アーブロース寺院 Arbroath Abbey

  1314年6月、バノックバーンの戦いで勝利したロバート・ザ・ブルースたちは、1320年、イングランドからの独立を宣言する。いわゆるアーブロース宣言といわれるものである。この宣言が行われたのがアーブロース寺院(Arbroath Abbey)である。

  我々は、グラームス城を訪れた帰りに立ち寄ったが、アバディーンからの距離は、A92を通って約70マイルである。
  我々がアーブロース市街に入ったのは2時頃。雨はすっかり上がって強い日の光が差していた。指定の駐車場に車を停めて寺院に向かう。アーブロース市街は、日曜のお昼過ぎだからだろうか、強い日差しとは裏腹に、シンと静まり返っていた。

  アーブロース寺院はHSの管轄になっている完全な廃墟である。しかも、現在、何らかの建物が建築中で、幾分、景観を損ねるような感じ。アーブロースの町並みの真ん中に寺院があるようで、周囲は商店街。
  寺院の中にある受付で会員証を提示して見学。

  アーブロース寺院それ自体は、12世紀までその歴史を遡ることができるようだが、現在では、その一部が不完全な姿で残されている。しかもかなり修復が行われたようだ。修復された建物を見ると、エルギン大聖堂のミニチュア版といえなくはない。

  我々のお目当ては、例のアーブロース宣言にまつわるもの。宣言書それ自体はそこにないことはわかっていたが、何か記念になるもの、あるいはそれに関連するものがあるのではないかと、数少ない、内部に入ることができる建物を探し回った。
  ある建物に、おなじみの宣言書がガラスのケースに入って壁に掛けられていた。しかしそれは複製にしては余りにお粗末なもので、よく見れば写真のようであった。バノックバーンの展示館で見たものの方がよくできていると感じた。

  『なぜアーブロースで独立を宣言したか』
  これに対する答えは、残念ながらアーブロース寺院では得られなかった(これは帰国後のお勉強ということになる)。

  強い日差しの中、約40分ほど滞在して、「近くの海にでも行ってみようか」といいながらアーブロース寺院をあとにした。


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