創造的人間の特徴はどのような実験から導き出されたか
1:マズローによる創造性研究
『自己実現している人における創造性』によると、マズローは日常の生活に創造性のある態度や方法を持ち込む自己実現をしている人を被験者としてその特性を研究した。その結果それらの人々に見られる特徴として次のようなものを挙げている
- 自己実現している人に共通して見られる特徴
- 自発的で感情的
- 自分の行動を自ら制限することが少ない
- 自己批判が少ない
- 相対的不安の欠乏(未知なものや当惑するようなものに対する驚きが少ない
2:バロンの創造的人間の描写
バロンが1958年にScientific-Americanに掲載した『The psychology of imagination』で「創造性に富んだ芸術家と、おそらく創造性に富んだ科学者」を描写するとして次のように書いている
- 観察力が鋭い、正確な観察(物事をほかの人が見るように見るが見ないようにも見る)
- 独自性が高い
- 明確な認識を尊重(そのためなら苦痛にも耐える)
- 自身に対する広い、柔軟な意識(自我が退行しつつも高度な合理性と自己批判に立ち返る)
前者は実際に創造性に富むと見られる一般の被験者を集めての観察の結果。後者はおそらく歴史上優れた創造性を発揮した芸術家や科学者の特徴を調査した結果から導き出されていると思われる。
ただマズローの場合は自己実現の基準がはっきりしないし、バロンの方も(全文を調べたわけではないので)どのような調査からだったのかははっきりしない。また、両者ともこれが仮説であると述べている
創造性の研究は主に「一般に創造的だと思われている」人々に共通する特徴を発見することによって行われ、その特徴もまだ仮説の域を出ないというのが現状のようだ。