中京大学 心理学科研究科・心理学部紀要 第3巻 第1号(2003)7−16頁
首尾一貫感覚と健康な精神的機能との関連
中京大学心理学科研究科 明翫 光宜  発表日11月24日(水) 発表者:細藤 礼美 司会者:内藤 かほり

T 問題と目的

ストレス社会といわれるほどストレッサーがありふれている現代社会において、ストレッサーが現代人の精神面、
身体面、行動面に及ぼす絵一行は計り知れない。
しかし、ストレッサーにおいてダメージを受ける人々がいる一方で、同じストレッサーを受けながらも、健康でい
られるだけではなく、それらを人生のアクセントや糧にしてしまう人々がいるのは興味深い事実である。
本研究では、このようなストレス反応の個人差を生じさせる最も基本的な要因として注目され、積極的なストレス
対処能力であり、健康保持能力と呼ばれているSOC(sense of coherence:首尾一貫感覚)の強さの程度によっ
て、ストレッサーの評価、精神的身体的健康にどのような違いが現れるのかを検討する。



*補足*

ストレッサー

 まずストレスというものは、環境からの刺激によって生じた、悩みや緊張や疲労の状態のことで、精神的や肉体
的に負担をかける状況や原因をいう。
 そしていじめや人間関係など、ストレスを生んだ刺激、原因を「ストレス源」または「ストレッサー」と呼ぶ。
 暑さ、寒さ、空腹、客の訪問など、何かの対応をしなければならないことは、全てストレッサーになる可能性が
ある。しかし、実際にストレッサーとなるのは、その対応が難しいと感じるものである。
 そのストレッサーである外部からの刺激により、動悸や胃の調子を悪くするなどの心身の反応が「ストレス反応」
である。

 なおストレッサーの種類には以下のものがある。

 1)物理的・生物的・化学的ストレッサー
 騒音、振動、温度、湿度、天候、花粉、悪臭などなど。

 2)社会的ストレッサー
 社会的な役割(男・女らしさ、管理職、親など)、人間関係、社会秩序の乱れなどなど。

 3)心理的ストレッサー
 不安、恐れ、怒り、焦り、憎しみ、劣等感などなど。

 4)身体的ストレス
 生理的欲求、発熱、疲労感、痛みなどなど。




SOC

 SOC(sense of coherence)は、ストレス対処能力あるいは健康保持能力概念として、イスラエルの健康社会学
者でありソーシャルストレス研究でも著名なアーロン・アントノフスキーによって提唱されたものである。
1987年にはスケールが提案され、近年、保健・医療・看護・心理・教育などのヒューマンサービス分野で世界的に
注目を集めている概念である。
 ストレス影響からの回復や疾病の再発抑制とSOCとの関連性を認める実証研究もすでに少なからず生み出され
てきている。







*私的考察*

 ここできちんと把握しておかなくてはいけないのは、「ストレス」「ストレッサー」「ストレス反応」「ストレ
ス対処能力」の、それぞれの意味と違いである。
 一般的には、ストレッサーのこともストレスと呼ぶので、特にこの2つは後々混乱してくるので、注意が必要で
ある。
 またストレスの対処には、「ストレッサー」「ストレス反応」、またはその両方が含まれているのかをまず把握
する必要がある。

 おおまかに目的を分類してみると、@ ストレス対処能力の強さを調べる A ストレッサーを評価し、@によっ
て現れる違いを検討する B @によって精神的身体的健康に現れる違いを検討する となる。

U 研究方法(対象と方法)


・対象者
 D県内の4年制大学5校から無作為抽出した18〜32歳の男女である。男性77名(20.90±2.00歳 range 18〜32)、
女性129名(20.18±1.83歳 range 18〜31)計206名(20.45±1.92歳 range18〜32)から有効回答が得られた。

・手続き
 次の材料で示す3つの質問表を対象者に直接配布し、後日回収した。


・材料
(1) 日常いらだち事尺度
 日常の慢性的ストレッサーの査定に日常いらだち事尺度を用いた。本研究では、各質問項目で「日ごろイライラ
を感じているかどうか」について、1,「おおいにそうである」2,「まあそうである」3「そうではない」の3件法
で回答させた。1を選んだ場合を1点とし、それ以外を0点と処理した。この結果は特典が高い程ストレッサー量が多
いとなる。

以下が日常いらだち事尺度である。









(2) SOCスケール
 SOCの測定には、29項目のSOCスケールの日本語版を用いた。回答形式は、1〜7点のリッカート法を用いた。
 SOC得点は、SOC得点が高いほど、SOCが強いとする。

(3)GHQ
 精神健康の即手には、一般健康調査票の日本語版を用いた。GHQ60項目は、神経症症状とその関連症状を幅広いス
ペクトラムで把握しようとするものである。各質問項目の評定段階は4で、それぞれの段階を0・0・1・1として0/1
データに数量化し、その合計点により評価を行い、得点が高いほど精神的健康が悪いとする。



*補足*

日常いらだち事尺度

 日常いらだち事(デイリー・ハッスルズ)尺度とは、米国カリフォルニア大学バークレー校の心理学教授ラザルス
博士が、高度に管理化された現代社会におけるストレッサーは、労働や日常生活における心理的な悩み事、いらだち
事として評価すべきとの立場から提案したものである。
 自分の将来のこと、家族の健康のことあるいは退職後の生活のことなど、現代生活上の悩み事・いらだち事につい
て、自身がどの程度のいらだちを覚えているかについて、半定量的に評価することによりストレッサーの強度を評価
しようとする方法である。




リッカート法

 反応カテゴリーは「どちらでもない」を中性点として「賛成」、「反対」の両極をもつカテゴリーを使用する。
 3件法、5件法、7件法いずれでもよいが結果にはほとんど違いがない。




GHQ

 これは被験者のうつ病,不安,社会的機能不全の症状に関して質問し,回答者の現在の精神的状態が正常状態から
どの程度乖離しているかを評価するものである。







*私的考察*

 材料(1)日常いらだち事尺度により、同じく私的考察で述べたおおまかな目的、Aであるストレッサーを評価する。
そして(2)SOCスケールにより、@であるストレス対処能力の強さ、(3)GHQにより、Bである精神的身体的健康を評価
する。

V 結果


 SOCスケールの得点の昇順に被験者のraw dataを並び替え、そしてこれらのデータにおいて、SOCスケールの得点
  が平均値よりも1標準偏差はなれた2つの群を設定し、SOCスケール得点の高い群を「高SOC群(N=27)」、SOCス
  ケール得点の低い群を「低SOC群(N=28)」とした(Table 1-1、1-2)












(1)ストレッサー

 2群間のストレッサー量について平均の差の検定を行った。低SOC群の平均ストレッサー量(平均値8.22 SD±3.88)
が、高SOC群のストレッサー量(平均値3.00 SD±5.63)に比べ、1%水準で有意に高かった(Figure1)。
 そこで、両群において、どのストレッサーが共通していて、どのストレッサーが特徴的かを分析するために、日常
いらだち事尺度の項目を分析した。その結果をTable2-1に示す。有意差のあった項目を内容別カテゴリーに分けてみ
ると@〜Cとなる。項目1,10,14,17,20,25は1%水準で、項目5,9,11,16,22,24は5パーセント水準で低SOC
群のストレッサーの特徴をカテゴリーに分けると以下のようになる。


 @「将来に関する評価」(項目1,14)
 A「低い自己イメージ」(項目20)
 B「自分自身の過去についての後悔」(項目25)
 C「対人関係における負担・問題」(項目9,10,11,16,17,24)
 また、SOCの各構成要素と各ストレッサー項目との相関関係を求めた。1%水準で相関関係がみられたものをTable
2-2に記す。












(2) 精神的健康

 ストレッサーと同様に、高SOC群と低SOC群においてGHQ総得点とその要素スケールであるA「身体症状」、B「不
安・不眠」、C「社会的活動障害」、D「仰うつ症状」の各項目の平均値について平均の差の検定を行った。その結
果、全ての項目において低SOC群の平均得点が高SOC群のそれに比べ、1%水準で有意に高かった(Figure2)。
 また、Table 1-1、1-2のGHQの要素スケールにおいて、中等度の精神的症状の有無をクロス集計表にした(Table
3-1〜3-4)。カイ二乗検定の結果、A,B,C,Dの全ての要素スケールにおいて、中等度の精神的症状を訴える人
数が、低SOC群に1%水準で有意に多かった。



Table3-1〜3-4
                                   
Table3-1 A:身体症状Table3-2 B:不安・不眠
   中等度以上軽度以下合計                       中等度以上軽度以下合計
低SOC群151328                     低SOC群21 728
高SOC群 62127                    高SOC群 22527
合計213455                     合計233255
                                 
Table3-3 C:社会的活動障害Table3-4 D:抑うつ症状
   中等度以上軽度以下合計                 中等度以上軽度以下合計
低SOC群161328                低SOC群171128
高SOC群 12627               高SOC群 02727
合計173855                合計173855

(3) 性差

 男性群、女性群のストレッサー量、SOC総得点、GHQ総得点とその要素スケール得点において平均得点の比較をした
ところ、「不安・不眠」の尺度において男性群が女性群よりも有意に高かったが、残りの平均得点においては有意な
差は見られなかった。




(4) SOCとその構成要素について

 SOCの3つの構成要素「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」とストレッサー量、GHQ総得点、GHQ要素スケール
の各項目との間の相関係数をそれぞれ算出した(Table4)。












*私的考察*

 (1)ストレッサーについては、SOCスケールによりストレス対処能力を調べ、その結果、ストレス対処能力が高いグ
ループと低いグループができた。
 ストレス対処能力が高いということは、ストレスを溜めにくいということである。
 そして、両グループのストレッサー量を調べたところ、ストレス対処能力が低いグループの方が、ストレッサー量
は多かった。
 さらに筆者は、次に両グループにおいて、共通的なストレッサーと、特徴的なストレッサーを分析している。
 これはどのようなストレッサーに対処しやすいか、また対処しにくいかを調べる為だと推測されるが、今のところ
理由は不明である。
 また、ストレス対処能力が低いから、ストレッサーを処理できず、ストレッサーが多いといえるが、ストレッサー
が多いから、ストレス対処能力が低いとはいえない。
 そもそも何がストレッサーとなるか、それがどれぐらいのストレス反応となるかは、人によって様々だと思う。
 それはその人の性格や思考などでも、大きく変化すると思われる。
 第一、皆が皆、同じ量のストレッサーを受けている状況下にあるとうことは、不可能に近い。
 単にストレス対処能力により、ストレッサー量が変化するというのは、安直なように思える。

 (2)精神的健康について、ストレス対処能力が低いグループの方が、精神的身体的健康の症状が多く、つまりストレ
ス反応が多い結果となった。
 (1)で述べた、前提であるストレッサーの量や、個人差について考えるとこれも同じ疑問がでてくるが、単純にスト
レス対処能力が低いので、ストレッサー量が多く、それによって多くの症状が引き起こされると考えれば、当然の結
果であるのだろう。

 (3)性差についてだが、これについては何故調べたのかはわからない。目的の段階においては、性差については何も
触れられていなかった。
 もし性差について調べ、詳しく分析するのならば、その他年齢等についても調べることも必要になってくると思う。
 ここでは単純にストレス対処能力の強さによって分類しているのだから、その他の要因について分類する必要はな
いと思われる。

W 考察


(1) ストレッサー

 高SOC群、低SOC群のストレッサー量の平均値を比較すると、低SOCの平均値が高SOC群に比べ有意に高く(Figure1)、
ストレッサーとSOCとの相関関係がみられた(Table4)。
そこで日常いらだち事尺度を分析した結果、低SOC群のストレッサーの特徴は「将来の不安」「自分自身の過去について
の後悔」「低い自己イメージ」「対人関係における負担・問題」に評価が集中していて(Table2-1)、これらの特徴は
SOCの構成要素に関連していると考えられる。
「将来への不安」については、「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」が関与していて(Table2-2)、これらが低い
と、将来出会う刺激を予測できると考えることが困難であったり、それらを処理できるという感覚が持てないため、それ
らを脅威的なものとして捉えられやすく、また様々な問題や人生に意味を感じたり見出そうとすることが困難である。し
たがって、自分の将来に対するイメージを混沌とした、当惑させられるものとして捉えるため、不安を抱きやすいと考え
られる。
「対人関係における負担・問題」については、「把握可能感」「処理可能感」が関与していて(Table2-2)、これらが低
いと、相手が自分をどのように思っているか、また、相手がどのような人でどんな行動をとるか予測することができなく、
対人関係を脅威に感じやすい。したがって、対人関係をストレスフルなものとして評価されやすいと考えられる。
「低い自己イメージ」「自分自身の過去についての後悔」については、「有意味感」「処理可能感」が関与していて(Ta
ble2-2)、これらが低いために、自分のこれまでの人生に意味を感じることやそれを見出そうとすることが困難であるた
め、過去の自分の行動や出来事をネガティブに評価しやすく、またこれまでの人生で生じたストレッサーによってもたら
された緊張を適切に処理する経験が乏しかったと推測できる。以上のことから、有能感や適切な自己評価を発達させるこ
とが出来ず、この2項目を抱くに至ったのではと考えられる。
 一方、高SOC群のストレッサーとしての特徴は低SOC群のように集中しているストレッサー項目はなく広く分散していた。

高SOC群がこれまでの人生において環境からの要求による緊張を上手く処理できた経験を多く経験しており、特定のストレ
ッサーに対する脆弱性を持っておらず、自分の内外で生ずるあらゆる環境刺激をストレッサーと評価しにくいのではない
かと考えられる。



(2) 精神的健康

 高SOC群と低SOC群においてGHQ総得点とその要素スケールA,B,C,Dの各項目について平均の差の検定を行ったと
ころ、全ての項目について低SOC群の平均得点が有意に高く(Figure2)、GHQ(要素スケール含む)とSOCに強い相関関
係が見られた(Table4)。そこでTable1-1,1-2のGHQの要素スケールにおいて、中等度の精神的症状の有無をクロス集
計表にしたところ、低SOC群の精神的不調の特徴は、項目全てに訴えが集中していた。一方、高SOC群については、Aに
ついての訴えが見られるが、他にはほとんど見られなかった(Table3-1〜3-4)。これらの特徴はストレッサーに直面し
たときのSOCの機能と、それに伴う反応として考えることができる。
 ストレス状況に置かれたとき、その状況の意味がどのようなものか、それに対して内外の資源を自分が使って有効に
対処できるか、解決するということに意味があるかという一連の感覚にSOCが機能する状況において、「処理可能感」と
「有意味感」が低いと、内外で起こりうる困難な物事に対処することができないと考え、それらを脅威なものとして捕
らえやすく、無力感や重荷を感じやすかったり、内外で起きている状況を対処することに意味があると感じることやそ
の意味を見出そうとすることが困難である。以上のことから、低SOC群の人々は、「不安」「仰うつ症状」を抱きやすい
と思われる。
身体的・行動的側面について、「社会的活動障害」は「日常生活における自分独自の活動」「社会的接触」に対する態
度や状態を表す項目である。また「身体症状」は「睡眠障害」「頭痛」「疲労」といった項目であり、これらは心身相
関度の高い身体症状である。低SOC群の多くの人々はが示すこれらの症状は、ストレッサーによる緊張が解消せず、持続
することにより健康破綻が身体的、行動的側面に現れたものであうと考えられる。
 一方、高SOC群は、環境からの要求によって生じた緊張をうまく処理し、良質の人生経験を多く経験するため、精神的
身体的健康を持続・向上させていると考えられる。



(3) 性差

 性差については、「不安・不眠」尺度においてのみ、男性が女性に比べて高かった。このSOCの機能によるものか、ス
トレッサーによる違いなのかは本研究では明らかではない。今後さらにストレッサーの側面、SOCの機能の側面など多方
面から性差について詳細に検討する必要があると思われる。



*補足*

SOCの構成要素

 SOCの構成要素は以下3つから成り立っている。

「把握可能感」(comprehensibility)
 自分の直面する出来事は、全て予測と説明が可能であると信じられるかどうか、という確信

「処理可能感」(manageability)
 どんな困難に遭遇したとしても、それを乗り越えていくための手立て(自分自身、周囲の手助け)が自分にはあると
思えるかどうか、それを乗り越えていくための有効な資源は得られるという確信


「有意味感」(meaningfulness)
人生には生きる意味がある。好ましい出来事だけでなく、一見つらい出来事でさえ最終的には自分の人生にとってプラ
スになると思えるかどうか、起こった出来事などに対して、それに挑戦していく・関わっていくに値する意味があると
いうとらえ方

 これらは経験を通して後天的に獲得していくもののようである。







*私的考察*

 (1)ストレッサーにおいて、日常いらだち事尺度を分析し、特徴のあった項目を、SOCの構成要素と関連付けて、占い
師のように、いろいろとそれらしい理由付けをして、どのようなストレッサーがどのようなストレス反応となるかを考
察している。
 確かにどのようなものがストレッサーとなりやすいか、という、ストレッサーの評価にはなっていると思うが、目的
@である、ストレス対処能力の強さによって、ストレッサーがどのように変わるのか。それについては、ストレス対処
能力が高いグループは自分の内外で生ずるあらゆる環境刺激をストレッサーと評価しにくいとし、両グループの違いを
現してはいるが、それは当然といえば当然のことである。
 この当然であることを、実際に検証して確証を得たかったのならそれでいいが、それならば、それならばそれだけ調
べればよいことで、他のごちゃごちゃとしたややこやしいものを調べる必要はないように思える。

 (2)精神的健康については、その通りだと言えばその通りで、特に反論の余地はない。
 だが、研究自体が不確かで不明慮なものであるため、本当にこの通りであると思うのも、考えものである。
 それに、(1)と同じく、SOC構成要素によって精神的身体的健康において、どのような症状が出るかを考察しているが、
これがSOCの強さとどういった関係にあるのかは疑問である。
 またこれは、ストレッサーによる緊張が解消せず、持続することによって現れたものであって、実際に持続するかど
うかはわからないし、そういった症状が持続することによって、ストレッサーが生じるという可能性にもなり得る。
 ストレス対処能力が高いグループにおいても、緊張をうまく処理するからといって、良質な人生とは言えないし、健
康状態が持続しているから、ストレッサーが生じないということも言えるのではないだろうか。

X 全体的考察


本研究の結果からも、精神的機能を支えるものとしてのSOCの重要性が示唆される。今後、SOC今後、SOCの高い人と低
い人との間の精神的構造にどうのような違いがあるのか、またストレスに対する対処にどのような違いがあるか検討し
てみる必要があると思われる。







*私的考察*

 精神的機能を支えるものとして、SOCは確かに重要な要素の一部であるとはいえる。
 だが、SOCを高い人と低い人との違いを調べるのもいいが、人はその2つで分類できるわけではない。
 人それぞれの精神的構造を調べ、人それぞれどう違うのかも調べる必要があると思う。
 そして、その人それぞれのSOCを調べ、どのようなストレッサーを受けやすいか、それによってどれほどのストレス反
応が起こるのか、それを調べる必要もあると思われる。
 SOCが高い人達の中でも、どのストレッサーに脅威を感じるかは、人それぞれ違うのだから。そして、それに対する対
処も違ってくるのだから。
 そもそもストレスというものは、目に見えなかったりなど、感知できないものばかりであるし、感知できずに、それ
を受けている場合もある。
 ストレッサーを評価したり、さらに表に出る症状が、それだけの原因で現れるストレス反応かどうかを調べるのは、
現実的に可能かどうかも疑わしい。というか、不可能に近いと思われる。
 よって、それらを調べることが実際にできたにせよ、これを検証するのには困難を極めるであろう。

Y 感想


 この授業で初めて論文というものを読んだのだが、まるで意味がわからなかった。
 大学紀要だから易しいと言われたのだが、その内容は本当に意味のわからない単語の羅列のようで、あぁそうなんだぁ、
とたいして意味もわからずに、ただ流して読むことしかできなかった。
 だがこのままではこの論文にツッコムどころか、要約さえできないので、辞書を片手にネットを駆使して、ようやく
意味を理解することができた。
 しかし、肝心のツッコムことが、一向にできない。ただ書かれている内容を鵜呑みにすることができない。
 実際に発表をし、先生や他の人達の意見や話を聞くことで、ようやくこの論文の矛盾を見つけ、ツッコムことができ
るようになった。
 だがまだ、新たな論文を読み、それにツッコメと言われても、うまくできる自信はない。
 けど、この半年で、他の人のツッコミや、いろいろな視点での見方の存在に気づき、単純に納得するのではなく、逆
から物事を捉えてみて、なんとなく論文の読み方というものがわかってきたと思う。
 このレジュメを作る際、もう一度レジュメを見直してみたら、新たに気づいた箇所もあった。
 2年生になったら、もっとこういった論文に触れたり、実際に自分で作る場面もでてくると思うが、この授業での経
験を活かし、頑張っていきたいと思う。