ブレイマー城 Braemar Castle

  6月の初めの土曜日、やや気温は低かったものの、ディーサイド(Deeside:ディー川沿い)を西に向かい、ブレイマー城を訪れることにした。

  アバディーンの自宅からはA90を走り、アバディーン市内でA93に乗り換えて一直線。A93はこれまでにも何度か走っているので慣れた道。アバディーン市内ではあるが大邸宅が多いカルツ(Cults)やピーターカルター(Peterculter)を過ぎる。30分も走るとドラム城、さらにクラスィス城を越える。やがてバンコリー(Banchory)を過ぎ、アボイン(Aboyne)を通過。沿道左手にはディー川が平行して走っている。この辺りは、沿道に高い木々が立ち並び何ともいい雰囲気。バラター(Ballater)を過ぎ、バルモラル城のあるクラスィ(Crathie)をやや走ると、やがてブレイマー城の看板が見えてお城も右手に見えてきた。アバディーンからは63.7マイル、1時間40分の行程だった。

  ブレイマー城の駐車場に車を停め、早速、入り口へ。すぐに売店がありそこで入場料を支払った(大人£3、4歳以上の子供£1)。その後、AからHまで付けられた順路に従って城内を見学する。


Braemar Castle

  このブレイマー城を見た我々の第一印象は『コルガルフ城と似ているなあ』というものであった。お城のまわりにある城壁、そしてタワーハウス然としている建物。お城のまわりには広場は広がっているが庭園などというものはない。敵からの侵入を守るという、機能面だけが重視されたお城といった印象。いずれもコルガルフ城を訪れたときに抱いたイメージと一緒だ。

  このお城の歴史は1628年にまで遡る。建てたのは19代マー伯爵(Earl of Mar)であったジョン・エースキン(John Erskine)である(といってもどんな人物かはわからないけどね)。18世紀以降ファーカーソン家(Farquharson)の所有になって現在に至っている。とはいっても17世紀からの歴史だから、途中にはいろいろなことがあったハズだが、これがかなり地域的な出来事で(たとえば今でいうアバディーンシャという狭い地域での戦争など)、我々には何のことかはほぼわからない。

  とはいえ、このお城がコルガルフ城と決定的に違うのは、その内部には調度品がすべての部屋で展示されているということだ。そしてそれは、明らかに現在でも使われているような印象を受ける。今まで見てきたNTSのお城も、現在でも使えそうな形で調度品が展示されていたが、それらとは雰囲気が違う。雰囲気のみではない、お風呂やトイレにいたっては、我が家のものよりも広く、きれいで、しかもちゃんと排水管なども設置されている。開館がイースターから10月までというのも客観証拠(ま、この期間にだけ開館するお城も多いけど・・・)。もし、今でもそこに住んでいる人物がいるとすれば、それは結構すごいことだ。何しろ、多くのお城は、その維持費に音を上げてNTSなどに払い下げているのだ。そうした中にあって今でも住み続けるというのはかなり苦労があると思われる(余計な心配か)。

  このお城のお宝は、世界最大級のケルンゴーム(Cairngorm)。モーニングルームの窓辺にさりげなく置かれている。ケルンゴームは水晶(クォーツ)の原石(クリスタルではなく石英)だという。その重さ52ポンド(20s程度)。しかし、我々にはその価値がわからない。

  調度品などより我々にとって面白かったのは、1階にある戦争関係の品を集めた展示室、貴族の洋服を集めた展示室、そして子供達の遊び道具などを集めた展示室だった。いずれも狭い部屋ながら、『こんなものを使っていたのだろうなあ』と往時を思い起こさせる品々だった。
  最後に売店に戻り、子供達がお土産を品定めしていると、係りの女性が1個15pで販売しているお城のバッジを子供達にくれた。

  それほど広いお城ではなかったが、1時間弱見学してまわり、お城の庭に出て昼食。眼下には、草をはむ牛やディー川と思われる川が流れているのが見える。小鳥のさえずりも心地よい。時折牛の鳴き声が聞こえて何とものどかだった。


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