情報メディア論(A) 1999/2000 T. Katayama

第1章 デジタル社会の展望

1-1 高度情報立国

情報産業が21世紀の日本の発展を決める。
社会基盤(infrastracture)
20世紀は工業化社会


情報産業の驚異的発展

1-2 情報リテラシー
工業化社会のリテラシー(literacy)は、読み・書き・算盤
市民生活(労働するため)に必要、義務教育で(から高校進学率98%へ)
情報メディアは、新聞と放送などのマスメディア


情報化社会では、情報について開かれた社会であるためには、誰もが情報リテラシーを習得する必要がある。では「情報リテラシー」とは何か。

  1. 情報処理機器の利活用能力
  2. 情報へのアクセスと情報処理の知識 → 1993年「情報基礎」(中学・高校)、2003年から高校で必修化「情報A,B,C」と選択「専門教科の情報11科目」
  3. 社会で主体的、生産的、指導的な働きをする能力
  4. 影の部分(情報の歪曲・偏向、情報洪水、情報侵害、情報犯罪) → 安全性管理、知的所有権、利用者保護(法律や行政の知識)
1-3 デジタル時代の情報技術者
社会にとって人材育成は最も重要な課題
 

1969    通産省・情報処理技術者試験
            (第1種、第2種からはじめ、システム監査、オンラインの追加へ)
1970    大学で「計算機科学」や「プログラミング」教育
1985    大学に、経営情報、環境情報、社会情報、文化情報などの新学科
1994    中学「技術家庭」、高校「数学C」で、プログラミング基礎
1994    通産省・情報処理技術者試験に12種新設(新たな情報技術への急激な変貌に対応し、25年ぶりに見直し → 図1-2)
1999    高校のインターネット接続が50%以上に
2001    通産省・情報処理技術者試験の見直し(基本情報処理←第2種,ソフトウェア開発←第1種など)

情報システムの位置づけが飛躍的に向上(社会と経済、企業活動の根幹をなす)
        インターネットやマルチメディアが浸透し、情報が経済的、文化的価値をもつ
        情報システムが価値の創造を決める。

新しい人材像

情報処理のキーワード
  1. ネットワーク (インターネット)( → 教科書「通信ネットワークがわかる本」)
  2. オープンシステム
  3. ダウンサイジング
  4. マルチメディア ( → 参考書「マルチメディア生活用語辞典」)

1-4 インターネットと情報インフラ

日本政府がインターネットに注目し始めたのは、1994年、アメリカの「情報スーパーハイウェイ構想」(全米高速通信網)の基本プロトコルに盛り込まれたこと。
ビデオ画像などの双方向通信を可能にし、医療や教育のサービス、企業の生産性の向上を目指す。 ( → 第1部 オフィスのマルチメディア、PART1 通信ネットワークの基礎知識)
家庭にも「情報コンセント」が設置され、電話・FAX、パソコンやTVなどの情報機器をインターネットに接続する。( → 第2部 家庭におけるマルチメディア)

1-5 オープンシステム

異なるメーカのコンピュータの異機種相互接続が可能になり、主要なソフトウェアが多数のメーカのコンピュータで稼働し、ユーザ指導で情報システムを構築できるような開かれた情報技術環境
オープンシステムはメーカ側の技術発展にも寄与する。
オープンシステムの必須技術 オープンシステムに関する標準化(規格化)
 
情報技術 国際標準や国内標準(Dejure) 業界標準(Defacto)
団体名 ISO, CCITT, JIS,ANSI OSF, UI, COSE
基本システム POSIX X/OPEN, OSF
GUI X Window Open Look, Motif
プログラム言語 Standard C, COBOL C, Java
ネットワーク仕様 ISO-OSI Ethernet, TCP/IP
データベース言語 ISO-SQL SQL
LANシステム管理 ISO-CMIP SNMP
1-6 ダウンサイジング
コンピュータの急速な進化が、小型化と高性能化を繰り返し
メインフレーム(大型汎用コンピュータ=ホストコンピュータ); 1964年System360(IBM社); 日本も大手6(3)社が生産
ミニ・コンピュータ ; 1970年前後 PDP(DEC社)
ワークステーション ; 1973年 Alto(Xerox社PARC)
デスクトップ・パソコン(最初はマイコンとして登場)
ラップトップ
ブック(A4:ノート、B5:サブノート)
パームトップ (PDA=Personal Data Assistant) ; Newton(Apple社)やZaurus(Sharp社)
ハードウェアは小型化、ソフトウェアは肥大化(高機能)
半導体素子の発展(→図1−3)
最先端のコンピュータの潮流は、第5世代
        非Neuman型や超並列化による、高速巨大計算や知識情報処理へ(ニューロ系やファジー系で曖昧さや感性を対象に)
ダウンサイジング=1世代前の大型コンピュータの処理能力をもつ製品を企業が100台単位で購入できる。これらのWSやパソコンを接続して企業の要求を満たす情報システムをより安く構築できる。(コストパフォーマンスの向上)

1-7 情報システムの変遷
コンピュータの進化は、人間と機械のインターフェースの進化の歴史
コストパフォーマンスの向上
ユーザ・インターフェースの「使いやすさ」を追求
ネットワークの発達による分散処理の性能向上
エンドユーザコンピューティング(EUC)の普及
情報システムの形態(→図1−4)

(#01) 06/09/1999 Mon