外のシンボルともいうべき図書館棟(図書電教館)である。そこには、「崇徳尚文・兼収併蓄」(chong3 de2 shang4 wen2、ian1 shou1 bing4 xi4)の文字。この文字は日本語学院1階にもあり、大外の教育理念(スローガン?)かもしれない。
 図書館棟の上には大きな時計があり、耳を澄ませば、秒針の運針音が聞こえる。また屋上には五星紅旗がたなびいている(毎日というわけではないが)。
 図書館棟は8階建て。2階から4階が閲覧室(学生たちは自習室と呼んでいる)、5階、6階は言語実験室(LL教室)。7階にはちょっとした講堂がある。
 図書館2階の教員資料室で朝日新聞が読めるというが、インターネット環境に頼っている小生は、いまだに行ってないし、これからも行く予定がない。
 図書館棟の右側は第7教学楼、学生餐庁である。この学生餐庁は同じ建物内に2カ所ある。第7教学楼に接続して奥にも餐庁があり、民間業者が経営していたが、現在は営業していない。また、学生餐庁の上(3、4階)は言語実験室(LL教室)になっている。


大外のシンボル:図書電教館

第7教学楼:学生餐庁

 そして、図書館棟の左手の校舎が第4教学楼、日本語学院棟である。
 1階には、情報処理センター(ドアの上に日本研究中心と書かれている)、留学服務中心と小教室、2階には大・小教室と、奥には紀要編集室がある。通常、1階と2階の教室は、培訓部の学生が利用しているという。
 3階には、大教室とLL教室がある。マイクを借りる部屋(311室か312室)もここにある。また党総支弁公室もある。
 4階は、大教室と小教室がある。その他、学院弁公室(教務関係)、会議室、学院長室、副学院長室、、教師休息室、印刷室などもあり、日本人専家専用の休息室は、一番奥の412室である。
 日本語学院棟は一部7階建てで、通常は4階までしか使っていない。5階は社会科学部(教員の研究室もあるらしい)、教室側6階には茶室がある。この茶室では、毎週土曜日の午前に茶道部の活動が行われている(茶道部の学生に聞いた話)。
 また、教室側からは入れないが、6階は他学院(国際旅遊・酒店管理学院)の女子学生寮として利用されているという。
 ちなみに、日本語学院棟6階からの眺めは、中庭が眼下に見え、その奥には大連市街が広がっていてなかなかいい。


第4教学楼:日本語学院棟

毎日のぼる教室への階段

日本語学院棟6階からの眺め

 1階には日本留学信息(留学情報)の掲示板がある。最近、2003年4月の留学情報が掲げられた。それによれば、12の日本語専門学校と大学・短大・大学院の情報が一覧表示されている。大学では、青森中央大学、萩国際大学、鈴鹿国際大学、長野大学、共栄大学(春日部市)、国士舘大学、岡山商科大学、山梨英和大学、長崎総合大学。短大では、愛媛女子短大、白鳳女子短大(奈良市)、九州電機短大。大学院は鹿児島国際大学大学院と北星学園大学大学院が紹介されていた。

 日本語学院棟を抜けると、バスケットコートが2面ある。ここは、朝6時頃から暗くなった夜9時過ぎまでボールの音が絶えることがない。昼休みには、試合なども行われ、「加油(ガンバレ)」の黄色い声援が聞こえる。

第W層

 バスケットコートの奥に細い階段がある。この階段、上に行くに従って幅が広くなる。
 この47段の階段をのぼりきると、右手にグラウンド、左手に大外賓館がある。
 通常、講義があるときには、賓館を出て47段の階段を下りて日本語学院棟に行き、また47段の階段をのぼって賓館に戻るということになる。
 階段の中程のところに、賓館餐庁(師生員工餐庁)の入り口がある。

 さて、図書館棟の前に戻ると、図書館棟と学生餐庁の間には、学生用の掲示板があり、さまざまなイベントの情報が掲示されている。
 そしてその奥に38段の階段がある。
 その階段をのぼるとグラウンドに出る。グラウンドの対面に見えるのが漢学院棟である。グラウンドの右手、学生餐庁の裏に、第5教学楼がある。また、その隣には、第6教学楼、国際旅遊・酒店管理学院(国際旅行ホテル管理学部)棟がある。学生に聞けば、昨年までは、第5教学楼は女子寮として、第6教学楼の一部は男子寮として使われていた建物で、学生数の増加にともなって、教室棟に作り替えたという。


第5教学楼

第6教学楼:国際旅遊・酒店管理学院

 賓館の対面には賓館南楼(通称、専家楼)がある。ここの1階には、赴任後最初にお世話になる外事処や南楼餐庁(師生員工餐庁)がある。


大外賓館

大外賓館南楼(1階右奥に外事処がある)

第X層
 賓館南楼とグラウンドの脇にある33段の階段をのぼった左側に、漢学院棟がある。日本や韓国を中心とする留学生が勉強をし、さらに寝泊まりする寮も同じ建物にある。
 33段の階段の途中に、漢学院の餐庁(その名も群賢閣)がある。大連に来て最初の数日は、朝、昼、晩と1日3回この餐庁で食事をした。
 漢学院棟にはふたつの入り口があり、手前が寮の入り口、そして16段の階段をのぼった奥の入り口が教室への入り口である。


群賢閣

漢学院棟

 賓館のまわりには餐庁が3つある。ひとつは賓館地下1階、二つ目は南楼1階、そして漢学院群賢閣。個人的趣味でコメントすれば次のようになる。

漢学院群賢閣  食事の簡単さからいえば一番簡単。カフェテリア形式で、飯(ご飯)、湯(スープ)、主菜、副菜の順にチョイスしてレジで精算。一言も中国語を発する必要はない。日本や韓国からの留学生向けなので、味付けも日本人好みのものが多い。山ゴボウのようなものを辛く味付けした副菜がうまい。冷えたビールもある。
 ただ、時間帯によってご飯や湯が冷めていることもある。最近、電子レンジが備え付けられ、温めることができるようになった。
漢学院の餐庁だけあって、老いも若きも日本人学生が多い。
 それにしても小姐たちよ、もう少し愛想があってもいいぞ。
賓館南楼1階餐庁  入ってすぐに定食形式、左手一番奥にカフェテリア形式の場所がある。
 定食形式の料理を頼むには、レジで料理名をいってお金を払い、レシートを定食を作る料理人に渡す。
 カフェテリア形式では、湯煎された料理を見ながら係員に「これ下さい」と指さすと料理をお皿に取り分けてくれる。その後、飯、湯などももらって精算。ここには、パオズやマントウ、冷や奴などもある。冷えたビールもある。ピリリと辛くて魚香絲肉が好き。麻辣豆腐もうまい。
 ここで料理を取り分けてくれる小姐たちや坊ちゃんたち、愛想がよくて好き。
賓館地下1階餐庁  南楼と基本的には同じだが、副菜の種類が豊富。しかも、唯一、面がある。昼食時は混雑する。
 面は3種類でいずれも3元。小生のお気に入りは鶏絲面。面を食べるときは、まずレジでお金を払い、レシートを面担当の坊ちゃんに渡す。小生、顔を憶えられて、坊ちゃんは、レシートを出す前に小生の顔を見ると「あなたは鶏絲面でしょ」といわれるようになった(それだけ通ってるということだ)。ただ、賓館餐庁は営業時間内でもサッサと片づけ始める。困るのは食事。夜6時30分頃行くともう店じまいの準備をしている。料理はあってもご飯は「メイヨー(ありません)」なんてこともあった。
 お昼の営業後、餐庁の坊ちゃんたちが白衣のままバスケットをしているが、まさかそのまま夕食時に料理を供しているのではないでしょうな。

 いずれの餐庁も、主菜1、副菜1、ご飯と湯(スープ)で6.5元程度。今までで一番高くて9元、安くて3.5元だった。ちなみに、3.5元は、麻辣豆腐、副菜、ご飯、湯の組合せ。
 もうひとつ、賓館のロビー脇に喫茶店があり、そこでも食事はできる(韓国系女経営者で韓国家庭料理が中心)。昼時には漢学院の韓国人留学生で満席になる。一度食べてみようと思っているがいまだに果たせず。

学生寮

 昨年秋口までキャンパス内にあった寮は、ほぼキャンパス外に移転した(「ほぼ」というのは、日本語学院の6階を寮にしている学生がほんの少しいるため)。
 学生寮には、漢学院脇の道(キリン坂の一番上)を通って、126段の階段を下りる(学生に聞けば121段というが、小生が数えたときには126段だった)。そのあと右手にしばらく歩くと、左手奥に、立派で大きな建物が3棟見える。これが学生寮で、一番手前が男子寮、真ん中と奥が女子寮である。
 寮の入り口には守衛がいて部外者の立ち入りを制限している。小生も部外者かもしれないが、「先生は日本語学院の先生ですから、大丈夫でしょう」という学生の独断で寮の敷地に入ってみた。
 寮は、9階建てで(でもすべて階段。「ダイエットのためにいい」とは女子学生の弁)、9階だけが2人部屋で、あとは8人部屋である(2人部屋は基本的に研究生の部屋)。各階20部屋ほどある。ということは1棟に1,500名前後が住んでいることになる。また近くに東山公寓という、おもに培訓部の学生が住んでいる寮も2棟あるというから、5棟で合計7,500名ぐらいが住んでいることになり、ちょっとした町クラスの人口だ。
 部屋は通路をはさんで両側の壁に2段ベッドがあり、片側4名のスペース。各部屋トイレ付き。ちょうどユースホステルの部屋のような感じ。
 学生は「狭い」とか「大学まで遠い」などと文句を口にするが、小生が見た限り、それなりに恵まれているように見える(ただし基本的にプライバシーはない。しかも4年間同じ仲間と同部屋というのも、トラブった時には厄介かな)。
 学生は朝7時頃キャンパスに向かい、夜10時頃までキャンパス内にいるので、寝るためだけに寮を利用している感じ。
 真ん中に建っている寮の1階には学食がある。プリペイド補充式のカードで決済。カードをレジのスキャナーにかざすだけで精算される。
 また、24時間営業のネットバー、ビリヤード場、フィットネスルームなども寮に完備されている(すべて利用には料金がかかる)。
 さらに、敷地内には、浴池(銭湯。1回6元で回数券を買うと1回5元)、熱水房(沸かしたお湯を販売している店)、コンビニ、理髪美髪店などもある。[9/Jun/2002]

Indexへ