大連広場めぐり2−星海広場

 4月中旬の日曜日。
 天気予報では曇りだったが、朝から快晴の空が広がり、絶好の行楽日和となった。
 この日は、2年生の学生から「どこかに行きませんか。」と誘われていた。かねがね星海広場に行きたいとは思っていたが、この広場、海沿いにあるため、曇り空や風のある日は行きたくなかった。しかし、予報とは裏腹の天気。「よし行こうか。」ということで星海広場に行くことになった。

 大外近くのバスターミナルで待ち合わせ。メンバーは3年生の男子学生C君、、2年生の女子学生RさんとOさん、そして小生の4名。
 朝10時に、23路バスに乗車。25分ほどで星海広場の最寄りのバス停、会展中心(エギジヴィションセンター)に到着。
 バスを降りて最初に見えてくるのが3棟の巨大な建物。いずれも各種展示会場として使われる建物であるという。その建物の間を抜けるようにして広い道路が続いている。その道路を道なりに歩けば、その先が星海広場である。


華表。石のトーテムポール?

 星海広場に入ってまず目に飛び込んでくるのが、白い石塔。その石塔に引き寄せられるように歩く。
 広場の入り口から石塔まで直線の歩道が続く。
 「あの白い塔は、中国ではファビアオといいます。ファは中華の華、ビアオはおもてという字を書きます。」とC君。
 華表。
 「古い時代に、宮殿やお墓の前に立てた石の柱です。」
 「じゃ、ここにお墓があるの?」
 「いいえ、単なる飾りです。でも、この華表、日本の方向を向いているのですよ。」とC君。
 「ははあ、だったら、日本が多少援助したんじゃないの?」と小生。
 「それは聞いてませんね。」

 華表は、何枚もの大理石で出来ている。柱には龍の彫刻。そして天辺には、想像上の動物が鎮座しているのが見える。その高さ19.97メートル。この数字には意味があった。華表は1997年に立てられたもので、高さは「1997」に符合する。
 実は、これは1997年に香港が中国に返還されたことを記念して立てられたものであった。
 華表の周囲には干支で方角が示され、干支の近くには、5回分の誕生年が示されていた。
 「先生は何年ですか?」
 「ブタ!」と小生。
 「ブタ!」と学生。
 当地ではブタは猪(zhu1)と書く。猪は日本ではイノシシだ。
 「猪八戒だよ。」
 学生、思わず笑う。


決して上がってはいけません(と書いてある)。

 華表から海の方に向かって直線の歩道を歩く。
 すると今度は、中央分離帯のように歩道の中心部を貫く銅板が見えてきた。
 「これは、大連興建から現在まで、大連市に貢献した人々の足形です。」とC君。
 入り口に近い方にプレートがはめ込まれている。見れば、大連市が出来たのが1899年。そして1999年で100周年になり、それを記念して、1,000名の足形を銅板に写し取り、それを並べたものであった。直接見たことはないけれど、ちょうど、米国のハリウッドだかどこかにある、有名スターの手形を歩道に付けたストリートのような感じ。大人から子供の足まである。その足形を見ながら奥に進むと、一番奥には、幼子二人の彫塑があった。

 そこからさらに進む。
 すると今度は、左右が緩やかにせり上がった形の巨大な滑り台のような構築物が広がる。
 それを脇に見ながら、どんどん進むと、そこが海だった。

 岸壁から見る海はきわめて穏やか。
 しかし、なぜか岸壁付近は波が高い。ちょっと強い波が来ると、それが岸壁近くで恐ろしく大きな波に変わり、岸壁を乗り越えて来た。同行の学生も驚いている。
 よく目を凝らしてみると、どうやら、岸壁近くの海底には何か障害物を置いているようで、わざと波立たせているようだった。


赤いお揃いの帽子をかぶった団体さん

水平線の向こうが日本?

 歩道はそこまで。
 また同じ道を帰る。
 途中で、先ほど横目で見た左右にせり上がった構築物に登る。
 「この形は、本を広げている形です。もっと学習するようにという思いがあるのかもしれません。」とC君。
 たしかにガリバーが読むような巨大な本に見えなくもない。
 表面は結構滑らかで、しかもそこを登るとなると、かなりしんどく、上の方に行くと傾斜がきつくなる。
 小生も、最初は難なく登ったが、気が付けば、一番上には柵はない。ということは一歩間違えば真っ逆様ということになる。
 『やばい、小生、こういうところは苦手だった・・・。』
 「先生、大丈夫ですから上に行きましょうよ。」とC君。
 「ダメだ。僕は高所恐怖症なんだ。」
 というと、同行の3人が「高所恐怖症、高所恐怖症」と覚え始めている。


高いところが好きな人はどこにでもいる。

小生の限界点。向こうは星海公園海水浴場

 早々にそこを降りて、来た道を戻る。
 最高にいい天気なので、青空もきれい。その青空に、凧がいくつも泳いでいる。
 中国らしいと思ったのは、ハングライダーに小型のエンジンを取り付けて遊覧飛行していたことだ。いくら空は広いとはいえ、下には大勢の人がいる。その上を、簡単な装置の乗り物が飛んでいる。日本なら安全が確保できない、などといって飛行禁止になっているだろう。

 「星海広場の全景を見てみましょう。今日はきれいですよ。あの建物の中から見えますよ。」
 「もしかして有料?」
 「いいえ、タダです。」
 「へー、日本なら入場料を取っていると思うよ。」
 などと話しながら、歩道の突き当たりにある建物に入る。
 最上階は4階だったが、あいにく工事中で3階から眺める。
 窓には光を反射しにくくするようにスモークが入っている。しかし、全景を見るのには支障はない。
 「いい眺めだなあ。」と思わず感嘆の声。
 星海広場は、大連市の地図を見ると、楕円形に作られている。これは歩道を歩いている限りはわからないのだが、ここからの眺めはその楕円形をはっきりと確認できる眺めだった。
 「夜になると、明かりがともって、もっときれいですよ。」
 「うーん、じゃ、ここはデートスポットだな。」
 それを聞いた3人、「デートスポット、デートスポット」と暗記している。


いい眺めです。

 帰りに、一つの建物で行われていた衣類展示即売会会場を冷やかし、バス停まで戻ることにした。大外を出発しておおよそ2時間半の「散歩」だった。[16/Apr/2002]

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