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柳田佐知子
【目的】
性的成熟も含めて身体的な変化が著しい青年期は,自分の身体や性別が強く意識される時期と見られる。そこでまず,身体イメージと体型の関連を明らかにする。さらに,斉藤(1987)や佐藤ら(1995)の研究により,女性であることをどう感じているかは,女性に対して社会が期待する役割をどうとらえているかという性役割感の問題と密接に結びつくものであると言われている。これを元に,本研究では,女性について,次の3項目を検討する。
●身体への満足度が高い人は,男性性が高いかどうか。さらに,身体への関心度が高い人は,女性性が高いかどうか
●身体への満足度が高い人ほど,自己の性を受容しているかどうか
●自己の性を受容している人は,男性性が高いかどうか
【方法】
質問紙調査を用い,北星学園大学の学生162名(男性52名 女性110名)を対象とした。身体イメージについては,体の各部位22項目に対する満足度と関心度を,7件法で回答させた。性役割には,40項目,7段階から成るBSRIを用い,男性性得点と女性性得点を得た。最後に,現在の身長・体重と理想の身長・体重を実数値で回答させ,性受容に関する質問を2項目入れた。
【結果・考察】
体型と,身体イメージの関わりを検討した結果,体型の理想と現実の差が,不満足感と関心の高さにつながるかという傾向は,特に女性の体型において支持された。女性は,肥満に分類される者はほぼいなかったのに関わらず,体型に対して過剰な反応を示した。男性については,身長差の大きさが,不満足感につながっていたのが特徴的で,関心度との関連は見られなかった。
ここからは女性のデータのみで行った分析について述べる。身体イメージと性役割について,結果を図に示した。男性性の高さと満足度,さらに女性性の高さと関心が高いという目的は,男性性においてのみ支持された。ただし,満足度との正の相関は女性性でも現れており,さらに詳しい調査が必要とされる。
続いて,身体イメージと性の受容については,満足度と性の受容に有意な関係は見られず,目的は達成されなかった。ただし,クロス表による,人数分布からは支持する傾向が読み取れた。さらに,人数に偏りが見られたのは,関心度の高さと性の受容をしない人の間で,関心が高いか低いかどちらかに偏っていた。
最後に,男性性が高い人は,性の受容をするのではないかと考えたが,支持されなかった。逆に,男性性の高い人は女性という性を受容せず,生まれ変わりに男性を望んでいた。
先行研究などと比較すると,今回の研究だけでも新しい関係が示唆されており,身体イメージと性に対する態度の関連にはいろいろな側面があるようだ。